きょうはこの絵本を持ってカフェに出かけるので、バッグに入れる前に書いてしまいます。
バージニア・リー・バートン作のこの絵本に、残念ながら私自身は子どもの頃には出会っていなくて、
初めては軽井沢の絵本美術館に、幼い息子を連れて訪れた折の、英語版なのでした。
もちろん、もう村岡花子さん訳の日本語版はあったので、図書棚のどこかにあったはずなんですが、
なぜ英語版を目に留めたのでしょうね?
息子は電車が大好きでした。
いつもガタンゴトンと言いながら運転士さんになり、親たちを乗客にして後ろに従え、
線路を行くようにまっすぐに歩いていました。
手には小さな金属の電車模型を、どこにでも連れて行きました。
家には電車の図鑑がありましたよ。
カラー写真や多色刷りの電車本をみなれていたせいか、
"CHOO CHOO"は、とても新鮮でした。
くすんだ赤の直線的な図柄の表紙に
機関車が、石炭色で、煙を吐いて、突き抜けるようなスピード感で描かれています。
中の絵もずーっと石炭色。文字の配置が、まるで線路のような。煙のようにも見えるデザイン。
とても力強くて、あっというまに夢中になってしまいました。
この絵本にはカセットテープがついていて、家に帰ると早速これをかけて、
息子と絵本に見入り、めくり。
親子で大のお気に入りとなり、繰返し楽しんだのです。
作者のバートンさんは、『ちいさいおうち』で私も知っていました。
こちらには、小学生の頃、出会っていて、強く印象に残っていました。
小さいお家と小さい機関車の物語は、何か共通点があるようにも思えました。
お家は、じっとしていたけれど、
機関車は、逃げだしました。そのときの
"Now is my chance!"
のことばには、本当に胸が高鳴ります。
逃げだしたというより、自分の足でかけだしたんですね。
チャンスは、見逃さない!
後になって、ラボ・パーティという英語教室に出会い、
この絵本を教材のなかに見つけたとき
やはり"Now is my chance!" が鳴り響いてしまったんです。
村岡花子さんの翻訳は、日本語のおはなしで聞いても、ワクワクする作品となっています。
長い長い間、子どもたちを感動させる、素晴らしい作品です。