リートリンの覚書

日本書紀 巻第十九 天国排開広庭天皇 三十九 ・仏法をどう扱うべきか、議論する



日本書紀 巻第十九 天国排開広庭天皇 三十九

・仏法をどう扱うべきか、議論する



この日、
天皇は聞き終えると、

歓喜(よろこ)び、
踊躍(ようやく)して、

使者に詔して、
「朕は、

昔からこのかた、
いまだかつて、

このような微妙(くわしき)法を
聞いたことがない。

然るに、
朕は自ら決めることはできない」
といいました。

すなわち、
群臣につぎつぎ問い、
「西蕃(にしのとなりのくに)の献じた、
仏のかおは、
端嚴(きらきら)している。

全くこれまであったことがないものだ。

ひとしく皆、
礼するべきか」
といいました。

蘇我大臣稲目宿禰
(そがのおおおみいなめのすくね)が奏して、
「西蕃諸国は、

ひとしく皆、
礼しています。

豊秋日本(とよあきづやまと)だけが、
どうして独り背くことができましょうか」
といいました。

物部大連尾輿
(もののべのおおむらじおこし)、
中臣連鎌子
(なかとみのむらじかまこ)が、

同じく奏して、
「我が国家の、
天下に王としてあるのは、

つねに
天地社稷(あまつやしろくにつやしろ)
百八十神(ももあまりやそかみ)をもって、

春夏秋冬、
祭り拝することをしてきました。

まさに今、
改めて蕃神(あたしくにのかみ)
拝したりするなら、

恐らく、
国神が怒り到ることでしょう」
といいました。

天皇は、
「よろしく、
情願(じょうがん)する人・
稲目宿禰に付けて、

試みに礼拝させるがよい」
といいました。



・踊躍(ようやく)
喜んで、おどりあがること。とびはねること
・微妙(くわしき)
=びみょう・1・なんともいえない味わいや美しさがあって、おもむき深い・こと2・はっきりとたとえられないほど細かく、複雑で難しいこと
・蕃神(あたしくにのかみ)
=ばんしん・その国、その土地の外部(外国、異国)からやってきた神。外来の神
・情願(じょうがん)
事情を陳べて願い出ること。またその願い



(感想)


(欽明天皇13年冬10月)
この日、
天皇は聞き終えると、

歓喜し、
踊りあがりし、

使者に詔して、
「朕は、昔からこのかた、
いまだかつて、

このような複雑で難しい法を
聞いたことがない。

しかし、
朕、自ら決めることはできない」
といいました。

すなわち、
群臣につぎつぎ問い、
「西の隣の国の献上した、
仏の顔はきらきらと輝いている。

全くこれまであったことがないものだ。

ひとしく皆、
拝礼するべきだろうか?」
といいました。

他国なら、
王が一存で物事を決めるのですが、

天皇は、
臣下に問いかけていますね。

すでに、
日本では、

和を以て貴しと為す、

考え方が根付いていたのですね。

蘇我大臣稲目宿禰が奏して、
「西の隣の諸国は、

ひとしく皆、
礼拝しています。

豊秋日本だけが、
どうして独り背くことができましょうか」
といいました。

物部大連尾輿、中臣連鎌子が、

同じく奏して、
「我が国家の、
天下に王としてきた方々は、

つねに
天地社稷(あまつやしろくにつやしろ)の
百八十神(ももあまりやそかみ)をもって、

春夏秋冬、
祭り拝することをしてきました。

まさに今、
改めて外来の神を拝したりするなら、

恐らく、
国神から怒りを受けることでしょう」
といいました。

天皇は、
「よろしく、
情願人・稲目宿禰にあずけて、
試みに礼拝させるがよい」
といいました。

こちらも有名なお話ですね。

仏教を積極的に受け入れようとした、
蘇我大臣稲目宿禰。

古来の天神地祇を守るべきとする、
物部大連尾輿、中臣連鎌子。

今後は、いかに…
明日に続きます。

読んで頂き
ありがとうございました。


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