第1回目に【株式譲渡制限会社】が登場しましたが、「譲渡制限株式の発行」について細かく規定されているので整理したいと思います。
【譲渡制限株式の発行】
譲渡制限株式とは、その株式を譲渡しようとする場合には会社の承認を必要とすることを定款で定めた株式のことです。
新会社法では、株式の譲渡制限については、定款で次の事項を定めることが認められるなど、柔軟な制度設計が可能となっています。
・すべての株式でなく、一部の種類株式について譲渡を制限できる。
・株主間の譲渡について、承認を要しない。
・特定の属性を有する者(従業員等)に対する譲渡については、承認を要しない。
・譲渡を承認しない場合において先買権者をあらかじめ指定しておくことができる。
・取締役会を設置する会社において、承認機関を株主総会とすることができる。
ここで、一部の株式についてのみ譲渡制限を行った場合には、株式譲渡制限会社にはならないことには注意が必要です。
【自己株式の取得】
新会社法では、自己株式取得の決議が臨時株主総会でも可能となり、譲渡人を指定しない方法も新設されるなど、自己株式の取得方法が多様化されました。
【相続人等に対する売渡請求】
これまで株式を譲渡制限株式とした場合でも、相続や合併等の事由による株式の移転は制限できず、会社にとって好ましくない者に株式が分散することを阻止できませんでした。
そこで新会社法では、定款で定めることにより、会社が相続等で移転した譲渡制限株式について売渡請求を行うことができるようにしました。
ただしこの売渡請求には以下のルールが義務付けられています。
①請求期限
相続等があったことを知った日から1年以内に、株主総会の特別決議を経て請求する必要があります。
②売買価格
株式の売買価格の協議が整わない場合、裁判所に売買価格決定の申立てができます。
ただし、申立ては売渡請求の日から20日以内に行う必要があります。
③財源規制
剰余金分配可能額を超える買取りはできません。
【議決権制限株式】
これまで発行済株式総数の1/2までとされていた議決権制限株式の発行限度がなくなりました。
(議決権制限株式の活用)
株式譲渡制限会社においては、株主総会の特殊決議により、議決権や配当について株主ごとに異なる取扱いを定款に定めることができるようになります。
これまでの有限会社と同様の定めをできるようにしたわけです。
次回も新会社法について整理します。
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