リートリンの覚書

麁服と繒服 10 絹の魅力 神聖な絹


絹の魅力


絹は、それ自身が糸のように細長く、
フィブロインとよばれる
タンパク質を素材としています。

太さが平均約10ミクロン、
長さが1500mもある
細くて長い繊維です。

しかも、
太さと三角形に近い断面の形に
ばらつきが多く、

二本のフィブロインの断面を、
熱水やアルカリに溶けやすい
タンパク質・セリシンが
おおっています。

また、
糸のような分子には、
分子同士が強く引き合う性質の部分が
多くあり、

分子が束になる力は
レーヨンやナイロンの1.7倍になり、

断面強度は
同じ太さの鋼鉄にも匹敵するほどです。

絹繊維には、
弾性を受け持つ結晶領域と呼ばれる
ばねのような性質の部分と、

塑性を分担し非結晶領域と呼ばれる
粘土のような性質の部分が
およそ4対6の割合で
万遍なく散らばっています。

したがって、
木綿ほどに堅すぎず、
ナイロンのように柔らかすぎず、
繊維が細かいこともあり、
絹の衣服はソフトななかにも
腰があるのが特徴です。

一日に2ℓもの汗をかく人間にとって、
体を包む衣服がよく水を吸いとり、
ゆっくりと発散することは、
着心地、保健衛生上の面からも
非常に大切なことです。

絹はフィブロイン分子の中に、
水分子が吸収されやすいだけでなく、

繊維構造の中に
極めて微細な隙間が無数にあり、
それらが貯水の役目を
果たしているからです。

水分子が吸収されやすいということは、
絹は染めやすい素材です。

また、
もともと熱を伝えにくい性質があるうえに、
洗練加工でセリシンを除かれた絹織物は

繊維と繊維のあいだに
空気を含むことになり、

肌が触れても
温度や湿度の急激な変化を
和らげ肌に伝えるのです。

これは他の天然繊維にも言えることですが、
繭・羊毛・綿花は、
実や体を過酷な自然環境から
保護するためのものであることを考えれば、

天然素材を用いた繊維が
人間の衣服の素材として
適しているといえるでしょう。
 

神聖な絹


白絹は最も清らかなものとして、
汚れのない神聖な布なので、
人の人生の節目のときに使われてきました。

生まれ落ちたとき、
まず白絹で包みます。

産着は白絹、結婚衣装も白絹、旅立ちも白絹。

人生の要所で絹が使われています。

また、
聖職にある人たちは、
瞑想をするときや祭祀を執り行うときは、
必ず絹の衣を身につけています。


感想

改めて自分の着る服の素材を見ると…

気兼ねなく
洗濯機でザブザブ洗える
綿が多い。

絹を使ったものは、
お宮参りに使った着物しかない😅

肌触りが滑からで
吸水性にすぐれ
良いのはわかるのですが、

正直、お手入れの面倒さ、
そして、クリーニング等のコスト的に

無理だなぁ。

その絹ですが、
絹の特徴を見てみるちと、

強度が同じ太さの鋼に匹敵するとは、
これは驚きです。

柔らかいながらも、
強度が高いとは、
素晴らしい繊維ですね。

深い繊維です。

他の天然繊維も、
厳しい自然から身を守るために
変化してきたものですから、

やはり、
人間の肌に馴染み易い。

知り合いの子は、
化学繊維を着ると
アレルギー反応が出るので
ママさんは買い物の際、
表示に気をつけながら購入していたことを
思い出しました。

化学繊維は、
近年出来たばかりの物ですか、
人間の肌に馴染みにくいのでしょう。

やはり、
肌に触れる物は、
自然素材の繊維が一番かも知れません。

さて、
聖職者が絹を着る。
その疑問は、未だに分からず。
この点は、宿題ですね。
今後も、勉強しています。

さて、今日はこれで。

最後まで読んで頂き
ありがとうございました。


参考にさせていただいた本

・シルクのはなし 
小林勝利 鳥山國士

・絹の文化誌 
篠原昭 嶋崎昭典 白倫 編著

・皇后さまとご養蚕 
扶桑社

・麁服(あらたえ)と繪服(にぎたえ)
天皇即位の秘儀 践祚大嘗祭と二つの布
(著)中谷 比佐子・安間 信裕 監修 門家 茂樹



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