10数年ぶりに自分を頼ってやって来た友達を、どこまで助けられますか?
読みながら、水絵にはイライラしっぱなしでした。
でも、どうするんだろう?どうなるんだろう?と、引きこまれて一気読み。
凄く面白かったです。4つ★半
サスペンス?としてだけじゃなくて、40才前後の女性なら(いや、あらゆる年代の女性に)、反応せずにはおれないような部分とかが色々あって、また近藤さんが日常の事柄について、細かい処まで目が行き届いているのには、感心しました。
例えば、病院の待合室で、走り回っている子供がいて、その子を連れてきたお母さんは熱のある小さな女の子にかかりっきり。
他の人は迷惑そうで、どうしてこんな処まで連れて来たんだ?家に置いてくればいいのに、という気持ちになる人も多いだろう。
でも、彼女だって本当はそうしたかったはず。でも誰にも預けられず、家に一人で置いて来ることもできず、やむをえなく連れて来るしかなかった。そしてその子を叱る気力さえももう無いのかもしれない。とか・・・・
それにしても、はぶらしとか、お風呂のお湯とか、人それぞれ違いますねー。私は殆ど鈴音よりで読みました。
水絵のはぶらしの感覚は、えっ??って驚きましたが、幼い子供が死んでしまったら・・と思うと怖くてたまらないという気持ちは解るなぁと思いました。
でも、そんな事言ってる人が、子供残していなくなるかなー。
あと、知り合いから偶然良さそうな職をもらってきたものの、知人の紹介はイヤだと断られ、私も最初、せっかくの良い話を喜ばないどころか、断るだなんて、なんじゃこいつ!と思ったけど、水絵の断る理由を聞いたら、そうか・・・とまあ、納得が行くものだったし、美容院に寄って来た事も、最初はそんな余裕あるくらいなら・・・ってムッとしたけど、水絵の言う理由、みすぼらしい姿だと面接に受かりにくいというのも確かにあるかもな・・・と思ったり。
★以下ネタバレ 白文字で書いています★
え~~っ。人のお家にやっかいになって、あちこちで盗みだなんて・・・。とんでもない・・。
でも、鈴音の家でだけはしなかったというのも、高校時代にかばってあげた事が関係しているのかもしれませんね。
こんな母親に連れ回されても、耕太君はまともに育ったのが救いでした。以上
「はぶらし」 近藤史恵 (2012/9/27)
脚本家の鈴音は高校時代の友達・水絵と突然再会した。子連れの水絵は離婚して、リストラに遭ったことを打ち明け、1週間だけ泊めて欲しいと泣きつく。鈴音は戸惑いながらも受け入れた。だが、一緒に暮らし始めると、生活習慣の違いもあり、鈴音と水絵の関係が段々とギクシャクしてくる。マンションの鍵が壊されたり、鈴音が原因不明の体調不良を起こしたり、不審な出来事も次々と起こる。水絵の就職先はなかなか決まらない。約束の1週間を迎えようとしたとき、水絵の子供が高熱を出した。水絵は鈴音に居候を続けさせて欲しいと訴えるのだが……。人は人にどれほど優しくなれるのか。救いの手を差し伸べるのは善意からか、それとも偽善か。揺れる心が生む傑作ミステリー!
著者について
1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で鮎川哲也賞を受賞しデビュー。2008年『サクリファイス』で大藪春彦賞を受賞。主な作品に『モップの精は深夜に現れる』『タルト・タタンの夢』『寒椿ゆれる――猿若町捕物帳』『エデン』『サヴァイヴ』『ホテル・ピーベリー』『ダークルーム』『シフォン・リボン・シフォン』ほか多数
近藤 史恵
「モップの精は深夜に現れる」「天使はモップを持って」感想
砂漠の悪魔
エデン
「サクリファイス」「タルトタタンの夢」感想
気になるので読み進みますし私も一気読みだったのですが、ひたすら不快感を感じながらの読書でした^^;
こういう人間の心理、感情を書くのが上手いなと思いました。
ネタバレで書かれている事だけが救いでしたね。
単なるクラスメートだったのに、突然これと言った用事もなさそうなのに、どうしてる~?元気~?みたいな電話がかかってきた時は、注意せねば・・・って、30代過ぎるとみんな思う様ですね。(みんな経験ありみたい・・・)
そういう経験がなかった時は、うっかり嬉しくなって、ついワイワイ話をしてしまったりして、最後に相手の目的が解った時のショックたるや・・・。
この本、苗坊さんは、速読されちゃったんですね