ポコアポコヤ

食べ物、お菓子、旅行、小説、漫画、映画、音楽など色々気軽にお話したいです(^○^)

ネタバレ感想「沈みかけの船より、愛をこめて」乙一他

2022-09-06 | 小説・漫画他
沈みかけの船より、愛をこめて

全部で11篇収録されています
乙一だけじゃなく、その他別名での作品も混ざっています。


ネタバレであらすじを書いているので注意です!


・五分間の永遠  乙一
 初出『5分間だけの彼氏 タイムストーリー』2016年

クラスで孤立イジメにあっている子から、500円あげるから5分間だけ友達のふりをしてくれないか?と頼まれる。
彼には、もう先が長くない病気の母がいて、友達がいるんだって事で安心させたかったから。お母さんには息子のその策略がしっかりバレていて、でもありがとうね・・って言うのよね。涙。
でも、その後も、彼らの関係は続いているのでした。

・無人島と一冊の本 中田永一
 初出「き・まま」第6号 2016年

・パン、買ってこい 中田永一
 初出「Number Do vol. 27」 2016年10月

パシリされてる男子学生だが、本当に美味しい焼き立てのパンを買って来たい。その為には学校の外にあるお店に走って行って往復する時間が必要で、そのために早く走る努力を・・という、なんだか今までには無い思考と視点のお話だった。

・電話が逃げていく 乙一
 初出「STORY BOX」2020年3月号(『超短編! 大どんでん返し』

・東京 乙一
 初出『東京』 2016年11月(文鳥文庫、文鳥社刊)

性行為をしてないのに妊娠、出産し、産まれた子供がありえない程立派な子で・・。キリストとマリア様みたいな話

・蟹喰丸 中田永一
 初出「き・まま」第8号 2019年1月

余命宣告をうけ、ヤケ酒をしていた男が、異世界に迷い込み、蟹喰丸(かにくいまる)という鬼と一緒にお酒を飲むことになる。お酒を持って来ることで不治の命(死ななくて済む)になれる札をもらう。
最後は、その札を病院でみかけていた子供へ譲ってあげる。(自分はもう死ぬ覚悟をする)
そして、蟹喰丸自身が自分は嫌われ者で、どうせ不治の命をもらえるから自分と酒を運び、飲んでいるんだろうと思っているのを、利益の為だけじゃないんだと示す処が切ない。

・背景の人々 山白朝子
 初出「小説現代」2021年8月号

・カー・オブ・ザ・デッド 乙一
 初出「Kindle Single」 2016年9月

かなりグロい。ゾンビの描写が読むのが辛い。
車を運転していたら、故障して困っているカップルに出会う。親切心から助けてあげようとしたら、なんと学生時代に自分をいじめてた男と優しかったマドンナだった事が解る。

・地球に磔にされた男 中田永一
 初出「yom yom」2016年春号

タイムワープ・パラレルワールド的なお話。今しょうもない自分だけど、別時空の自分はお金持ちだったり、幸せだったりしてるのを見て、その時代の自分を殺して今の自分がなりすまし、して暮らしてしまおうか?と思う。
ラストは、自分が早くに亡くなってしまう妻と子供の時空に入って、家族仲良く幸せに暮らすというオチになっていて、良いラストだったわー

・沈みかけの船より、愛をこめて 乙一
 初出『迷─まよう─』 2017年7月

両親が離婚するという、どっちについて行くか?を天秤にかけて真剣に悩む主人公の女子中学生。弟がいる。

・二つの顔と表面 Two faces and a surface  乙一
 初出「小説トリッパー」2022年春季号
自殺しようとしたが踏みとどまった少女に付いた人面瘡。二人で会話しながら、学校で起こった「猫殺し事件」の犯人を突き止める。
うーん、最近宗教関係にハマった人の子供の辛さを見聞きしていたので、辛かったです・・・。

太文字にしたのは、私が面白かった作品。
この前読んだ乙一さんの「さよならに反する現象」が帯や宣伝で期待させられ過ぎてしまったせいか今一つでしたが、本作は予想以上に面白かったです。4つ★

2017年の座談会で
乙一 よかったです。僕は、小学一年生の子どもがいて、夏休みに学童のキャンプがあるんですが、それに行きたくなくて、本当に、悩みました。半数以上参加しますし、子どもも行きたがっているので、結局行くことにしましたが、見知らぬ親と何を話せばいいのか分からないし。
って言っていたので、今はお子さんは中学生?

沈みかけの船より、愛をこめて 幻夢コレクション – 2022/5/20  乙一 , 中田 永一 , 山白 朝子



乙一さんの他の本の感想
「さよならに反する現象」「一ノ瀬ユウナが浮いている」
箱庭図書館
失はれる物語、暗いところで待ち合わせ 感想
zoo 
「銃とチョコレート」「GOTH」「小生物語」感想
「メアリー・スーを殺して」「私は存在が空気」 「夏と花火と私の死体」
コメント (3)    この記事についてブログを書く
« ネタバレ感想「invert 城塚翡... | トップ | 「GROOVE LINE」終了と、そら... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (わぐま)
2023-03-26 14:06:49
こんにちは^^
読みましたよ~~。蟹喰丸が一番好きでした。鬼との友情?みたいのに泣けた。
ゾンビ系やSFのが苦手なので、それが無かったらもっと良かったかな~~~。
こーいういろんな作風を書けるって、乙一さんって天才なんだなぁと思ってしまいます。
返信する
わぐまさん☆ (latifa)
2023-03-26 18:19:05
わぐまさん、こちらにもコメントありがとう
確かに乙一さんって、色々なジャンルのお話がありますもんね。

この本を読む直前に読んだのが、20周年記念作品だったかな?「さよならに反する現象」で、帯等で期待させられ、ガッカリしちゃった後だったから、これがより面白く感じたの。

蟹喰丸は私もお気に入りです。
返信する

コメントを投稿

小説・漫画他」カテゴリの最新記事