先日、遠藤周作さんの「沈黙」と「海と毒薬」が面白かったので、他の作品も読んでみよう~と思いました。最初に手に取ったのが、海と毒薬の続編とも言える「悲しみの歌」

戦犯となった医者「勝呂」のその後を描いています。なんだか・・この勝呂さんが可哀想というか、、気の毒で、読みながら切なくなりました・・・。基本的に悪い人間では無く、むしろ結構良い人なのにな・・・。
勝呂さんは、こっそり中絶手術を行っているお医者様でもあります・・・。腕は良いんだけれど、長く同じ場所で開業出来ないのですよ・・。しばらく暮らしていると、どこからともなく過去の過ち?がご近所に漏れ、そこに居づらくなってしまうんです・・・。
そして、もう助かる見込みのない瀕死の病人から、殺してくれ~と泣いて毎日頼まれ、結局安楽死させてやるのです。この安楽死という部分も、「海と毒薬」でも出て来ていましたよね・・。最初に勝呂さんが受け持った患者さんのオバチャン・・・。苦しみ抜いて死ぬ・・っていうのは、避けられないものなのでしょうか?私もそして多くの人が、自分がそういう風な立場になったら、安楽死を是非是非お願いしたいと切実に願うはず・・・。
その勝呂さんを追うライターの男性。この人と綺麗なスチュワーデスさんのやりとり・・・。このライターは、自分からスチュワーデスさんが離れて行った理由が全然解ってないのですよ。スチュワーデスさんはいわゆる普通の感覚を持つ人で、最初好感を持っていたライターさんの人間性が段々イヤになるんですよね・・・。
そして、フランス人のガストンという不思議な外国人。この人がお人好しというか、なんというか、凄い良い人というか、ありえん程の親切な人なんですよ・・・。自分がボロボロになろうとも、他人を喜ばせたい助けたいと思う気持ちが、宗教的な処から来てるのかな・・・?
凄く面白い小説で、色々な事を考えさせられました。4つ★
・・・・・・・・・・・・・・・・
次に読んだのが、
「女の一生」―キクの場合 これは辛かったなあ・・・。
1862年、長崎の街に司祭のプチジャンが訪れるところから始まる。
「沈黙」の話から200年余り経過しているものの、未だキリシタンは差別の対象であり、禁止されているも同然な事は変わらない。
表面的にはもういなくなったと思われているキリシタンだけれど、実は少数の人たちが今も信仰し続けていたのでした・・・。
このキクという女性が、この時代において、きっとずいぶん革新的な思考だったんじゃないかな・・・?と前半思わせられる。活発で強気な女の子だ。そのキクととても仲の良い妹分的な存在の女の子ミツ。
★以下ネタバレです 白文字で書いています★
一言でいえば、好きな男(キリシタンで、後に投獄されてしまう)を救いたいが為に身を売ってまでお金を作る健気で一途な愛を貫く女のお話・・・。
このお話で、酷い男が出て来る。キクの好きな男(投獄されてる)を、自分がこっそりお金を渡す事で少しは楽にしてやれる事が出来る・・・と嘘をつき、キクからお金を受けつつも、そのお金をネコババ。そんな事は知らないキクは、好きな男の為だと思い、肺病になるまで身売りし続け(キクはその男とも関係してる)お金をせっせと稼ぎ、その酷い男にお金を渡し続けるのだった・・・。
もう読みながら、この男は地獄に堕ちろー!と思ったし、素直に信じてそこまでしてしまうキクにも歯がゆくて・・・。
しかし、小説の最後に、何年もが経った後、その酷い男がキクの好きな男のもとに訪ねて行くシーンがあるのです。その酷い男がキクのことを好きだったこと等、洗いざらいうち明けるんです・・・。
以上
途中で、キリスト教のことを何も知らないキクが、好きな男が大切に思っている聖母マリア像に色々訴えたり、怒りからなじってしまうシーンが印象的でした。 3つ★半
「沈黙」「海と毒薬」

戦犯となった医者「勝呂」のその後を描いています。なんだか・・この勝呂さんが可哀想というか、、気の毒で、読みながら切なくなりました・・・。基本的に悪い人間では無く、むしろ結構良い人なのにな・・・。

勝呂さんは、こっそり中絶手術を行っているお医者様でもあります・・・。腕は良いんだけれど、長く同じ場所で開業出来ないのですよ・・。しばらく暮らしていると、どこからともなく過去の過ち?がご近所に漏れ、そこに居づらくなってしまうんです・・・。

そして、もう助かる見込みのない瀕死の病人から、殺してくれ~と泣いて毎日頼まれ、結局安楽死させてやるのです。この安楽死という部分も、「海と毒薬」でも出て来ていましたよね・・。最初に勝呂さんが受け持った患者さんのオバチャン・・・。苦しみ抜いて死ぬ・・っていうのは、避けられないものなのでしょうか?私もそして多くの人が、自分がそういう風な立場になったら、安楽死を是非是非お願いしたいと切実に願うはず・・・。

その勝呂さんを追うライターの男性。この人と綺麗なスチュワーデスさんのやりとり・・・。このライターは、自分からスチュワーデスさんが離れて行った理由が全然解ってないのですよ。スチュワーデスさんはいわゆる普通の感覚を持つ人で、最初好感を持っていたライターさんの人間性が段々イヤになるんですよね・・・。
そして、フランス人のガストンという不思議な外国人。この人がお人好しというか、なんというか、凄い良い人というか、ありえん程の親切な人なんですよ・・・。自分がボロボロになろうとも、他人を喜ばせたい助けたいと思う気持ちが、宗教的な処から来てるのかな・・・?

凄く面白い小説で、色々な事を考えさせられました。4つ★
・・・・・・・・・・・・・・・・
次に読んだのが、
「女の一生」―キクの場合 これは辛かったなあ・・・。
1862年、長崎の街に司祭のプチジャンが訪れるところから始まる。
「沈黙」の話から200年余り経過しているものの、未だキリシタンは差別の対象であり、禁止されているも同然な事は変わらない。
表面的にはもういなくなったと思われているキリシタンだけれど、実は少数の人たちが今も信仰し続けていたのでした・・・。
このキクという女性が、この時代において、きっとずいぶん革新的な思考だったんじゃないかな・・・?と前半思わせられる。活発で強気な女の子だ。そのキクととても仲の良い妹分的な存在の女の子ミツ。

★以下ネタバレです 白文字で書いています★
一言でいえば、好きな男(キリシタンで、後に投獄されてしまう)を救いたいが為に身を売ってまでお金を作る健気で一途な愛を貫く女のお話・・・。

このお話で、酷い男が出て来る。キクの好きな男(投獄されてる)を、自分がこっそりお金を渡す事で少しは楽にしてやれる事が出来る・・・と嘘をつき、キクからお金を受けつつも、そのお金をネコババ。そんな事は知らないキクは、好きな男の為だと思い、肺病になるまで身売りし続け(キクはその男とも関係してる)お金をせっせと稼ぎ、その酷い男にお金を渡し続けるのだった・・・。

しかし、小説の最後に、何年もが経った後、その酷い男がキクの好きな男のもとに訪ねて行くシーンがあるのです。その酷い男がキクのことを好きだったこと等、洗いざらいうち明けるんです・・・。

途中で、キリスト教のことを何も知らないキクが、好きな男が大切に思っている聖母マリア像に色々訴えたり、怒りからなじってしまうシーンが印象的でした。 3つ★半

「沈黙」「海と毒薬」
私も、高校の夏休みの宿題なので読みましたが、たぶん、ガストンって、キリストの生まれ変わりみたいなイメージがあったのかな、という解釈が多いみたいです。
「勝呂さんを追うライターの男性」みたいな人、現実社会に結構います。しかも、自分でそれが気付いていない、みたいなの。若い人に多いかな。そういう人はどこかで挫折しないと気がつかないんですよね。でも、自分も若い頃、そんな人だったような気がします。(笑)
「女の一生~キクの場合」のネタバレ文章を読んだら、なんか中谷美紀主演の映画「嫌われ松子の一生」を思い出しました。
「嫌われ松子の一生」の映画版はコメディ風に描かれていたので、そんなに辛くなかったけれど、テレビドラマの方は、かなりシリアスだったと聞きました。映画は見たけれど、ドラマの方は見なかったです。
latifaさんは、沢山、読書をしていますね~。
私は、縦書きの文章を読むのが遅くて、最近は、じっくり本を読む根気がなくて、演劇化されたり、映画化されたり、漫画化されたりしたものを見て、ラクしてストーリーを入手しようとしがちです。最近は、マンガで「蟹工船」を読みました。
でも、たぶん、本で読んだ方が、自分なりの解釈とか、自分なりのイメージを頭の中で自由に描ける楽しみがありますね。マンガ化とか映画化・舞台化されたものは、漫画家や映画監督のの演出で作られてしまうので、自由な解釈の余地が限定されてしまうデメリットがありますねー。
>ガストンって、キリストの生まれ変わりみたいなイメージがあったのかな、という解釈が多いみたいです。
そうなんですかー。あんなに優しい自己犠牲の人、なかなかいないですもん・・・・。
>「勝呂さんを追うライターの男性」みたいな人、現実社会に結構います。しかも、自分でそれが気付いていない、みたいなの。若い人に多いかな。そういう人はどこかで挫折しないと気がつかないんですよね。でも、自分も若い頃、そんな人だったような気がします。(笑)
ほんとですか?
hideさんも若い頃そういう感じだったとは、全く想像がつかないな~!
「女の一生~キクの場合」を読みながら、私も「嫌われ松子の一生」が頭の中で浮かびました。
嫌われ松子は、世間では凄く評判も良かったし、hideさんのおっしゃる通りに、そんなに辛さを感じない作品って言われてますが、私個人的には、なんか悲惨過ぎて見てられねぇ~~!
>演劇化されたり、映画化されたり、漫画化されたりしたものを見て、ラクしてストーリーを入手しようとしがちです。
私もそうですよ