
まず先に読んだのは「役にたたない日々」(同時に図書館にリクエストして、先に回って来たのがこちらでした) 2003年秋~2008年までのエッセイ集です。
最初に感じたのは、かなりズバズバと本音を言う女性なんだなぁ~ということかな。


あと、長年煩っていた「鬱病」が、ガンで余命わずかと宣告されたとたん、治ってしまった・・・と言っていらっしゃいましたね・・・。ガンについて語る時の彼女の語り口が、さばさばしていて圧倒されました。
そして一番印象に残ったのは、ずっと心の中で嫌悪していた母親との関係の部分でした。この部分は、後に読む「シズコさん」で一杯書かれているのですが。
痴呆になって施設に入っている母が、意識してはいないのかもしれないけれど、妙に悟った様な言葉がポンと出て来たりしていました・・。
「母さん、天国に行きたいね。一緒に行こうか。どこにあるんだろうね。天国は」
「あら、わりとそのへんにあるらしいわよ」



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「シズコさん」

実母と娘の関係というのは、こじれている人や、うまくいってない人など、結構いる気がする。すっごく仲良い気が合う母娘もいる反面、どうも反発してしまったり、ウマが合わない人もいるみたいで・・・。

この本読みながら、色々な事を思いました・・・。女性に是非読んで頂きたい本だな~と思いました。すっごく仲良しの親子関係の人には、どうだろう?と思いますが、それ以外の方々に是非。
ただ、ちょっと解らなかったのは、この本、何度も同じエピソードが出てくるんです。あれっ?これさっき読んだよな? あれ・・また出て来た??って、頭が混乱。
連載されていたエッセイをまとめた本ということらしいけれど、出版する際に、必ずチェックするだろう事を考えれば、意識的にそれを了解して出版したということだと思いますが・・・。

シズコさんは確かに一時期佐野洋子さんを虐待していたと思います。ひどい・・・と思いました。


でも、妹よっちゃんへの態度、知恵遅れの妹や弟への冷酷な態度、見栄っ張りでお高くとまっている様子なんかは、凄く嫌いだ

でも、戦時中溺愛していた長男を、次男を次々亡くして、シズコさんのショックやどれほどのものだったろう・・・

う~~ん、ほんとシズコさんは、良い面と悪い面とがミックスされていて、私のシズコさんへの気持ちも、アップダウンが忙しかったです。

結局、好きな人ではないものの、素晴らしい部分も一杯ある人だと思いました。
それにしても、遠慮無く、身内の事をここまでグロテスクにぶちまけるなんて、すごい・・・と呆然ともしてしまったんですけれど、でもラストに70才、90才にして、わだかまりが解ける様子は、うるっと来ました。


佐野洋子さんには息子さんがいて、溺愛されているんですよね。もし娘さんがいたら、どういう風になっていただろう? 自分の娘を育てながら、かつての自分の母に自分を重ねて、許せる部分と、逆にやっぱり許せない感を強めて行ったりもしたのでしょうか・・・。
あと、洋子さんが子供の頃、幼い一番下の妹を溺愛して尽くして来たのに、妹はその事をあんまり覚えておらず、たまたまやっちゃったマイナスな事件2回の事を妹はよく覚えてる・・ってのは、悲しかったな・・・。人間、良い事は忘れやすく、悪い事は覚えているものなのよね


佐野洋子さんの子供時代は、家の母とほぼ同世代なのですが、日本は貧しかった・・・と感じさせられました・・・。また佐野洋子さんは自分の幼少時代のこととかを、色々とずいぶんハッキリ覚えていらっしゃるんですよね・・。
幼くして亡くなってしまった兄や弟たちのことを、ずっと忘れずにいつも思っていることもジーンとしました。特に弟タダシの事を「今覚えているのは私一人になってしまった」という言葉が何度も出て来て、こんな風に「覚えていてくれる人」の姉の存在が天国のタダシはさぞ嬉しく思っているだろうなあ・・・と思いました。
佐野洋子さん、今はどうされていらっしゃるのでしょうか・・・。ガンが骨に転移され、余命あと2年ほど・・・と書かれていましたが、惜しいです・・。まだまだ長生きして頂きたいです・・・。

そういえば角田光代さんも、実母との確執みたいのを書かれていたことがあって、でもその母がガンになってお亡くなりになられてからは、やっぱり気持ちが少しほぐれて変わって行った様な事も書かれていました。
そして「シズコさん」では佐野さんと実母の妹のよしこさん(優しくて良い人で、気が合う)についても書かれており、角田さんも確か、母よりもむしろ母の妹(独身で子供がいなかった)との方が気があっていた・・ってことを読んだことがあったのを思い出したりしました。
佐野 洋子(さの ようこ、1938年6月28日 - )は、北京生まれの作家、エッセイスト、絵本作家。一時期、谷川俊太郎と結婚していた。←これにはびっくり
『やぎさんのひっこし』で絵本作家としてデビュー。『100万回生きたねこ』が有名。エッセイストとしても知られ、『神も仏もありませぬ』で2004年度の小林秀雄賞を受賞。
私、TBを二つ送ろうとして、『役に立たない日々』は感想書いてないことを思い出しました。
韓流ドラマにハマるところ、面白かったよね~。で、飽きたらボロカス(笑)。
佐野さん、すっごく正直な人ですよね。
私は以前、佐野さんの『神も仏もありません』も面白く読んで母に薦めたら「こんな本すすめないで!」みたいなことを言われてすっごくショックでした。
ウチの母も佐野さんと同世代だし、面白く読めると思ったんだけど。。。
佐野さんって露悪的だし、嫌う人も多いかもしれませんね。
latifaさんは嫌悪感は抱かれなかったみたいで安心したわ。
でも、ウチの母ももうちょっと気を遣って欲しいよね、娘に(笑)。
この2冊の更に続編っぽい『天使のとき』という本も読みましたが、それはちょっとファンタジー(?)っぽくて、毛色が変わった感じでした。
体調はどうなんでしょうね。。雑誌に連載されてたエッセイのタイトルが『死ぬ気満々』だったと思うんだけどね(爆)。
ではでは、また来ますね~。
先ほどは、色々とお話出来て、嬉しかったです~
佐野さんの口から、wonbinとか、色々なドラマ名が出て来るとはびっくりだったわ。その後も日本のドラマとか俳優名がちょこちょこ登場してて、面白かった。ヨン様とビョンホンは違うけど、若干男子の好みが似てる気が・・・(三谷さんの「王様のレストラン」で松本幸四郎が好きとか
あと、すごいびっくりしたのが、不謹慎過ぎるかと思ってネットで私は書いたこと一度も無いんだけど、ビンラディンの外貌が・・って部分には、実は私も同じ事思ってたので、ぶっとびました
で、そうかあ・・・お母さんに『神も仏もありません』をお薦めしたのに、、そうだったんだ・・・残念でしたね・・・
私もね、「こんな本(映画)すすめないで!」みたいなことを言われた事あります・・・
そういや、両親に「ゆれる」をお薦めして見せたら「あの弟、勝手に悪い事ばっかり覚えて、被害妄想ばっかりで、、」って怒ってた・・・
確かに佐野さんって正直過ぎる(爆)というか・・苦手な人もいるかも・・
私は大丈夫でしたよー。でも、佐野さんのお母さんみたいな人(←ちょっとツンツンしてお高くとまってる系の部分)は、ちょっと苦手かも。
「死ぬ気満々」って、すごいタイトルですね
カッパとか長靴とかして行ったらやる気満々って思われたらイヤだな、って思って普通のかっこをしていったら大変な目に・・・
ふ~、って感じです。
先日、佐野さんの「天使のとき」と「シズコさん」を読みました。
うーん、ガツガツ死んでいくっていうか、ホントにこれから死ぬんですか、アナタっていう感じ。
尊敬、かつ、あっけにとられました。
私も佐野さんの母親に対する思いを何とか自分の言葉で何とかしてから死ぬんだい! っていう思いに圧倒されましたが、少しその都合の良い記憶の処理がされているだろう事が読み手に分からないのはフェアじゃないなって思いました。
その都合の良さって言うのがまさに癒えるっていう脳の働きだと思うんですね、誰にでもあること。
でも、これは自分はなるべくしたくないですね~。
一時期母親との関係に煮詰まってしんどいな、って思って日記に書いて頭を整理しようと思ったんですけど、自分に対してあまりにも保身的に記憶が捏造されているような卑怯な感じがしてやめましたことがあるんです。
自分だけの視線で思い出を自分の為だけに語ると、ホントすっきりするんですけどね、その様子が母親と似ててうんざりして・・・
欠点だけは似たくないのに、似てることを確認するっていう作業がまたしんどくて。
私の場合は、友達のお母さまが亡くなられたことがきっかけでもう、全部スッキリ消化しちゃったんですけどね、ああ、生きてるだけで有り難いんだ、ってやっと分かったんですわ。
佐野さんは自分の死期が近づいてまだ格闘されているんで、そのヘビーさにびっくりです。
弟さんのことを覚えているのは自分だけっていうとこ、私もじーんとしました。
先日志村ふくみさんの「白夜に紡ぐ」っていう本を読んだのですが、亡くなられたお兄さんのことについてそういう似たような思いをつづられていたんです。
文字にすると死者に届くような気がこちらもするから、赤の他人でさえそう思うんだから、多分届いているんでしょう。
なんと!!大雨の日に、学級委員として、駐車場整理せねばならんのですか??
そんな仕事まであるとは・・・・
風邪引きませんでしたか?可愛そうに~~~
>ガツガツ死んでいくっていうか、ホントにこれから死ぬんですか、アナタっていう感じ。尊敬、かつ、あっけにとられました。
ほんとにね、、すごいですよね・・・。
>少しその都合の良い記憶の処理がされているだろう事が読み手に分からないのはフェアじゃないなって思いました。その都合の良さって言うのがまさに癒えるっていう脳の働きだと思うんですね、誰にでもあること。
でも、これは自分はなるべくしたくないですね
ぬお~~。牧場主さん、やっぱりいつもながら、視点が深いです!!全然そういう事考えずに読んでしまいました。
そういえば、牧場主さんも、長女でしたよね・・・。
>自分に対してあまりにも保身的に記憶が捏造されているような卑怯な感じがしてやめましたことがあるんです。
これ!すんごい牧場主さんらしい、って思いました。
お母さんと似てる部分ってやっぱり親子なので、DNA的に言っても少しあって当然なわけで・・・でも、似たくない部分が似てしまってることに気がついてがっくり来る・・っていうのは解りますよ・・・。
私は、家の両親がそれぞれ兄弟・姉妹がやっぱり多かったんですが、それぞれ絶縁状態になっているんです。父の方は、全くと言っていいほど父の兄弟や、その親類とつきあいがなくて。
ところが最近、親類の人がどういう人だったか?って話が出たら、密かに自分と似ている事にぞっとしたんです・・・。やっぱり血筋ってあるのかな・・・って思ったりしました・・。
>友達のお母さまが亡くなられたことがきっかけでもう、全部スッキリ消化しちゃったんですけどね、ああ、生きてるだけで有り難いんだ、ってやっと分かったんですわ
そうでしたか・・。そうですよね・・・。
>志村ふくみさんの「白夜に紡ぐ」
これ、面白かったですか? 読んだ方が良いかな?^^
牧場主さんのご両親は、それぞれ兄弟・姉妹を亡くされたという経験は無いのかな?家の両親は、それぞれやっぱり数人亡くなっているそうです。
家の母(長女)は、自分の兄が幼くして死んじゃった事とか時々話すんですよ。長男だったせいもあり、祖母が凄くかわいがっていたのに、病気で死んでしまったらしいです。その時の祖母のショックたるや、目もあてられない状態だったらしいです。
家の両親は自分の子供時代の話は辛かったのか、ほとんど話さないし、話したがらないんです。兄弟仲が良いとか、そういう感じだったら、違っていたかもしれませんが・・・。
家の両親は両方とも兄弟はまだいます。
時代が今より大変だったから、子供といえど働き手とみなされた辛かった苦労話とかはたまにしますが・・・
うーん、そうそう、「歩いても歩いても」のお母さんが亡くなった子供のことを語る、ああいう、入り込む隙間がない喋り方をするんで、「・・・」っていう感じで始まったら終わるまで待つ、しかないんです。
聞くしか出来ないし、こっちの言葉を一切求めていないっていうあのオーラはね、もう、どうしようもないです、その時代を私が知らないものだから。
私としては母が話したら楽になるとか、そういうことがあれば嬉しいんですけど、歪みをリピートしなおすっていうか、上書きしてるとこがイヤなんですね。
で、どんどん自分の都合のいいような、まあ、自分がどれだけ可哀想だったかを確認する、で終わるっていうとこがね、不毛だって思うんですけど。
トシを取るっていうことは、浄化と程遠くても、それもありだと認めてあげなければ娘として仕事を果たせていないのかなって最近思うようになりまして。
好きなように話させて、好きなように話を切り上げさせ、好きなように歪ませてあげようかと最近思います。
だって他にどうしたらいいか分かんないんだもーん。
志村ふくみさんは染織家という仕事をしてる方なんです。
もしかしたら娘さんの国語の教科書とかにもエッセイストとして紹介されているかもしれません。
もし興味があれば、彼女の他のエッセイを一つ読まれた方がいいかも知れません。
「母なる色」とか。
「白夜に紡ぐ」は志村さんがドストエフスキーに対する思いを綴っているんです、だから彼女の仕事に対する思いは他の本の方がお勧めです。
凜とした修行僧みたいな姿勢で仕事に向かっている感じとか、美しい日本語とか、お勧めです。
>「歩いても歩いても」のお母さんが亡くなった子供のことを語る、ああいう、入り込む隙間がない喋り方をする
あ~!なるほどねー。でも、私はそういうの聞いてみたい気もします。全然話してくれないんで・・・。子供の頃同居していた祖母も(明治うまれ)戦争時代のこととか話して、って私が頼んでも、話したがらず・・・。
>聞くしか出来ないし、こっちの言葉を一切求めていないっていうあのオーラはね、もう、どうしようもないです
いやいや!
>歪みをリピートしなおすっていうか、上書きしてるとこがイヤなんですね。
ふむふむ。でも、何度も話したくなるエピソードというか、そういうもんなんでしょうね・・。私も、ある時期の話、何度もついしちゃう・・って事あるし・・・。牧場主さんもいつも同じ話ばかり聞かせられるのは辛いと思いますが、そこは、まぁ、親孝行のひとつと思って!
でも、ちゃ~んと解っていらっしゃって、そうされているのが凄い! ↓
>好きなように話させて、好きなように話を切り上げさせ、好きなように歪ませてあげようかと最近思います。
志村ふくみさんについて、今検索してきました。国宝の染織家さんだったのですね。
今まだ娘が寝ているので(いつ起きるんじゃぃ!)教科書に載っていたかとか、聞いてみようっと