どうなるんだろう・・と引き込まれて読みました。でも、実際に起きた世を騒がせた事件とからめた内容の小説って、あまり好きではないんですよ・・・。フィクションと解っていても、それを読む人側は、事実であったかもしれないと思う人も多いだろうし、またその事件に関わっているご家族などが気の毒に思うので。
本作も、英会話の外国人講師を殺害した後、整形をして長年逃亡生活を送っていた市橋達也の事件を軸にしています。
ただ、本作は、市橋の身辺や心情を追うという内容ではなく、もしかしたらこの人があの犯人なのではないか?と、疑う・・という3組の群像劇でした。
人を信じるということは?疑うということは?という事が大きなテーマになっていたかと思います。
なので、おもしろおかしく、野次馬根性的な小説では決してないんですよね。
とはいえ、やっぱり話題性を狙って、市原事件を軸に持って来てしまっているという印象はいなめないわけで(すいません、こんなこと言って)
市橋事件を入れずに、こういうお話を書いてくれたら、凄く良かったのになーなんて、勝手に思ってしまったのでした。
作者の吉田さんは、犯人の顔が一般公開された時、「似ている人を知っている」と警察にかかってくる電話の多さというのに注目して、本作を書くに至ったそうです。
何よりも、犯人じゃないのに、疑ってしまった・・・という部分が、ラストにガツーンと来る小説でした。
3組とは、東京に住む若いゲイカップル。漁港で働く父親と、若干知恵おくれ気味な娘、沖縄の離島に引っ越して来た少女、に分かれています。
この3つの中で一番印象的だったパートが、漁港の愛子と父でした・・・。
愛子は家を出てった後、歌舞伎町で身を崩してしまっていたのを父が助け出して、実家に戻って来た。こんな娘が、まともな幸せをつかめる気がしないという思いを抱いている父。でも娘を本当にいつも気にかけているんですよ。
お父さんの気持ちがね、読んでいて切なく、辛いんです・・・。
愛子が、流れ者の男を好きになって、なんだかんだで一緒に暮らし始める。その男を、だんだん疑う様になって・・・
★以下ネタバレ 白文字で書いています★
3組の内、2組は疑った男は、犯人ではなかった。相手を疑ってしまった事に対して、読みながら、あ”--!!ってなります。
疑う人の気持ちも良く解るだけに・・・。
ところで愛子ですが、男に40万円を渡して(涙)2時間程の猶予で逃げられる様にしてあげたこと、やっぱり出て行ってしまった事など、とても悲しかったけれど、最後に東京駅から電話が来て、迎えに行く!と、予想外に、良い感触の未来を予感させられる締めくくりで良かったです。
そしてゲイカップルの方は、なんと!行方不明になっていた直人は実は心臓が悪くて、公園で突然亡くなっていたことが解る。あぁー。
「怒り」という文字の下に、米兵に強姦されていた少女について、酷い事が黒サインペンで書かれていて、それを見た、少年が犯人を刺殺してしまうというラストの展開は、うーむ・・・。以上
「怒り」吉田修一 (2014/1/24)
「路ルウ」「平成猿蟹合戦図」
「さよなら渓谷」「パーク・ライフ」
横道世之介
悪人
色々、ライブで報道を見てると、作家という生き物は、想像力が暴走して、どうしても、書かずにおれない気持ちになるのでしょうが、私も、
>その事件に関わっているご家族などが気の毒に思うので
という思いに共感です。
確かに、書かれたものは、真実の事件とは全く違うけれど、それを読んで不快になる事件の関係者が一人でもいるなら、うう~ん。
その方の気持ちを想像する能力があるのに、書きたい気持ちと遺族を悼む気持ちを天秤にかけて、自分の作家活動の方を正当化して書いているのでしょうが、作家活動がそこまで崇高かどうかを決めるのは作家なのかしら、って思います。
なぜならば、作家活動は経済と無縁ではないから。
インスパイアされただけで、書きたい真実を他のやり方で、誰も、読者が、ああ、あの事件がモデルに、って思わないものを書くのが作家なのでは、と思いながら読んでました。
難しい問題なので、私の意見が正しいとは言えないんだけど。
私は、ゲイの登場人物の最期がすごく印象的で、記憶に残っています。
映像化されるのなら、壁に書いたものが、多分、クレバーな人の手によって、更に物語の核心を突く映像になるのでは、という予感がしますね。
すっかり涼しくなりましたね。朝晩は寒いです。
お布団が気持ちが良い一番好きな季節かも。
同じ様に牧場主さんも思っていたのねー。
吉田さん以外にも、角田光代さんや、桐野夏生さんとかも、こういった作品を何度か書かれてますが・・・
みなさん好きな作家さんなのだけれど、そういった内容の小説は、やっぱり・・・あまり好きではないです・・。同じ理由で。
そうですね・・・。書かずにはおれない、書きたい意欲がメラメラと湧き上がって来るのかもしれませんね。
でも、やっぱりなあ・・・・。
牧場主さんと同感です
ゲイの最期、ショックでしたわ・・・。
私の中では、なぜか、松田龍平でした。
松田さん、最近結構頑張って「まほろ」の宣伝でバラエティ出てるでしょ、いくつか拝見したんですけど、結構中年になりましたね。
私、彼の作品結構長い間、お母さんか、って目線で長く見てるけど、いつか、お父さんより年を取るのね、って初めて思いました。
結構、瑛太さんと出るでしょ、したら、二人の出会いの「青い春」の映像が流れて、「若っ!」ってびっくりして、ああ、年齢不詳のこの子(やっぱり子って気がする)も年取るのね、って。
素敵な所に色々お出かけなさっているのね。
すごくおいしそうに写真撮られているので、行って食べてみたいって思いました。
そうそう、最近あの2人、よくテレビで見ます。
いつか父より年を取る、っていうの、ものすごい衝撃でした。
そうなんだなあ・・・。あと10年もすれば。
凄い不思議な感覚で、家の旦那にも、それを話しましたよ。
ところで「青い春」に瑛太君出てたんですか?!全然覚えてない・・・。
龍平は主役クラスだったけど、瑛太君って脇役だったのかな・・・
この前、ウェンツと3人で町田を歩くって番組をやっていて、ウェンツが芸能歴25年?だかで、一番長くやっているのにも驚きました。
「青い春」は私も瑛太は覚えていません。わらわら学生服着た中にいたのかしら。
私、結構だらだら書いてしまうので、他の方はその後、コメント残しにくくなってしまうのかしら・・・この本すごい話題作だと思うんだけど・・・私、自分勝手にお話ししているかしら・・・?
うわーい、牧場主さんも、あの時間、あの番組を見ていたのねー
そうそう 凄い、同じ!解る!なんか龍平って、見ていてハラハラするのよね。
でも、意外と周りが心配するより、しっかりしてそう。
やだー牧場主さんったら、そんな事全く気にしなくて良いですよ。これからも、気にせず、どんどんお話してくださいまし。
それと、私の普段お付き合いのあるブロガーさんで、この本について感想書いている方、いらっしゃらなかったです。