タイトル作と、続編「明日、ここは静か」の合計2作が含まれています。
「明日、ここは静か」は芥川賞を受賞してから少し経っての続編的作品です。
いやあ・・・大変だ。
有名になるってキツイわー、、って思う内容だった。
私は高瀬さんのファンだけど、この作品はそこまで好みの内容ではなかったな。
というか・・・彼女の他の作品も「好き」っていうわけではないんだけど、面白くて中毒性があるのよね。
本作より、道で避けようとしないでぶつかって来る人間と張り合う?前作の方がインパクトでかくて共感する部分もあったな。
以下、ネタバレ感想です
以前雑誌『文學界 2023/2』での感想をアップしていたので、この下にその部分は青文字でコピペで貼ります。
『文學界 2023/2』「うるさいこの音の全部」
有名になってしまった作家の大変さや心理部分は凄く良かったんだけど、大学生時代の主人公や女子仲間が凄い意地悪でイヤだった。
大学生の女子仲間はよく集まっていた。ある日の夜中、近所の中華料理屋で、ただ飯食べようとふざけてそこの息子をおだてつつ、成功?させる。
その後、個人的に彼と2人で4回位会って、つきあうようになり(Hもするが)、途中でもう仲間内の笑いのネタにもならないと一方的に別れを告げる。彼が突然の別れにとまどってお家に来たりするうち警察に通報して・・・その後動画をSNSにアップして、一時はお店が閑古鳥が・・・。そのうち息子はお店に姿を見せなくなって・・・って、ひどくないですか?全然笑えないよ・・。
で、その内容は実は彼女が書いていた小説という設定なんだけど、
文学賞を受賞して以後、彼女の働いていたゲームセンターでの立場とか周りの目とかの変化。
これはキツイな、有名になるって大変だ・・・(テレビに出ちゃうのが一番影響大きいっぽいね)疲れるね・・。
そもそも書いている内容が必ずしも作家の経験した事とは限らないし、小説で出て来るセリフや思考が、そのまま作家も同じに思ってる事とも限らないのだけれど。でも、イコールでつい世間は思ってしまいがちよね・・・。
ゲームセンターにしょっちゅう来る老人とか、車に同乗してきた中華料理屋の青年とか、ちょっと幽霊っぽいエピソードも登場しますが、そこは私はあまりピンと来なかったかも。
「明日、ここは静か」
有名になっちゃったことで、故郷の母や周りの人に色々な事がつつぬけ。
インタビューで軽い気持ちで言った事が地元でおおごとになっていたり・・・怖いねえ・・。
雑誌のインタビュー記事を見て会いたいと訪ねてきた恩師の先生・・・こりゃ、まいるわ。
バスケット部に入ろうと思ったけど2人キツイ子がいたから・・・のご本人かもしれない?と現在はプールの先生をやってる子やら、母親の様子やら・・・
地元に帰省したくなくなっちゃうよなあ、これじゃあ。
ところで、高瀬さんの本作についてのインタビューの記事を読んだら、意外な事が発覚。
タイトル作は芥川賞を取る前だったそうな。
あと、大学時代の酷いエピソードはわざと酷いお話にしていたそうな。
インタビュー記事抜粋を以下に載せます。
小説の第一稿を書いたのは私が芥川賞を受賞する前で、そのときは「こんなふうになったらいやだなあ」と思ったことを書いていたんですよね。望まない渦中に立たされて、長井朝陽さんは苦しそうだな、そりゃあこんなふうに毒づきもするよね、みたいに全部想像の世界で描いていた。ところが、芥川賞を受賞したあとの私は、期せずして、彼女と境遇が似てしまったんですよね。
作中作の主人公が、友達ウケのために近所の中華屋の息子と付き合い、旬が過ぎたと思ったら関係を断ち、ストーカー扱いして追い詰めていく姿は、なかなかぞっとするものがありました。悪気がないのがわかるからこそ、余計に。
高瀬:作中作は、軽薄で後味の良くない話にしようと最初から決めていたので(笑)。現実では“いい子”だからこそ、朝陽が書く小説は、周りの人に「あんなものを書いて……」と眉を顰められるようなものなんじゃないかなと思っていたんですよね。あくまで、長井朝陽が、小説家・早見夕日として書いているものなので、高瀬隼子の小説とは少し違うものにしようと思い、一人称の文体で改行やセリフはいつもより多めにしました。
インタビューの記事は こちら
今後も高瀬さんの本、ずっと追って行きます。
とても楽しみなお話をまた書いて下さいね。応援してます。
うるさいこの音の全部 2023/10/10 高瀬 隼子
ゲームセンターで働く長井朝陽の日常は、「早見有日」のペンネームで書いた小説が文学賞を受賞し出版されてから軋みはじめる。兼業作家であることが職場にバレて周囲の朝陽への接し方が微妙に変化し、それとともに執筆中の小説と現実の境界があいまいになっていき……職場や友人関係における繊細な心の動きを描く筆致がさえわたるサスペンスフルな表題作に、早見有日が芥川賞を受賞してからの顛末を描く「明日、ここは静か」を併録。
高瀬隼子
「うるさいこの音の全部」
「いい子のあくび 」
「お供え」「お返し」「末永い幸せ」「うるさいこの音の全部」
「おいしいごはんが食べられますように」
「犬のかたちをしているもの」
「水たまりで息をする」
「明日、ここは静か」は芥川賞を受賞してから少し経っての続編的作品です。
いやあ・・・大変だ。
有名になるってキツイわー、、って思う内容だった。
私は高瀬さんのファンだけど、この作品はそこまで好みの内容ではなかったな。
というか・・・彼女の他の作品も「好き」っていうわけではないんだけど、面白くて中毒性があるのよね。
本作より、道で避けようとしないでぶつかって来る人間と張り合う?前作の方がインパクトでかくて共感する部分もあったな。
以下、ネタバレ感想です
以前雑誌『文學界 2023/2』での感想をアップしていたので、この下にその部分は青文字でコピペで貼ります。
『文學界 2023/2』「うるさいこの音の全部」
有名になってしまった作家の大変さや心理部分は凄く良かったんだけど、大学生時代の主人公や女子仲間が凄い意地悪でイヤだった。
大学生の女子仲間はよく集まっていた。ある日の夜中、近所の中華料理屋で、ただ飯食べようとふざけてそこの息子をおだてつつ、成功?させる。
その後、個人的に彼と2人で4回位会って、つきあうようになり(Hもするが)、途中でもう仲間内の笑いのネタにもならないと一方的に別れを告げる。彼が突然の別れにとまどってお家に来たりするうち警察に通報して・・・その後動画をSNSにアップして、一時はお店が閑古鳥が・・・。そのうち息子はお店に姿を見せなくなって・・・って、ひどくないですか?全然笑えないよ・・。
で、その内容は実は彼女が書いていた小説という設定なんだけど、
文学賞を受賞して以後、彼女の働いていたゲームセンターでの立場とか周りの目とかの変化。
これはキツイな、有名になるって大変だ・・・(テレビに出ちゃうのが一番影響大きいっぽいね)疲れるね・・。
そもそも書いている内容が必ずしも作家の経験した事とは限らないし、小説で出て来るセリフや思考が、そのまま作家も同じに思ってる事とも限らないのだけれど。でも、イコールでつい世間は思ってしまいがちよね・・・。
ゲームセンターにしょっちゅう来る老人とか、車に同乗してきた中華料理屋の青年とか、ちょっと幽霊っぽいエピソードも登場しますが、そこは私はあまりピンと来なかったかも。
「明日、ここは静か」
有名になっちゃったことで、故郷の母や周りの人に色々な事がつつぬけ。
インタビューで軽い気持ちで言った事が地元でおおごとになっていたり・・・怖いねえ・・。
雑誌のインタビュー記事を見て会いたいと訪ねてきた恩師の先生・・・こりゃ、まいるわ。
バスケット部に入ろうと思ったけど2人キツイ子がいたから・・・のご本人かもしれない?と現在はプールの先生をやってる子やら、母親の様子やら・・・
地元に帰省したくなくなっちゃうよなあ、これじゃあ。
ところで、高瀬さんの本作についてのインタビューの記事を読んだら、意外な事が発覚。
タイトル作は芥川賞を取る前だったそうな。
あと、大学時代の酷いエピソードはわざと酷いお話にしていたそうな。
インタビュー記事抜粋を以下に載せます。
小説の第一稿を書いたのは私が芥川賞を受賞する前で、そのときは「こんなふうになったらいやだなあ」と思ったことを書いていたんですよね。望まない渦中に立たされて、長井朝陽さんは苦しそうだな、そりゃあこんなふうに毒づきもするよね、みたいに全部想像の世界で描いていた。ところが、芥川賞を受賞したあとの私は、期せずして、彼女と境遇が似てしまったんですよね。
作中作の主人公が、友達ウケのために近所の中華屋の息子と付き合い、旬が過ぎたと思ったら関係を断ち、ストーカー扱いして追い詰めていく姿は、なかなかぞっとするものがありました。悪気がないのがわかるからこそ、余計に。
高瀬:作中作は、軽薄で後味の良くない話にしようと最初から決めていたので(笑)。現実では“いい子”だからこそ、朝陽が書く小説は、周りの人に「あんなものを書いて……」と眉を顰められるようなものなんじゃないかなと思っていたんですよね。あくまで、長井朝陽が、小説家・早見夕日として書いているものなので、高瀬隼子の小説とは少し違うものにしようと思い、一人称の文体で改行やセリフはいつもより多めにしました。
インタビューの記事は こちら
今後も高瀬さんの本、ずっと追って行きます。
とても楽しみなお話をまた書いて下さいね。応援してます。
うるさいこの音の全部 2023/10/10 高瀬 隼子
ゲームセンターで働く長井朝陽の日常は、「早見有日」のペンネームで書いた小説が文学賞を受賞し出版されてから軋みはじめる。兼業作家であることが職場にバレて周囲の朝陽への接し方が微妙に変化し、それとともに執筆中の小説と現実の境界があいまいになっていき……職場や友人関係における繊細な心の動きを描く筆致がさえわたるサスペンスフルな表題作に、早見有日が芥川賞を受賞してからの顛末を描く「明日、ここは静か」を併録。
高瀬隼子
「うるさいこの音の全部」
「いい子のあくび 」
「お供え」「お返し」「末永い幸せ」「うるさいこの音の全部」
「おいしいごはんが食べられますように」
「犬のかたちをしているもの」
「水たまりで息をする」
うん、私も本書はあんまり好きじゃない。
高瀬さんの本って、いつもやっかいな人が主人公なんだけど、いつも以上にやっかいで「メンドクサイ人だなぁ」と思ってしまった。 でも、少し共感できたりするんだよね。
地元で、そんなに有名になったら嫌だよね~~~。
大学生の女の子の酷い話。ここまでじゃないけど、私も若かりし日には、似たようなことをやってたかも?と、少し反省。
高瀬さん、中毒性がありますよね。
私も次作も読みたいです!
コメントありがとう!
>いつもやっかいな人が主人公なんだけど、いつも以上にやっかいで「メンドクサイ人だなぁ」と思ってしまった。 でも、少し共感できたりするんだよね。
それ!
全部共感は出来ないんだけど、そこ解るって処があるのよね(あまり他の作家さんは口に出してない様な部分→ 例)一人で気ままに食事・・とか 結婚式について・・etc)
いやいや、私だって若い頃は今思い出すと、申し訳ない!とか、それはひどい、って事やっちゃってるよ・・・
タイムマシンに乗って、昔の自分に会って、げんこつくらわしたいわ
反省