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「最後の息子」吉田修一さんのデビュー作 1997年
今迄幾つか吉田さんの本は読んで来たけど、デビュー作とか初期の作品って読んだ事なかったな・・・と気がつき、手に取ってみました。
吉田さんの本の中では一番「横道世之介」が好きなのだけれど、初期の作品を読んでみたら世之介に通じる部分が結構あちこちにあって、なるほどー!って思いました。
「最後の息子」「破片」「WATER」の3編収録
主人公(多分バイセクシャル)は閻魔ちゃんという年上のゲイと同棲中。お姉言葉でお金があって愛情もくれる(女性の側)
自分は相手の事をそこまで愛情持っているわけじゃないけど、相手は自分にゾッコンという状態。閻魔ちゃんの2丁目のお店には色々な人が出入りして、そこに大統領というあだ名の子も来ていたのだが、公園で殺されてしまう。(この頃はこういう事件があったのね・・・怖いね)
「破片」
幼い頃に兄弟と父と三人で海へピクニックへ行った日の思い出と、現在の兄弟が成人してからのお話。
東京へ行った長男が帰省、年上の水商売の女にのめりこんでいる次男、相手の女性は困っている・・・。
父親の酒屋の配達の仕事の手伝い等が長崎の坂が多い処で、凄く大変なのが伝わって来る。
実際に吉田さんのお父さんは酒屋さんをやっていたそうだから、手伝った経験もありそう。
「WATER」
青春もの。
水泳部男子4人。友達の彼女のことが気になる。(この女の子が結構策士というか・・)
友達は彼女の事が「性欲が強くてイヤだ」と。どうやら彼はゲイの様子。寝てる時に自分の布団で色々やってきて困ってしまった事もある。
女の子の手を初めて握ったバス、女の子を見送った後、運転手さんに「坊主、今から十年後にお前が戻りたくなる場所はこの中ぞ!将来戻りたくなる場所におるとぞ。」って言われるシーンが印象的。
吉田さんもスイミングスクールのコーチの仕事をしていた事があるそうだから、もしかしたら学生時代部活が水泳だったのかも。
『最後の息子』(1999年7月 文藝春秋 / 2002年8月 文春文庫)
最後の息子(『文學界』1997年6月号)
破片(『文學界』1997年9月号)
water(『文學界』1998年8月号)
・・・・・・・・・・・・
春、バーニーズで 2004年
随分昔に一度読んでいたはずですが、もう全然記憶が無い状態で再読。
なかなか面白かったです。
「最後の息子」を読んだ後にこれを読むと、ずっと読書感が違いますね。ノスタルジックで良かった・・・。
現在は離婚歴のある妻と前の夫との子供と幸せに暮らしている筒井。
バーニーズで10年前暮らしていた閻魔ちゃんと現在の若い彼氏とばったり遭遇するというお話。
現在瞳という束縛せずに大らかで姐さん的な女性と初婚で結婚した彼は一緒に暮らす瞳のお母さんにとても感謝されている。
筒井は血は繋がってないけど息子の文樹のことを我が子と思っており、とても可愛がっている。
世之介でヤンキーや水商売だけど気の良い女性がよく登場したり、血は繋がってないけど凄く可愛がる良い親子関係って、きっと過去に身近に見て来たか体験したか・・なのではないかなって思いました。
ところで新宿店のバーニーズは2年前に閉店しているんですね。90年にオープンして30年間続いていたそうだけど、そもそも本元のアメリカのバーニーズ自体が売り上げ不振で倒産?身売り?してるそうで・・・。
『春、バーニーズで』(2004年11月 文藝春秋 / 2007年12月 文春文庫)
春、バーニーズで(『文學界』2002年9月号)
パパが電車をおりるころ(『文學界』2003年2月号)
夫婦の悪戯(『文學界』2004年4月号)
パーキングエリア(『文學界』2004年11月号)
楽園
・・・・・・
あと別な本「青春Ⅰ」(作品集?字が小さくて上下巻で分厚くてマイッター!)の最後に書下ろしの「自伝小説」という短い短編があって、そこから先に読んじゃったんですが、吉田さんのプライベートの過去の事が書かれていました。
母方は兄妹が多く、入れ墨を入れた人も多かったそう。
でも兄弟や親類の仲がよくて、しょっちゅう集まってはワイワイやっていた様子。
吉田少年は5年生まで週末は母の実家に滞在する暮らしをしていた時期があったそうな。
母を含めた3姉妹は美人で有名だったそう。
お母様は吉田さんが20代の頃早くにお亡くなりになられたそう。
またヤンキーの親類のお姉ちゃんは吉田さんのことを可愛がってくれて、色々大人の世界?を見るかけはしとなり、ピンクレディのコンサートに連れて行ってくれたり、一緒に出掛けたり・・と良い思い出があるみたい。
あと、親類の中に物書きの人がいたそうな。でも、誰もそのことを話さないのでずっと知らずにいたそうだ。任侠もので有名俳優で映画化もされた本もあったそうなのに。
吉田修一 「永遠と横道世之介」
「続、横道世之介」
「怒り」「路ルウ」「平成猿蟹合戦図」「さよなら渓谷」「パーク・ライフ」「横道世之介」
「悪人」
今迄幾つか吉田さんの本は読んで来たけど、デビュー作とか初期の作品って読んだ事なかったな・・・と気がつき、手に取ってみました。
吉田さんの本の中では一番「横道世之介」が好きなのだけれど、初期の作品を読んでみたら世之介に通じる部分が結構あちこちにあって、なるほどー!って思いました。
「最後の息子」「破片」「WATER」の3編収録
主人公(多分バイセクシャル)は閻魔ちゃんという年上のゲイと同棲中。お姉言葉でお金があって愛情もくれる(女性の側)
自分は相手の事をそこまで愛情持っているわけじゃないけど、相手は自分にゾッコンという状態。閻魔ちゃんの2丁目のお店には色々な人が出入りして、そこに大統領というあだ名の子も来ていたのだが、公園で殺されてしまう。(この頃はこういう事件があったのね・・・怖いね)
「破片」
幼い頃に兄弟と父と三人で海へピクニックへ行った日の思い出と、現在の兄弟が成人してからのお話。
東京へ行った長男が帰省、年上の水商売の女にのめりこんでいる次男、相手の女性は困っている・・・。
父親の酒屋の配達の仕事の手伝い等が長崎の坂が多い処で、凄く大変なのが伝わって来る。
実際に吉田さんのお父さんは酒屋さんをやっていたそうだから、手伝った経験もありそう。
「WATER」
青春もの。
水泳部男子4人。友達の彼女のことが気になる。(この女の子が結構策士というか・・)
友達は彼女の事が「性欲が強くてイヤだ」と。どうやら彼はゲイの様子。寝てる時に自分の布団で色々やってきて困ってしまった事もある。
女の子の手を初めて握ったバス、女の子を見送った後、運転手さんに「坊主、今から十年後にお前が戻りたくなる場所はこの中ぞ!将来戻りたくなる場所におるとぞ。」って言われるシーンが印象的。
吉田さんもスイミングスクールのコーチの仕事をしていた事があるそうだから、もしかしたら学生時代部活が水泳だったのかも。
『最後の息子』(1999年7月 文藝春秋 / 2002年8月 文春文庫)
最後の息子(『文學界』1997年6月号)
破片(『文學界』1997年9月号)
water(『文學界』1998年8月号)
・・・・・・・・・・・・
春、バーニーズで 2004年
随分昔に一度読んでいたはずですが、もう全然記憶が無い状態で再読。
なかなか面白かったです。
「最後の息子」を読んだ後にこれを読むと、ずっと読書感が違いますね。ノスタルジックで良かった・・・。
現在は離婚歴のある妻と前の夫との子供と幸せに暮らしている筒井。
バーニーズで10年前暮らしていた閻魔ちゃんと現在の若い彼氏とばったり遭遇するというお話。
現在瞳という束縛せずに大らかで姐さん的な女性と初婚で結婚した彼は一緒に暮らす瞳のお母さんにとても感謝されている。
筒井は血は繋がってないけど息子の文樹のことを我が子と思っており、とても可愛がっている。
世之介でヤンキーや水商売だけど気の良い女性がよく登場したり、血は繋がってないけど凄く可愛がる良い親子関係って、きっと過去に身近に見て来たか体験したか・・なのではないかなって思いました。
ところで新宿店のバーニーズは2年前に閉店しているんですね。90年にオープンして30年間続いていたそうだけど、そもそも本元のアメリカのバーニーズ自体が売り上げ不振で倒産?身売り?してるそうで・・・。
『春、バーニーズで』(2004年11月 文藝春秋 / 2007年12月 文春文庫)
春、バーニーズで(『文學界』2002年9月号)
パパが電車をおりるころ(『文學界』2003年2月号)
夫婦の悪戯(『文學界』2004年4月号)
パーキングエリア(『文學界』2004年11月号)
楽園
・・・・・・
あと別な本「青春Ⅰ」(作品集?字が小さくて上下巻で分厚くてマイッター!)の最後に書下ろしの「自伝小説」という短い短編があって、そこから先に読んじゃったんですが、吉田さんのプライベートの過去の事が書かれていました。
母方は兄妹が多く、入れ墨を入れた人も多かったそう。
でも兄弟や親類の仲がよくて、しょっちゅう集まってはワイワイやっていた様子。
吉田少年は5年生まで週末は母の実家に滞在する暮らしをしていた時期があったそうな。
母を含めた3姉妹は美人で有名だったそう。
お母様は吉田さんが20代の頃早くにお亡くなりになられたそう。
またヤンキーの親類のお姉ちゃんは吉田さんのことを可愛がってくれて、色々大人の世界?を見るかけはしとなり、ピンクレディのコンサートに連れて行ってくれたり、一緒に出掛けたり・・と良い思い出があるみたい。
あと、親類の中に物書きの人がいたそうな。でも、誰もそのことを話さないのでずっと知らずにいたそうだ。任侠もので有名俳優で映画化もされた本もあったそうなのに。
吉田修一 「永遠と横道世之介」
「続、横道世之介」
「怒り」「路ルウ」「平成猿蟹合戦図」「さよなら渓谷」「パーク・ライフ」「横道世之介」
「悪人」
この『最後の息子』『春、バーニーズで』は比較的最近、でも昨年2月と一昨年8月と逆順に読んでます。どちらも「上手いな~」と。若干、どこか夜の酒場や背徳の香りが漂いますが、このレベルならokです。
http://todo23.g1.xrea.com/book/keyword.html?key=%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%81%A7
割と最近、この2冊を読まれていたとは、すごく嬉しいです!
お声かけて下さって、ありがとうございました。
あー、確かに。桜木さんと少し似てるな・・。
実は私もあまりそういう裏社会とかのタイプの内容は好みじゃないんです。
それなのにもかかわらず桜木さんと吉田さんのそういうタイプの内容の小説を割と読んでるんです。
私は小説とか映画とか途中で挫折することがかなり多いんですけど、挫折せずに最後まで読ませる力が2人ともある証拠ですもんね。
吉田さんの小説は昔はお洒落な作品って言われていたみたいですね。
バーニーズのとか読むとそれが解る感じです。
「悪人」等から入った私としては違うイメージでした。
吉田さんの住むお部屋(高層マンションのワンフロア―?)凄くて。NHKで猫との番組の見たんですけど、優雅でまさに都会の成功者でした。
「青春Ⅰ」は知らなかったです。
親類に物書きの人がいた、は「熱帯魚」だったかでそんな登場人物がいたような、いなかったような…。
吉田修一さんの背景がよくわかりますね。
苦手ジャンルだけど「悪人」「怒り」も読むべきかなぁ。
青春1は、作品集みたいです。値段が3800円と高価で、作りもしっかりしてる保存版?っぽいの。
そこに「熱帯魚」も入っていたから、今度読んで見ます。
なにせ、字がすっごく小さいので読むのがキツイのよ・・・。
こにさんは初期の作品はじめ、殆ど吉田作品読んでいるのに、たまたま私が読んでいてメジャーどころの「悪人」とか「怒り」をまだ読まれてないっていうのが面白いわ。
うーん、、、重いし暗いし、ダークですよ・・・。苦手なら、うーーん・・・。