ネタバレ感想「あずかりやさん まぼろしチャーハン」大山淳子

あずかりやさんシリーズの4作目。2年くらい前にこのシリーズを読んでとても気に入ってその年のベストに入れた記憶があります。
ちょっと忘れているうちに新巻が出ていたことを、お友達ブロガーさんから教えてもらって、慌てて図書館にリクエストしました。

ただ、ほんの1，2年前に読んだというのに、リンクしているであろう人物や出来事を忘れているところがあってショック。
急いで既刊本を再読した次第。1話目の白血病と戦う女子中学生、この少女については、うっすら記憶はあったのだけれど、ぼんやりしていて・・・やっぱりしっかり分かったうえで読むのとでは違って来ると思うので・・・。3巻目「彼女の青い鳥」内の最終章にちらっと登場する一ノ瀬はずみ。

あと、高校時代の同級生の生意気な女子（桐島君と鎌倉の海に2人で行った）と同級生の男の子。この子らのことも、すでにもう記憶がぼんやりしかけていて、2巻目「桐島君の青春」を再読して、記憶がはっきり蘇って来た次第・・。

とはいえ、このまぼろしチャーハンだけを最初に読んでも問題ない作品になっていますし、面白く読める良いお話だったと思います。
「ラブレター」と「高倉健の夢」が面白かったです。

★全部ネタバレで書いています★

『ラブレター』
二卵性双生児のバスケ部でモテモテの弟の方に送られたラブレターを、兄がふと読んでしまい、その差出人の女子の一生懸命さに心を打たれる。弟になりすまして「がんばれ」っていう年賀状を返してしまった。その後もそのラブレターは捨てられず手元にずっとあったまま・・・

その少女は学校を病気のために途中で来なくなって、その後どうなったのか解らないままでいたが、高２のお正月、いきなり3年ぶりに、その少女から兄の一歩宛てに年賀状が届いたのだった！　それから1年弱クリスマスの時期に、今度は一歩が彼女に、とある場所を指定してそこで待っているという便りを出すのでした。寒い冬のテラス席、もう来ないか・・と思った矢先、大学3年になった彼女は声をかけてきた！

彼女はつらい闘病を経て、現在は元気に生活していました！　彼女はあずかりやさんにラブレターを預けたことを忘れていたんですね。
この主人公のモテないお兄ちゃんが、すごくいい子でね・・・
結局その少女とお兄ちゃんが良い感じの関係になりそう、ってところで終わっています。面白かったです。

『ツキノワグマ』
鮭をくわえたツキノワグマと並べて置かれる黒電話が主人公。
記憶が失われる前にと声を録音して預けていく男性と、後から残っていたメモから訪問してきたその妻。男が録音したのは、人生でその妻に出会えて結婚できたことが幸せだったということだった。
透の盲学校時代の友人西野と石永から電話が来る。
桐島君の誕生日に、ふらっと電話をかけてくる石永。その後、しばらく何年もブランクがあって、結婚の報告をやっぱり誕生日に一方的にして来た。やっぱり石永って桐島君のことが好きだったのかな？
西野はクラス会にと誘うのだが断る。透が片思いというか憧れていたピアノを弾く河合さん（石永と寮で同じ部屋だった）も来るというのに・・・。
そして、無言電話をかけてきた人物が。後ろで咳の音がしたことから、お母さんかしら・・・。

『まぼろしチャーハン』
母が熱を出して、幼い娘を保育園まで連れていくことができず、200円握らせる。さとうさんのところにいさせてもらいなさい、と言ったのを、のれんに「さとう」と書いているのであずかりやさんにきて、そこでチャーハンをごちそうになる。

『高倉健の夢』
河原で暮らしていた三人のホームレスのおじさんたち。それぞれ高倉健とか石原裕次郎とか好きな名前を付けて呼び合ってるのがいいですねー。
ある時川べりで拾った鞄が、思いがけず、お宝のヴィトンのバックだったことが解る！
そして、そのバックの持ち主だった人物の娘さんがずっとそのかばんを探していた。
富豪の娘さんが持っている無人の別荘に彼らが住めるようになったオチはとても良かったです。

『文人木（ぶんじんぎ）』
とても高価な盆栽を孫に相続させて亡くなった祖父。

あずかりやさん まぼろしチャーハン 2020/12/9　大山淳子
一日百円で何でも預かります。東京の下町でひっそりと営業する「あずかりや」。「半年後に引き取りにこなかったらポストに投函して」と店主に託された手紙の行方は?　突然店にかかってきた電話の相手は、意外な女性で…。高倉健、緒形拳、石原裕次郎の三人が預けた「ある物」とは?　日本屈指の盆栽の名人が遺した名木を、不肖の孫が受け継いだことから巻き起こる大騒動…

「あずかりやさん 彼女の青い鳥」
あずかりやさん　桐島くんの青春
あずかりやさん