リートリンの覚書

日本の神様27・保食神 改訂版


保食神
(うけもちのかみ)


食物の起源・農耕の起源

保食神は食物を司る神です。

日本神話に登場する神で、
「古事記」には登場せず、
「日本書紀」の神産みの段の
第十一の一書にのみ登場する神です。


神格 


農業神
食物神


「日本書紀」では


本文では、
このように登場しています。

“天照大神は、すでに天上にいて、月夜見尊にいいました。
「葦原中国に保食神がいると聞いています。見に行ってきなさい」
月夜見尊は、勅をうけ葦原中国に降りて行き、保食神の所に到着しました。保食神が首を回し陸に向かうと、口から飯が出てきました。また海に向かうと、大小の魚が口から出てきました。また山に向かうと麁毛や柔毛の獣が口から出てきました。それらの品々をみな準備して、百台もの机にのせてもてなしました。“

このように、
口から様々な食物を
出していることから
食物をつかさどる神と思われます。


そのほか


・「頭から牛馬が生まれた」
ということから牛や馬の神ともされています。
東日本に多い駒形神社では、
馬の神として保食神が祀られており、
さらに「頭から馬」ということで
馬頭観音とも同一視されています。


神徳


農業・漁業・養蚕・狩猟守護
牛馬畜産
航海安全
安産
産業開発
開運招福
厄除け
必勝祈願
家内安全


祀る神社 


猿賀神社(青森県南津軽郡)
竹駒神社(宮城県岩沼市)
各地の駒形神社



口から出した
色々なもので
月夜見尊をもてなした保食神ですが、
「汚い!口から出した物でもてなすとは」
と、怒った月夜見尊に
斬られ殺されてしまいます。

まぁ、
月夜見尊の気持ちは
分からないでもないですが。
やり過ぎです。

保食神…可哀想な神様です。

その死体から様々な物が生まれます。
頭から牛馬、額に粟(あわ)、
眉の上に蚕、目のなかに稗(ひえ)、
腹の中に稲、
陰部には麦と大豆・小豆が生じました。

調べてみて思ったことなのですが、
頭から牛馬・眉の上に蚕。

ふいに、
「おしらさま」のことを思い出しました。

おしらさまは
東北地方の一部で信仰されている蚕の神です。

「遠野物語」馬と娘の悲恋のお話が有名です。

おしらさまは桑の木で作った棒の先に
男女の顔や馬の頭が彫られています。

そう、馬に蚕。

もしかすると、おしらさまの起源は、
保食神にあるのかもと
ふと思いました。

保食神を祭神とする神社は
全国にあるのですが、
とくに東北に多いのが気になります。

国津神の民の末裔が多い東北。
遥か昔から、
崇敬されていた神様なのかもしれません。

本日はこれにて。
明日も神様シリーズ続きます。

読んで頂き
ありがとうございました。


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