宮下さんのデビュー作品。
2004年、今から13年前になるんですね。
私は宮下さんの本を最初に読んだのが2008年で、「スコーレNO4」でした。
それ以来ずっと彼女の小説を読んで来ていますが、今や人気の作家さんになってますもんね!
さて、この本を読んだ感想ですが、面白かったです。
短いので、すぐに読めちゃいます。、ちょっとアッサリかな?
でも、このころから、やっぱり宮下節というか、サラサラ読める中にも、時々、ぴりっと印象に残るセリフや、心理描写があって、そういう処が、とても好きです。
「静かな雨」の内容
こだわりの美味しい鯛焼き屋さんで生計を立てている、こよみさん。
そこの鯛焼きの美味しさと、こよみさん目当てで常連になり、ついに恋人同士になれた、足がちょっと不自由で杖をついているユキスケ。
この2人が主人公で、その後同棲生活が描かれます。
印象に残ったところ
ユキスケがブロッコリーが嫌いな事を、忘れないようにと、こよみさんは、書きとどめたメモを、あちこちに入れているのだけれど、そのメモを入れた場所、入れたことさえ忘れてしまうのです。
そこのシーンで、こよみさんが昔とても可愛がっていたリスのリスボンの、クルミなど大切に隠しておく習性が引き合いに出されていました。(リスボンが死んでしまった後、隠した事を忘れてしまっていたのか、それとも食べる前だったのか、、いずれにせよ、ある日隠していたであろうクルミが、ぽっと出て来て、悲しくなる・・・という)
後半、数人の若いガラの悪い男にからまれるも、こよみさんは、動じずにいるとか、意外にも大学に行っていた(入学したが、すぐやめた)、ピアノを習っていて、その道に進むか大学に行くか悩んだ、など、こよみさんは意外なところもあって、魅力的な人でした。
次の日、記憶が無くなっても、事故に遭う前の記憶はちゃんと残っているっていうのが救いでした。
ユキスケや、ユキスケの名前の由来になったエピソードや、たい焼きの作り方やコツなど。
それと、100頁に、人間の体の始まりは、腸管から発達したものであるという説、心臓には記憶が宿るという説があって、心臓に記憶が残るなら、体の起源になる消化器の、腸・舌などには記憶があってもおかしくない、こよみさんの記憶は舌に残るんじゃないか?というユキスケ説も、希望を感じられて、良かったです。
ところで、この本を読んでいて、ちょっと頭に浮かんだのが、小川洋子さんの「博士の愛した数式」ですが、初出は「新潮」2003年7月号で、同年8月29日、新潮社より刊行されたそうなのです。
この「静かな雨」は2004年の作品なので、もしかしたら、小説内に登場するのは「博士の愛した数式」かもしれませんね。
そして、2004年には、同じような記憶障害の女性の恋愛映画「50回目のファースト・キス」(アダムサンドラーとドリュー・バリモアの、ハワイを舞台にした内容)という作品もあったので 既視感がある内容だったのですが、それでも、たい焼き屋さんの女性との恋愛ストーリーっていうのは、斬新というか、珍しい感じで良かったです。
たいやきの一丁焼きって、もうあんまり見かけることがなくなって来ていますよね。
私も、すごい昔に食べたことがあったけど、最近は全然なので、久しぶりに食べたいです!
(内容 あらすじ)
「忘れても忘れても、ふたりの世界は失われない」
新しい記憶を留めておけないこよみと、彼女の存在が全てだった行助の物語。
羊と鋼の森
「ふたつのしるし」
たったそれだけ
終わらない歌
つむじダブル
誰かが足りない
メロディ・フェア
「田舎の紳士服店のモデルの妻」
「太陽のパスタ、豆のスープ」
よろこびの歌
宮下奈都「新しい星」、恒川光太郎「夜行の冬」
「遠くの声に耳を澄ませて」
「スコーレNO.4」ネタバレ感想
2004年、今から13年前になるんですね。
私は宮下さんの本を最初に読んだのが2008年で、「スコーレNO4」でした。
それ以来ずっと彼女の小説を読んで来ていますが、今や人気の作家さんになってますもんね!
さて、この本を読んだ感想ですが、面白かったです。
短いので、すぐに読めちゃいます。、ちょっとアッサリかな?
でも、このころから、やっぱり宮下節というか、サラサラ読める中にも、時々、ぴりっと印象に残るセリフや、心理描写があって、そういう処が、とても好きです。
「静かな雨」の内容
こだわりの美味しい鯛焼き屋さんで生計を立てている、こよみさん。
そこの鯛焼きの美味しさと、こよみさん目当てで常連になり、ついに恋人同士になれた、足がちょっと不自由で杖をついているユキスケ。
この2人が主人公で、その後同棲生活が描かれます。
印象に残ったところ
ユキスケがブロッコリーが嫌いな事を、忘れないようにと、こよみさんは、書きとどめたメモを、あちこちに入れているのだけれど、そのメモを入れた場所、入れたことさえ忘れてしまうのです。
そこのシーンで、こよみさんが昔とても可愛がっていたリスのリスボンの、クルミなど大切に隠しておく習性が引き合いに出されていました。(リスボンが死んでしまった後、隠した事を忘れてしまっていたのか、それとも食べる前だったのか、、いずれにせよ、ある日隠していたであろうクルミが、ぽっと出て来て、悲しくなる・・・という)
後半、数人の若いガラの悪い男にからまれるも、こよみさんは、動じずにいるとか、意外にも大学に行っていた(入学したが、すぐやめた)、ピアノを習っていて、その道に進むか大学に行くか悩んだ、など、こよみさんは意外なところもあって、魅力的な人でした。
次の日、記憶が無くなっても、事故に遭う前の記憶はちゃんと残っているっていうのが救いでした。
ユキスケや、ユキスケの名前の由来になったエピソードや、たい焼きの作り方やコツなど。
それと、100頁に、人間の体の始まりは、腸管から発達したものであるという説、心臓には記憶が宿るという説があって、心臓に記憶が残るなら、体の起源になる消化器の、腸・舌などには記憶があってもおかしくない、こよみさんの記憶は舌に残るんじゃないか?というユキスケ説も、希望を感じられて、良かったです。
ところで、この本を読んでいて、ちょっと頭に浮かんだのが、小川洋子さんの「博士の愛した数式」ですが、初出は「新潮」2003年7月号で、同年8月29日、新潮社より刊行されたそうなのです。
この「静かな雨」は2004年の作品なので、もしかしたら、小説内に登場するのは「博士の愛した数式」かもしれませんね。
そして、2004年には、同じような記憶障害の女性の恋愛映画「50回目のファースト・キス」(アダムサンドラーとドリュー・バリモアの、ハワイを舞台にした内容)という作品もあったので 既視感がある内容だったのですが、それでも、たい焼き屋さんの女性との恋愛ストーリーっていうのは、斬新というか、珍しい感じで良かったです。
たいやきの一丁焼きって、もうあんまり見かけることがなくなって来ていますよね。
私も、すごい昔に食べたことがあったけど、最近は全然なので、久しぶりに食べたいです!
(内容 あらすじ)
「忘れても忘れても、ふたりの世界は失われない」
新しい記憶を留めておけないこよみと、彼女の存在が全てだった行助の物語。
羊と鋼の森
「ふたつのしるし」
たったそれだけ
終わらない歌
つむじダブル
誰かが足りない
メロディ・フェア
「田舎の紳士服店のモデルの妻」
「太陽のパスタ、豆のスープ」
よろこびの歌
宮下奈都「新しい星」、恒川光太郎「夜行の冬」
「遠くの声に耳を澄ませて」
「スコーレNO.4」ネタバレ感想
行助とこよみの物語、優しくてあたたかかったです。
私も「博士の愛した数式」や「50回目のファーストキス」を思い出しましたが、こちらはまた違った宮下さんらしさを感じました。
2人の未来はきっと明るいと、応援する気持ちで読み終えました^^
デビュー作から、宮下さんらしい透き通るような文章表現が見られましたね
どこにも収録されていなかったデビュー作を読むことができて良かったです。
そしてlatifaさんも「博士の愛した数式」が
思い浮かびましたか。
たぶん記憶障害の学者が出てくる小説は、「博士の愛した数式」だと思います。
第1回本屋大賞受賞作のこの作品に影響を受けた宮下さんがデビュー作を書き、2016年には自身も本屋大賞を受賞され、何だか小説のロマンを感じます
行助とこよみ、行助なら、きっと色々困難もありつつ、ずっと、こよみを支えてあげ続けてくれそうですよね!
また、行助の家族も、応援してくれそう。
こういった障害がある彼女となると、反対しそうな人が多い中、良い家族で良かったー。
>透き通るような文章表現
まさに、その言葉、ナイス!宮下さんの小説のイメージにピッタリです。
>どこにも収録されていなかったデビュー作を読むことができて良かったです。
私もです。前からデビュー作に興味があって、どんなのなのかな・・?って思っていたので。
そうですねー、あこがれていたであろう、本屋大賞に、数年後、自分が選ばれるようになるんですもんね。凄いです。