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今までは日本国内の、どこか不思議な別世界・・・というお話を書かれていた恒川さんの、初めて海外の南国を舞台にしたお話。
恒川さんのインタビューの記事を読んだところ、どこの国というモデルは特になくて、パラオとかインド洋や南太平洋あたりの島のイメージのミックスらしいですね。
私は勝手にマルティニック諸島とか、中南米の小さい島をイメージして読んでいました。
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この小説は、色合いでいうと、珊瑚っぽいピンクって感じなのですが、きっと「十字路のピンクの廟」が私には一番面白く、その印象が強かったせいかもしれません。ロブにキスを・・という所で、同じクラスの女子が、全員がすれば・・と提案する所は、優しいなぁ~!って思いました。あと担任の先生が今まで機会がなくてこれが初めてで・・っていうところもなんか良かったです。
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他には、赤い実と白い実の伝説とか、そういうのは大好きだし、異国からの漂流者・・・というエピソードが幾つかあって、それらもそれぞれ面白かったです。
短編それぞれどれも面白かったのだけれど、タカシの両親が生活苦で・・タカシを預けて・・・という設定が、どうもピンと来ないというか、この小説のムードにしっくり来ないのだけがちょっと私は残念だった気がしました。トータル3つ☆半
そういや、恒川さんが子供の頃、夏の湘南海岸に連れて行ってもらったとき、ヒッピー風のカッコイイお姉さんお兄さんがいて、ショックを受けたことが、最初のお話の120才の不思議な呪術師ユナ登場につながっているとか。
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南の子供が夜いくところ (2010/2/27)
南の子供が夜いくところ 紫焔樹の島 十字路のピンクの廟 雲の眠る海 蛸漁師 まどろみのティユルさん 夜の果樹園
内容(「BOOK」データベースより)
「今年で120歳」というおねえさんと出逢ったタカシは、彼女に連れられ、遠く離れた南の島で暮らすことになる。多様な声と土地の呪力にみちびかれた、めくるめく魔術的世界。
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やっぱり現在の所、恒川さんのお話では、「夜市」が一番好きかな。でも、どんどん新しい事にトライされていく意気込みみたいのを感じました。またこれからもずっと恒川作品を応援・追いかけて行きます。
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恒川光太郎
恒川光太郎「夜行の冬」
草祭
「秋の牢獄」「夜市」
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