日本書紀 巻第二十 渟中倉太珠敷天皇 十六
・日羅、暗殺される
ここにおいて、
恩率(おんそち)、
参官(さんかん)が、
帰国する時に臨んで、
(旧本は、恩率を一人とし、参官を一人としています)
ひそかに德爾(とくに)等に語って、
「吾が筑紫を過ぎゆくときを計って、
汝等がひそかに日羅を殺したなら、
吾は具に王にいって、
まさに高爵(こうしやく)を
賜るようにしよう。
身及び妻子が、
後々まで栄えるようにしよう」
といいました。
德爾(とくに)、
余奴(よぬ)、
皆、聴きいれました。
参官等は遂に、
血鹿(ちか)から発しました。
ここにおいて、
日羅は、
桑市村から難波の館(むろつみ)に
遷(うつ)りました。
徳爾等は、
晝夜(ちゅうや)、
相計(あいはか)り、
まさに殺そうと思いました。
時に、
日羅は、
火焔(かえん)の如く、
身に光があり、
これによりて、
徳爾等は恐れ、
殺しませんでした。
遂に、
十二月の晦(つごもり)に、
光を失うのをうかがい、
殺しました。
日羅は、
更に蘇生して、
「これはこれ、
我が馳使奴(つかいびとやっこ)等の
所為(しょい)だ。
新羅ではない」
といいました。
言いおえると、
死にました。
(この時にあたって、新羅の使いがあり。故に、いったのです)
・高爵(こうしやく)
高い爵位
・晝夜(ちゅうや)
昼夜を通して。ひるもよるも。いつも
・相計(あいはか)
相談する。共に企てる
・火焔(かえん)
者が燃えるときの、光や熱を出している部分。ほのお
・馳使奴(つかいびとやっこ)
使い走りの奴
・所為(しょい)
物事の起こった原因。せい。ゆえ。そい
(感想)
(敏達天皇12年)
ここにおいて、
大使の恩率、
副使の参官が、
帰国する時に臨んで、
ひそかに德爾らに語って、
「私が筑紫を過ぎゆくときを計って、
お前たちが
ひそかに日羅を殺したなら、
私は詳細に王にいって、
まさに高い爵位を与えられるようにしよう。
自身と妻子が、
後々まで栄えるようにしよう」
といいました。
徳爾、余奴、
皆、聴きいれました。
参官らは遂に、
血鹿(ちか)から出発しました。
徳爾らは、
昼夜を通して、
共に企てて、
まさに殺そうと思いました。
時に、
日羅は、
火焔(かえん)のように、
身体に光があり、
これによって、
徳爾らは恐れて、
殺せませんでした。
遂に、
十二月の晦(みそか)に、
光を失うのをうかがい、
殺しました。
日羅は、
更に蘇生して、
「これはこれ、
私の使い走りの奴らのせいだ。
新羅ではない」
といいました。
言い終えると、
死にました。
(この時にあたって、新羅の使いがあり。故に、いったのです)
日本に、
策を授けてくれた日羅。
しかし、
同胞に暗殺されてしまいました。
徳爾、余奴ですが…
自身と妻子が、
後々まで栄えるようにしようと
あまい言葉をかけられて
暗殺に同意します。
でも、
こういう場合、
実行犯は、
トカゲの尻尾切りされるのが、
世の常。
さて、どうなることやら。
しかし、
身体が火焔のように光るとは。
どういう事でしょうか?
オーラ?
気になりますね。
明日に続きます。
読んで頂き
ありがとうございました。
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