この主人公の悼む人である静人に、ずっと違和感を感じながら読み進んで行き、でも、こういう旅に出るに至る彼の過去や、後半の展開で、何か私の気持ちも変わるかもしれない・・と少々期待しました。しかしながら結局、、最後まで、何か違う・・・共感が出来ない・・というのは変わらなかったです。
偽善や、自己中心的な一人よがりの行動・・と言うふうに時に私の目には映ってしまったし、あまり理解出来ない宗教的なものを感じてしまったというか・・。
私が違和感を持った理由は、
悼むと言って、沢山の人の亡くなった場所を回りノートに残しているものの、その膨大な量の人たちを果たして一生忘れずにいられるのだろうか? 今後もどんどん数は増えて行くわけで・・・。
亡くなった人の情報を、回りの人たちに、時にイヤな思いをさせてまで、聞くという行為をし続けるという部分が、引っかかりました。
「誰に愛され、誰を愛し、誰に感謝されたか」ということなどを頭にインプットする・・という事なのですが、どんな犯罪者であっても、平等にその部分を・・・というのは、なるほどな~とは思ったのですが・・
「誰に愛され~うんぬん」という事を回りの人に質問せずに、ただ、ただ、悼んで回る・・という行為を続けているのであったなら、私が静人を見る目も違ったんですけども・・。 ただ、そうなると、何も情報が無い人のことを、忘れずに覚えている・・というのは困難だろうし、「誰に愛され~」という部分が大事だと静人が思っているからこそ、質問してるんだから、しょうがないんだろうけど・・。
私の考えというかは、まずは自分の回りの人たち(家族や友達やら・・)に愛情や配慮をすべきで、その次に、そうではない大多数の多くの人に・・・って思うんです。 万人に愛情を~っていうのは良い事だとは思うんだけど、自分にはとうてい無理で、う~~ん、そのあたりの宗教観とかはキリスト教とかに何か通ずるものがあるのかな・・・?
とにかく、この静人・・・。自分の家族はほったらかしなのに、見ず知らずの人にばかり神経が行ってるって風に見えちゃったんですね・・・。お母さんはもう命わずかだし、妹は兄のせいで婚約は破談なのに、、
それでも、天涯孤独で、誰からも愛されず孤独な人からすれば、静人のような存在は、ありがたいに違い無いのも事実なのですよね・・・。
う~~ん、でも私はまだこの本を理解するのには、人生経験が浅すぎたのかもしれない・・もしくは、人の痛みとかにまだまだ無神経だったり、思慮深さが不足しているのかもしれない・・・。あと20年して読んだら、感動出来るのかもしれない。
でも、この小説、つまんなかった訳では決してありません。
読み応えも凄くあったし、色々考えさせられたし、部分的に「なるほど~」「そうかも・・」「深いな」と感心した処もあったし。
中でも私がこの小説で強い印象を受けたのは、末期ガンの母親の病状の進行と気持ちの部分と、週刊誌記者の蒔野抗太郎の変化でした。やさぐれ、悪どくなってしまっている抗太郎が、静人と知り合った事で、変わって行ったり、自分の父(こちらも瀕死の状態)との確執、そして離婚して会う事もなくなっていた息子のHPを見る様子、など、そして危険な状態になった時に悟る彼の心の声など、凄くそれらは読んでいて胸に響くものがありました。
★以下ネタバレです 白文字で書いてあります★
まさか抗太郎がホントに少年達にボコボコにされ死にかけるとは・・・。 それでも救急車にあの少女が通報してくれたことで命が助かるわけですよね・・・。
あと、奈義倖世が個人的にあまり好きじゃなかった・・。断らずに受けてばかりいるのは良くないよ・・。幸薄い様子で男を引き寄せるものの、結局男をイラつかせ暴力をふるわれるように・・・というのは、気の毒だったな・・。でも殺して欲しいと言う夫との関係とかが今ひとつ良く理解が出来なかったです。そして、静人とも結局やっちゃうんだ・・・? 逆に聖人か仙人のようにしか見えなかった静人のそういう人間らしい処が一瞬見えたシーンではあったけれども・・・。以上
現在の処は「永遠の仔」の方が私にはずっと心に響く本です・・・。天童さんが「包帯クラブ」で書ききれなかった事や、もっと深く掘り下げて作ったのがこの「悼む人」なのかな・・・。3つ★~3つ★半
(内容・あらすじ)全国を放浪している坂築静人。夫殺しの罪を償い出所したばかりの奈義倖世と出会う・・・。
そして故郷には、末期ガンに冒されている静人の母・巡子、幼い頃のショックなどで対人恐怖症になっている父、別れた恋人の子供を身籠っている静人の妹・美汐がいた。
「包帯クラブ」と「永遠の仔」
理由は、「当店で一番売れた本を投票させていただきます」ってポスターを作ったから。
それに店にいっぱいあって、さばききれないから・・・
でも、はい、私はこれ、うん、一位だとは思っていません。
どうも相性が・・・
小説に何が出来るのか、多分すごく考えていらっしゃるんだろうけど・・・私はそれは求めていないです、っていう感じ・・・でも、この小説、つまんなかった訳では決してありません。
>読み応えも凄くあったし、色々考えさせられたし、部分的に「なるほど~」「そうかも・・」「深いな」と感心した処もあったし
うんうん、そうそう、難しいっていう感じです。
沢山の人に読んで欲しいっていうのはホントかな。
ところで、3月31日「くまちゃん」って言う題名で角田さん新刊出します。(予定)
もしかしたら、酒井駒子さんが表紙を書かれるかもです。
もう、ハイペースですよね・・・重松さんもそうだけど・・・
本屋大賞、一体何が取るんでしょうね?
牧場主さんのお店は、売れた本を・・っていうのは、妥当かと思いますよ
やっぱり売れないと困るし・・・。
で、私も色々な人の感想を聞きたいです。私のは独りよがりな感想なので・・・
身近な人がこの本を読んで、すごい感動した!とか、こういうところがこうだった~とか、そういう私が気がついてない部分とかを聞きたいな~と思ってるの。でも、リアル知人で、誰一人として読んでないけど・・。
でもね、これを数年命をかけて?作った天童さんの渾身の意気込み?みたいのは、感じました。だから、非難めいた感想は書きたくなかったんだけどもね・・・。
くまちゃん?? 想像がつかないタイトルですね~ 情報ありがとうです!!
酒井駒子さんの表紙ですと~~!!!それは楽しみ♪
私は万城目さんの新刊の「プリンセス・トヨトミ」が楽しみで、毎日図書館のHPをチェックしてます・・・。早く入荷しないかなぁ~。
いくら説明されても新興宗教か何かだと思ってしまいそう。
でね、自分のところにも書いたのだけど、やっぱり彼も男なんですよね。
ああいうことになっちゃって。
私はあそこでかなりテンションが下がりました。
ああいう人間くさい事をしていては本来の目的が達成できないと思った静人は、最後はまた1人で旅を続けるわけですが・・・。
修行僧じゃないけれど、やっぱり煩悩は最大の敵みたいでしたね。
天童さんはどこへ行こうとしているのか?
私の中ではやっぱり「永遠の仔」が好きだなぁ。
そうよね・・・。本で読むのと、もし道ばたで全然予備知識無く見かけたのとじゃ違いますよね・・・
ミチさんも、あそこ、テンション下がりましたかぁ~ 私もですよ~。
天童さんって人が、どういう人なのか?が気になります・・・。ウィキペディアでも彼の実生活とか過去、プライベートなことなどが書かれていないの。「永遠の仔」にせよ、これにせよ、ただもんじゃない・・っていう感じがするのだけれど。
今月は「恋文の作法」という森見さんの本が出るんです。
多分、万城目さんの本と並べて欲しいって言うことで同じ頃に出されるんでは・・・これ読む人はこれも読むかな、って出版社が・・・勘ぐり過ぎかな?
「作法」っていえばね、「欲情の作法」ですよ!!
もう、私は私なりに頑張ってきたのに、まともに聞かれた初めての文芸の質問が「欲情の作法はどこですか」ですよ! 今週そればっかですよ!
もう飛ぶように売れてまして・・・他の支店も在庫ゼロで・・・注文を承りますっていうと、断られ、みたいな・・・
今日どっちゃり入って来たんで「はいはい、どうぞどうぞ!」っていう感じで入ってすぐの島にこれでもか! っていうくらい並べましたよ。
もう、エロがそんなに偉いのか! ってやさぐれましたよ。
今月は「下世話の作法」というビートたけしの本も出るんですよね・・・
何て言うか、別に他の本も売れればそれでもいいですよ。
でも、私、文芸担当なんですよ、文の芸なんですよ・・・は~。
話題おもいっきり外れますけど、いいすか! プンスカ! もう! 書いちゃいましたよ!
私がこの手で並べたんですよ、不況だから、それしか今売れないから、自分で判断して!! 命令されたわけじゃなく!
ああ・・・うちは地味でカッタイのがウリなのに・・・手に取りやすいステロタイプエロめ・・・やさぐれてます
「欲情の作法」
新聞広告もデーン!と凄かったし、TVの宣伝も凄かったですよね・・。わたしゃ~実は、この渡辺淳一さんって、ちょいと苦手なんです。彼の「僕は女性を知り尽くしている エヘン」という雰囲気が嫌いなの(爆)
でもね、たぶんこれ、凄く若い世代が読むのと、ご年輩が読むのとじゃ違う気がするのですよ~。というか、読者層が結構年齢が高い予感・・・。なんか、もしかすると、日本の60代以上の方より日本の若い子って、エロ探求とか、そういう事にそれほど興味が無い気がするんですけども・・・
「エロがそんなに偉いのか?」って牧場主さんの言葉、爆笑しちゃったわ~!!
>「恋文の作法」「下世話の作法」
へ~~そんな本が出るんだ。これらも売れそうですね・・。
今の処は、私はそれほど読みたい!ってソソられませんなぁ・・
森見さんの隣に万城目さんを~っていうは、ピンポン~ 出版社の営業の方からそういう風に誘導するように~という話がありやんす
latifaさんと感じ方がとても似ているような気がします!
静人が人の死というものを受け止められずにいて、忘れてしまうことにショックを受けてこの旅を始めたというのは解るんだけど、私もどうしたってどんなに記しておいたって見知らぬ人の死を全て覚えておけるわけがないんだから、ちょっと無謀では・・と思ってしまうんですよ~
悼まれることを嫌な人はいないと思うんだけど、何か共感できないものがあって・・
母親の病気を知らないから仕方ないとはいえ、家族を大切な母親に寂しいままで息子に会えない心残りで逝かせるなんてどれだけひどい仕打ちか・・って思っちゃいました。
無事かどうか心配しているってことは解る筈なんだから電話の1本かけられないってことはないのに・・
どうも自分勝手に感じてしまいましたよ~又もっと年齢が上になってから読むと違って感じるのかもしれないんですけど。
全然大丈夫ですよ~
私もhitoさんのレビューを拝見して、同じ~~!って凄く嬉しかったです。
そうそう・・。静人は実家のごたごたとか知らないから、しょうがないとはいえ、読者側はお母さんや妹のことがシッカリ解っているから、読み進めながら、2人が不憫で・・。なんだかなぁ~という気持ちが常にありました。
そうよね~電話の1本はかけてあげていいと思うわ。
読み終わってしばらく経ったら、また読んだ直後よりも、違った風に感じる作品かも・・・と思っていたんだけど、むしろ日が経つにつれて、やっぱり共感出来ない。違和感あるわ~って気持ちが強くなってしまったみたい。
でも、20年後読んだら、違う気持ちになるかもです。
そうね~、私も静人には、家に帰って欲しい!って強く思いました。
子どもって、一端家を離れると、なかなか里心が湧かないものなのかな。。
自分の親兄弟は大丈夫!って思ってしまうのかな?
男の子は、特にそうかも・・。ウチも気をつけよう(笑)。
でも、巡子さんの「魂の耳」に産声が届いて、ホントによかったなぁ、と思いました。
ところでこの本って、本屋大賞の候補作だったんですね。
私は『告白』はあまり好きじゃなかったので、「ええー?」という結果でした。
現代の世相を反映してるのだろうけど、あれはネガティブな気分になる本だったわ。。
天童さんには、直木賞おめでとう、って素直に言いたいです。
ではでは、またね~。
>子どもって、一端家を離れると、なかなか里心が湧かないものなのかな。。自分の親兄弟は大丈夫!って思ってしまうのかな?
いや、人それぞれですよ!
離れていても、すんごい親孝行な息子さんって、結構色々知ってます
その反面、家の旦那みたいな、実家に全然興味無いのかな・・・?って人もいる・・・。たまに電話しなきゃ!って私がしつこく言って、やっと重い腰をあげる。。。って状態だわ・・・。
本屋大賞は、「告白」でしたね・・・。実は「告白」は人気上昇中の頃、読もうかな?と思い立って図書館にリクエストしようと思ったら、既に100人以上待ちで、いいっか~と、諦めちゃったの。でもその後、もっともっと話題作になっちゃって・・・。結局凄く出遅れて、とりあえず読んでみなければ、と思ってリクエストしたら、200人待ち(爆)
今、何番目くらいかなぁ・・・。
真紅さんはあんまり「告白」は好きな本って訳じゃなかったのね・・・?
次回作の「少女」は、リクエストするのが割と早かったので、順番回って来て、ちょうど今日、借りてきたところなの。
私も直木賞、おめでとうー!と心から言いたいです。以前の「永遠の仔」で既に取っていてもおかしくない作家さんですもんね。