リートリンの覚書

日本書紀 巻第二十二 豊御食炊屋姫天皇 四十三 ・新羅、任那を伐つ ・新羅と任那に使者を派遣する



日本書紀 巻第二十二 豊御食炊屋姫天皇 四十三

・新羅、任那を伐つ
・新羅と任那に使者を派遣する



この歳、
新羅が任那を伐ちました。
任那は新羅に附(つ)きました。

ここにおいて、
天皇はまさに新羅を討とうとし、
大臣と謀り、
群卿に詢(と)いました。

田中臣(たなかのおみ)が答えて、
「急いで討つべきではありません。

先に状を察して、
逆を知った後に撃っても
おそくはありません。

請います。
試みに遣使して、
その消息を観ることにしましょう」
といいました。

中臣連国(なかとみのむらじくに)が、
「任那は、
もともと
我が内官家(うちのみやけ)でした。

今、
新羅人が伐って有しました。

請います。
戎旅(じゅうりょ)を戒め、

新羅を征伐し、
任那を取り、
百済に附(つ)けましょう。

新羅から任那を取る方が、
寧(むし)ろ益が有ります」
といいました。

田中臣が、
「そうではありません。
百済は覆すことが多い国です。

道路(みち)ゆく間でもなお
詐(いつわ)ります。

彼の請うところは皆、非です。

故に、
百済に附(つ)けてはいけません」
といいました。

すなわち、
征(う)つことを果たしませんでした。

ここに、
吉士磐金(きしのいわかね)を
新羅に遣わし、

吉士倉下(きしのくらじ)を
任那に遣わして、
任那の事を問わせました。

時に、
新羅国の主は、
八の大夫を遣わして、

新羅国の事を磐金に啓(もう)しました。
任那のことを倉下に啓(もう)しました。

因ってもって、
約(ちか)って、
「任那は小国ですが、
天皇の附庸(ほどすかのくに)です。

どうして新羅がたやすく
有することができましょうか。

今まで通りに、
内官家(うちつみやけ)と定めましょう。

願わくは、
煩うことがないように」
といいました。

すなわち、
奈末智洗遲(まなちせんじ)を遣わして、
吉士磐金(きしのいわかね)に副えました。

また、
任那人の達率奈末遲(だちそちなまじ)を、
吉士倉下(きしのくらじ)に副えました。

なお、
両国の調(みつき)を貢ぎました。



・詢(と)
1・とう。はかる。相談する。「詢察」「諮詢」 2・まこと。まことに
・戎旅(じゅうりょ)
軍隊。軍旅。また、戦争
・附庸(ほどすかのくに)
=ふよう・宗主国に従属してその保護と支配を受けている国。従属国。付庸国



(感想)

(推古天皇31年)

この歳、
新羅が任那を伐ちました。
任那は新羅につきました。

ここにおいて、
天皇はまさに新羅を討とうとし、
大臣と謀り、
群卿に相談しました。

田中臣が答えて、
「急いで討つべきではありません。
先に状況を観察して、
反逆を知った後に撃っても
おそくはありません。

請います。
試みに使者を派遣して、
その消息を観ることにしましょう」
といいました。

中臣連国が、
「任那は、
もともと我が内官家でした。

今は、
新羅人が伐って領有してしまいました。

請い願います。

軍隊を整え
新羅を征伐し、
任那を取り返し、
百済につけましょう。

新羅から任那を取る方が、
むしろ益が有ります」
といいました。

田中臣が、
「そうではありません。
百済は言行を覆すことが多い国です。

道ゆく間でもなお、
偽ります。

彼の請うところは皆、非です。

故に、
任那を百済につけてはいけません」
といいました。

こういうわけで、
征伐することを
果たしませんでした。

ここに、
吉士磐金を新羅に派遣し、
吉士倉下を任那に派遣して、
任那の事を問わせました。

この時、
新羅国の主は、
八人の大夫を派遣して、

新羅国の事を磐金にもうしました。
任那の事を倉下にもうしました。

因ってもって、
約束して、
「任那は小国ですが、
天皇の従属国です。

どうして新羅が
たやすく有することができましょうか。

今まで通りに、
内官家と定めましょう。

願わくは、
煩うことがないように」
といいました。

すなわち、
奈末智洗遲を派遣して、
吉士磐金に副えました。

また、
任那人の達率奈末遲を、
吉士倉下に副えました。

なお、
両国の調(みつき)を献上しました。

田中臣の意見。

『そうではありません。
百済は言行を覆すことが多い国です』

日本書紀を読んでみて、
どちらかと言えば

言った事を覆す事が多いのは、
新羅ですね。

日本は何度も、何度も、何度も
裏切られてきました。

『彼の請うところは皆、非です』

これは、
確かに。

百済国が請願してきた事を振り返ると…

みんな、
裏目に出ています。

何でしょうね……

さて、
今後はどうなるのでしょうか。

明日に続きます。

読んでいただき
ありがとうございました。


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