妻の超然、下戸の超然、作家の超然の3作が入っています。3つとも、それぞれ全然違った味わいのあるお話で、一番面白かったのは「下戸の超然」ですが、「作家の超然」は絲山さんご自身の強い決意というか・・なんというか・・を感じさせられるお話でした。4つ☆~4つ☆半
妻の超然
5歳年下の夫の文麿は、浮気をしている。でも超然としている妻。
小田原が舞台ということで、知っている場所が色々出て来るのが楽しかったです。
幕の内弁当の様な街っていう表現がなされていましたが、私的にはお城とか観光地っぽいお店がある一方、古くからのお店があるアーケード街が淋しい雰囲気になってしまっている・・という印象も。
下戸の超然
下戸の男性というマイノリティを描いた作品は初めて読んだ気がしますが、面白かったです。
飲み会に参加すると、最後は車でみんなを送って行く羽目になるというのが、確かに割に合わないよなー!って思いました。
中盤までは、恋の初期段階からピークの盛り上がりの良い時期が描かれていて、有川さんも真っ青なな、読んでいても高揚感があるんですが・・。悲しくも後半からは、あぁ・・・段々と歯車が合わなくなるというか、恋愛の終わりの方の、かみあわなさや、重苦しい気持ちが描かれていて・・
私的には主人公の男性の気持ちの方に感情移入し、布教運動を行うかのごとく押しつけがましく慈善活動を彼にまで強要してくる彼女には、ちょっとウンザリしてしまった・・・。そういう活動をするのは個人の考えであって、同調しないと責めるみたいな態度は良くないよ。
>善意というものは、ときには人を傷つけながら、人の自由を侵害しながら、イナゴの大群のように進んでいく
という表現が印象に残りました。
作家の超然
これは絲山さんご本人のお話なのだろうか?!と、ずっと気になりながら読みました。読み終わって調べたところ、絲山さんも小説の中で出て来た病気と同じ、首にできた神経鞘腫(しょうしゅ)の手術を昨年9月にされたそうです。田舎の方にお引っ越しして住んでおられるみたいだし、全部が全部自伝ではないかもしれませんが、自身の事を重ねて書いた部分も結構ありそうです。
こちら インタビュー記事
〈おまえ〉という二人称で呼びかける客観的な文章ながら、絲山さんの文章を書く人間としての覚悟と意志の強さみたいのがにじみ出ており、男前な強さと潔さを感じました。
迫力がありますね~。これからも作家として生きて行くという固い決意みたいのがこめられている作品ですね。
お話の中で、もう恋をしないようにしているという処で、有名作家を恋人に持つ男というのは・・・という処は、そういう経験を何度もされたのかな・・・。
絲山 秋子 / 2010-09
「袋小路の男」「ニート」感想
やっぱり絲山さんご自身の体験がかなり反映された作品だったのですね。
「もう恋なんかしない」なんて思っていても、また恋してしまうのが人間ってものだから、絲山さんには自由に生きて欲しいなぁって思います。
絲山さんは、下戸ではなくて、お酒好きな方だと知りました。自分はそうじゃないのに、こんなお話が書けるのは、さすが作家さんですね。
私も絲山さんには、自由に生きてもらいたいです。恋もガンガン行っちゃって欲しいです。
これ、すごい面白かったね。。「作家」だけちょっと雰囲気が違ったけど、イトヤマさんご本人が同じ病気されてたんだ、なるほど。。
私も妻で下戸だから、この二つはすっごいわかるな~、と思いながら読んだよ。
でも、この下戸の主人公は超然としてるけど、私は心の中で未だにジタバタしてるよ。
「お酒が呑める体質に生まれて来たかったー」って。人生違っただろうな。。ウジウジ
面白かったなんて、良かったー。
なんかさ、こんなこと言っちゃなんだけど、装丁からは、あんまり面白いオーラが出て無くない・・?全然期待しないで読んだのもあって、以外と面白いじゃない!?って思ったわ。
そうっか。。真紅さんも下戸なのね?
今の若い子達は、あんまり昔ほどにはお酒を飲まないらしいよ。家ら世代は、やっぱり若い頃は、お酒を飲むって機会が結構多かったよね。だから飲めないとなると、なんだか悲しい気持ちになったこと、あるというのは想像がつくわ。私は若い頃は飲めたんだけど、出産後、飲みに行かなくなってからは、急激にアルコールを受け付けなくなって、今は殆ど飲めなくなっちゃった。
そうそう。下戸といえばビン君が下戸で。韓国、しかも韓国の男子って、お酒のつき合いが日本以上に大切みたいじゃない?それなのに飲めないってことで、肩身が狭い思いをしていたらしいよ。それで芸能界で下戸仲間の会みたいの作っていたとか。