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「カタブツ」「さざなみ」沢村凛 感想

2006-12-19 | 小説・漫画他
地味で真面目な人たちに、スポットライトをあてた作品を作りたくて、来上がったという、短編集。 小説現代98年12月号から2000年10月号までの単発掲載4編に書き下ろし2編を加えた短編集。

「最後の恋」という短編集に、沢村さんの「スケジュール」というお話が含まれていて、それを読んだら、とても面白かったし、その小説の主人公が、自分と似た思考回路をしてる部分があり、興味が湧いたので、他の小説を読んでみよう!という気になり、最初に手にとったのが「カタブツ」でした。6つのお話が入っています。
  ⇒「むかしのはなし」三浦しをん と「最後の恋」感想

バクの見た夢:
ダブル不倫をしてしまう主人公達。でも、2人は非常に苦悩する。結果、2人は、それぞれが持つ愛する家族を裏切らないため、どちらかが死ぬことにしようと言うことになる。

袋のカンガルー:
世話焼きで、いつも他人の用事を優先して計画や行動にうつしてしまう性分の啓には、手こずらされる存在の女、亜子がいる。啓は代筆手紙業?で働いている。そんな啓は、奇跡のような女神、英恵と出会ったことがきっかけで、自分の性分を変えようとするが・・・
  (ラストが、ちょっと・・・。私はこの「手紙業」というのが、本当に実在する職業なのか知らないけれども、すごく面白い処に目をつけた職業だわーと、感動しましたわ。そして、仕事以外でも、自宅に、寂しい夜に電話を月に2回はかけてくるクライアントの女性・・とか、そういう部分が、胸にぐ~っと来ちゃいましたな)

駅で待つ人:
待ち人観察フェチ?な、主人公。ある時駅の改札口で、彼は「エスペランサ」と名付ける若い女性を発見し・・・
  (この「待つ人」が好きで、「待つ人」観察というのも、面白い処に目をつけたな~。でも、やっぱり、ちょっと・・・主人公の男性、イカンでしょ・・(^^;)
私は待ち合わせ場所に余裕持って着ける様にしないと落ち着かない性分だったりします。相手もそういう人だと、約束の時間よりも随分前に、待ち合わせ場所の回りをぶらぶらしてると、偶然会っちゃったりしてw こういうこと結構あったりします。)

とっさの場合:
幼稚園児の息子が死ぬという夢に悩まされている主婦、強迫神経症を克服するため、親友の留奈に相談するが・・・
  (これは、なかなかラストのオチが良いな~って思いました。私も、少々心配症なところがあるので、笑えないな~(^^;) 留奈の存在が、なかなかでした^^)

マリッジブルー・マリングレー:
三年前の交通事故で約3日間の記憶をなくした昌樹。婚約者の故郷である日本海の町に出かけ、そこの場所が初めて見た場所じゃないということに気がつき・・・。

無言電話の向こう側:
主人公の須磨陸は、仕事関係で、樽見と親しくなる。この樽見という男、冷酷な人間という噂があるものの、なかなか良いヤツであるように見えるんだが・・・。
  (樽見さんの人柄が、個性的というか、、嫌いじゃないかも)


それぞれ、どれも面白かったです。沢村さんの語る文章のあちらこちらに、あ~~こういう人いるな~!っていうのとか、真面目な事でちょっと損をする?みたいな部分や、親切過ぎて・・・とか、心配し過ぎて・・・みたいな、ちょっと過剰に何かしちゃうサガというか・・、結構こういう人いるのではないかな。
あと、オチが意外な展開になる・・・って事が幾つもあって、そこも驚いたし、この短編それぞれに、スパイスがピリッと効いてました。
私が、特に面白かったのは、「袋のカンガルー」と「無言電話の向こう側」かな・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「さざなみ」

何も予備知識持たずに読むのがお薦め。私は予備知識ゼロand図書館から借りて読んだのが幸いしました。何でも帯にキーワードが書かれてしまっているとか!東野圭吾「手紙」も、重要な展開が帯に書かれていたみたいだし、こういうのは、嬉しく無いですね~。さっき、amazonへ行ってみたら・・・。amazonの本紹介のところも、読書前には、読まない方が良いです。

面白かったです。ちょっと最初の内、なんだろう?ってイライラしつつ読み進んで行きました。でも、きっとこれらが、繋がるんだろうけれど・・・とは予測していたのだけれど。てんでバラバラに見えたそれぞれ3つのエピソードが、繋がるのは、なかなか、やるなー!という感じした^^
ただ、これ、小説の中にも出て来ていたけれども、2001年のハリウッド映画の
★以下 ネタバレです★文字反転して下さい
「ペイ・フォワード」と同じ様な、親切を人に回す・・・という事が基本になっていたので、ちょっと意外感や、新鮮度が無かったかな・・・。この映画、未見だったり、知らなかったら、相当楽しめたと思うんだけどな・・。
映画「ペイ・フォワード」とは、人から受けた厚意をその相手に対して恩返し="ペイ・バック"するのではなく、 他の誰かに違う形で先贈りして善意を広げていく="ペイ・フォワード" 出演: ケビン・スペイシー, ヘレン・ハント, ハーレイ・ジョエル・オスメント
★ネタバレ終了
この映画の内容を聞いた時は、ガツーンと衝撃受けて、なんか良い話しだな~!って結構心動いたものの、実際に映画見たら、なんだかいまひとつ・・・・だった気が。1度しか見てないので、結構内容忘れちゃっています。

(内容・あらすじ)月に35万の借金の返済に困っていたところ、「執事」の仕事の依頼が舞い込む主人公。「銀杏屋敷」で住みこみ働くことになる。「奥山史嗣」彼は何を求めているのやら?。そして色々な人々の親切についてのエピソード「ケース」。この3つが最後繋がる^^

沢村凛さんらしいな~って(なんて、まだ3つしか読んでないのに、知った様なこと言うのも図々しいですが)思った部分が、あちこちにありました。庶民の日常のちょっとした怒りとか、ちょっとした喜びを、すくい上げて描くのが凄く上手い人だな、って思いました。誰でもが、あるある!うん、うん、って思う様なエピソードがちりばめられていました。
 今思い出せるものでは、銀行のATM待ちの行列や、スーパーのレジ待ちのイライラ、自転車の将棋倒し・・・など、

そして、ちょっとピリッとブラックユーモアみたいな部分や、チクッと来るオチがたま~に入っているのが、またまた良いわ。これで、前向き・良いことばかり?で、まとまって無いところが、好きだったりします。

沢村凛さん(1963年生まれ 広島市出身)こちら、インタビューとお写真があります 他にも、沢村さんの本を読んでみたいと思います。

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4 コメント

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Unknown (chiekoa)
2006-12-19 14:38:20
えー?男性なんですか??私は本名から女性だと思っていました…。違うのかなぁ…。
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chiekoaさん☆ (latifa)
2006-12-19 17:10:55
こんにちは~chiekoaさん
何かどこかのサイトさんで見たのですが、「彼と同郷の・・・」と、古くからの沢村さんの知人?だか、、、なんだか(すいません、忘れてしまって・・・)書いていらっしゃる方がいたのです!
てっきり女性と決めつけていたので、かなりビックリでした。
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Unknown (june)
2006-12-19 22:02:41
私も女性だと思ってました。
今、アンソロジーの「最後の恋」を読み終わったんですが、帯に「~人気女性作家が個性と情熱で磨き上げた~」って書いてあるんですが・・。うーむ。謎です。
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juneさん☆ (latifa)
2006-12-19 22:28:04
こんにちは、juneさん
あの後、もっと色々調べて見たらば、やっぱり女性だった事が判明致しました!
画像検索で、お姿もハッキリ見れて・・・(^^;)
私がどこかで、勘違いしたのかもしれません。大変お騒がせしました!今、訂正しました。
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