だいぶ前に井上荒野さんの小説を2冊面白く読んだものの、理由は特にないのだけれど、その後暫く遠ざかっていて、今回久しぶりに「あちらにいる鬼」を読みました。
以前も文章が読みやすいなと思ったけれど、それは今も同じでした。
面白かったです。
今回は、自分の両親と(父と長い間愛人だった)瀬戸内寂聴さんを描いたという、センセーショナルな題材に興味が湧いて、この本に手を出したのだけれど、
普通だったら、愛人と妻ってバトルとかを連想するところ、最後には友人となってしまう、この2人の女性。
しょうもない男を愛した同士というか、、
以前、赤塚富士夫さんの奥さんが数人いて、仲良しだっていうのを見て、驚いたことがあったのですが、もしかしたら、このご夫婦と似た感じなのかな・・・ ダメ男を愛した女性同士の妙な縁というか・・・
いずれにせよ、これを書いた井上さん、凄いな、って思いました。
ノンフィクションなんだけど、もうお亡くなりになられているお母様の心理描写等は、フィクションというか想像を含めて書いているそうですね。
うーん、、でもやっぱり・・・お母さん(妻)が立派だった様な気がするなあ・・・。
母と愛人(なんとまだご存命中)とを描くなんて、非常に難しいだろうに、公平な視線で書いている気がしましたし、全員に愛情もって書いていたのでしょうね。
それにしても若い頃のお父さん、写真で見ただけですが、この方が、そんなにモテるのか・・・と驚き。特にルックスからはモテそうな気配はなく・・・
結構なお年になってからも、ご盛んだったのも驚くわ・・・。
彼の人生は、きっと彼の幼い頃からの生立ちが大きく関係していたのかもですね。
以下、井上さんのインタビューの記事から一部抜粋です。
私がこの小説を書きたいと思ったのは、寂聴さんは父が本当に好きだったんだなということに感動したからでもあるし、それともうひとつ、母がどういう気持ちでいたのかが自分にとって大きい謎であり、その謎を解きたいという気持ちがあったからなんですよね。それでふっと、「この二人の視点で書いたらどうか」
インタビュー
あちらにいる鬼 2019/2/7
井上荒野
作者の父井上光晴と、私の不倫が始まった時、作者は五歳だった。
五歳の娘が将来小説家になることを信じて疑わなかった亡き父の魂は、
この小説の誕生を誰よりも深い喜びを持って迎えたことだろう。
作者の母も父に劣らない文学的才能の持主だった。
作者の未来は、いっそうの輝きにみちている。百も千もおめでとう。
――瀬戸内寂聴
人気作家の長内みはるは、講演旅行をきっかけに戦後派を代表する作家・白木篤郎と男女の関係になる。
一方、白木の妻である笙子は、夫の手あたり次第とも言える女性との淫行を黙認、夫婦として平穏な生活を保っていた。
だが、みはるにとって白木は肉体の関係だけに終わらず、〈書くこと〉による繋がりを深めることで、かけがえのない存在となっていく。
二人のあいだを行き来する白木だが、度を越した女性との交わりは止まることがない。
白木=鬼を通じて響き合う二人は、どこにたどりつくのか――。(amazonより)
井上荒野
「切羽へ」「ベーコン」
>しょうもない男を愛した同士というか、、
>ダメ男を愛した女性同士の妙な縁というか・・・
ハハハ! latifaさんは篤郎(井上光晴)がダメだったんだね。
多分、すごく口が上手かったんだと思うよ。。
なんか、モテる人にもいろいろいるけど(カッコいいとか雰囲気があるとかやさしいとか)、絶妙なところを突いてくる人だったんじゃないかな。
「そうなったら、俺があんたを殺してやる」とかさ~、そんなこと言われたら絶対付いていくわ!(ないない)
確かに奥さんは偉かったと思う、、、でも、出家するほどのことをしないと断ち切れない情念、ってすごくない??
私、寂聴さんの出家した理由とか全然知らんかったから、めっちゃ衝撃だったよ。
ところでlatifaさんは2年も前に読み終わっていたんだね。
2年越しでお話できてよかったわ^^
コメントありがとうー
私的には、篤郎(井上光晴)、ダメだよー!
>多分、すごく口が上手かったんだと思う
>絶妙なところを突いてくる人だったんじゃないかな。
鋭い。そんな気がする。
瀬戸内さんも(きっと奥さんも)文章だけじゃなく、言葉について普通の人よりも敏感だっただろうからねー。
>でも、出家するほどのことをしないと断ち切れない情念、ってすごくない??
すごいよねー。彼女が出家した当時の事、少し覚えてるんだけど、好き勝手に生きて来て不倫をしまくってきた彼女に対して「モテなくなったから、出家したんだろう」みたいに言う人も世間で結構いてさ。
そのあたりの本当の事情とかもっと深く知りたかったんだけど、今みたいにネットもないし、私の中ではハッキリと解らないままだったんだよ。
この本読んだ時は、まだ寂聴さんご存命だったから、いやあーこんな本出しちゃって良いのかな?とか心配になったくらいだよ。
今度映画化するんだってねー。
出家してからの方がより人気が出た様な・・・。魅力ある女性だったんだろうねー。