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「箱庭図書館」乙一 感想

2011-06-26 | 小説・漫画他
ボツになった小説達に、乙一さんが手を入れて仕上げた作品集。でも・・特にそれは大々的に記載されていないんですよね・・・。一見したところ、普通に乙一作品にしか見えない・・。
なかなか面白かったのですが、元々のアイディアは他人というのが、どうも引っかかります。乙一さんのファンとしては、純粋な乙一作品を読みたいので・・・。4つ★
それと、つい最近知ったのですが、乙一さんは、中田永一という名前で小説も出していたとか。さっそくリクエストして読んでみようと思っています。

「小説家のつくり方」
小説家の山里秀太は、小学校の時の担任の先生との温かい交流もあって、小説を書くに至っているということを、あとがきに記していた。彼には活字中毒の姉がいる。
★以下ネタバレ 白文字で書いています★
なんと、担任との交流は嘘でした。彼は小学校の頃イジメに遭っており、クラスメートが書いた暴言だらけのノートを担任に見せても信じてくれなかったという過去が有り、彼はそんな同級生や先生への復讐を燃料として小説家になったのでした・・・以上

「コンビニ日和!」
閑散としているコンビニで、閉店間際に強盗が入って来た。島中ちよりと先輩の2人は、強盗をなだめながら去らせようとするが、警察官が入って来た・・・

「青春絶縁体」
1話目の小説家の秀太が高校生の頃のお話
高1になって、わずかな期待をして文芸部に入ったが、そこには、一つ年上の小山雨季子という女子しか部員がいなかった。この女子と僕は部室ではお互いにキツイ言葉を言い合う関係だったが、実は先輩も僕と同じにクラスで一人ぼっちで肩身の狭い思いをしている者同士だったことが後々解る・・・。

もう、ほんとに凄いです。読んでいて痛くて切なくてどうしようもない気持ちになります。こういう賑やかな集団の中で、上手くとけ込めず、一人孤立している学生の辛い心理を、乙一さんほど上手に書ける人はいない! 乙一さんご本人が、こういう学生時代を送って来て、その暗黒時代を肥やしにして、小説家として成功されたから、本当にリアル過ぎます。5つ★

「ワンダーランド」
先生からも家族からも真面目な優等生と思われている高田少年。ある日、道ばたで鍵を拾い、その鍵がハマるのはどこぞ?とあちこち探し回るのが趣味になった。その最中、冷蔵庫に死体が入っている家に行き当たってしまう・・。

「王国の旗」
高校生の小野早苗は、子供だけが夜にボーリング場に集まる王国?に来てしまう。
何者かに誘拐され、車のトランクの中にいた。車が止まり、早苗は外へ出た。

「ホワイト・ステップ」
近藤はお正月休みに1人で過ごしていた。雪の降る日、外を歩いていると誰もいないのに自分以外の足音が聞こえ、足跡も見えるではないか!しかも雪に文字を書くと相手に通じるのだった。相手に、現在自分が住んでいるアパートを見てもらったら、なんとその世界では、自分は誰かと結婚して住んでいるらしい。
どうやら、それぞれ、同じ時代に別空間の別世界で暮らしている様だ・・。

どの短編にも、潮音という活字中毒の女の子が登場します。ある時は主人公のお姉さん、ある時は図書館勤務しています。
以前王様のブランチで、乙一さんが、自分は学生時代の惨めな思いや、同級生を見返したいという反骨精神が、小説を書く原動力になったけれど、認められる様になっちゃったら、(回りも自分にとても優しく接してくれるようになって、交流も普通に持てる様になって)書きたい!とかいう意欲が昔のようには沸いてこなくなって・・・とおっしゃっていました。
う~ん、難しいですね。アーティストって、不幸な時の方が名作が書けるというのはホントなのかも・・。

「箱庭図書館」乙一 / 2011-03-25

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2 コメント

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Unknown (苗坊)
2011-06-26 20:35:48
こんばんは^^カキコありがとうございました。
私も同じです。ようやく待っていた乙一作品なのですが、完全オリジナルではないので不完全燃焼といいますか・・・
面白かったんですけどね!
私も同じく青春絶縁体が好きです。
こういう人の孤独さや痛さやあったかさを書かせたらピカイチですね^^
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苗坊さん☆ (latifa)
2011-06-30 09:02:02
苗坊さん、こんにちは
暑いです~~~こちらは35度でした。そちらは少し涼しそうで、羨ましいです・・

そうなんですよねー。これ、面白いんですが、やっぱり完全オリジナルじゃない・・・っていうのが引っかかっちゃうんですよね。

乙一さんは学生時代、辛い日々を送られたそうですが、でも、もしそれがなかったら、こういう小説は書けなかったわけで・・・。
人生、諦めちゃダメですね。
現在辛い思いをしている学生の子が乙一作品を読んで、勇気と希望を感じられるといいな~
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