goo blog サービス終了のお知らせ 

リートリンの覚書

日本書紀 巻第十九 天国排開広庭天皇 四十六 ・百済の報告



日本書紀 巻第十九 天国排開広庭天皇 四十六

・百済の報告



(欽明天皇15年)
冬十二月、
百済は、
下部杆率汶斯干奴
(かほうかんそちもんしかんぬ)
を遣わし、

上表して、
「百済王・臣・明、
及び安羅にある諸(もろもろ)の倭の臣等、
任那諸国の旱岐等は、

奏して、
『斯羅(しら)は無道で、
天皇を畏れず、

狛(こま)と同心(どうしん)して、
海の北の彌移居(みやけ)を
残らず滅ぼそうと欲しています。

臣等は、
共議(あいたばか)って、

有至臣(うちのおみ)等を遣わし、
仰いで軍兵を乞い、
斯羅を征伐しましょう』
といいました。

天皇が遣わした
有至臣(うちのおみ)は、

軍をひきいて、
六月に到来しました。

臣等は深く歓喜いたしました。

十二月九日に、
斯羅を攻めに遣わしました。

臣は、
先に東方領物部莫奇武連(まがむ)を遣わし、

その方の軍士をひきいて、
函山城(かむむらのさし)を攻めました。

有至臣がひきいて来た民の
筑斯物部莫奇委沙奇
(つくしのもののべのまがわさか)は、
よく火箭(かせん)を射ちました。

天皇の威靈(かしこきみたま)をこうむり、

月九月の酉の時、
城を焼いて抜きました。

故に、
単使(ひとえつかい)、
馳船(とくふね)を遣わして奏聞します」
といいました。

別に奏して、
「もし斯羅だけなら、
有至臣がひきいてきた兵士でも
また足りるでしょう。 

今、
狛と斯羅は、
同心戮力(どうしんりくりょく)しています。

成功は難しいでしょう。

伏して願わくは、
速やかに竹斯嶋(つくしのしま)の
上の諸軍士を遣わして、
臣の国を助けに来させ、

また、
任那を助けたなら、
事は成るでしょう」
といいました。

また、奏して、
「臣は、
別に軍士万人を遣わして、
任那を助けます。

合わせて奏聞いたします。

今、
事はまさに急で、
単船を遣わして奏します。

ひたすら、
好い錦二匹、
毾㲪(おりかも)を一領、
斧を三百口、

及び獲た城(きし)の民、
男二、女五を奉ります。

軽薄(いやしい)で畏れています」
といいました。



・斯羅(しら)
新羅
・狛(こま)
高麗
・同心(どうしん)
1・同じ心・考えであること。また、心を合わせていること2・心を合わせて事にあたること。特に、戦いで味方すること
・函山城(かむむれのきし)
忠清北道沃川の地
・単使(ひとえつかい)
副使を伴わない単身の使者(ひとつつかい)
・同心戮力(どうしんりくりょく)
心を合わせてきょうりょくすること
・竹斯嶋(つくしのしま)
九州
・酉の時
午後5~7時
毾㲪(おりかも)
毛織の敷物
・軽薄(いやしい)
献上したものが少ない



(感想)

(欽明天皇15年)
冬12月、
百済は、
下部杆率汶斯干奴を派遣して、

上表して、
「百済王・臣・明、
及び安羅にある諸々の倭の臣ら、
任那諸国の旱岐らは、

奏して、
『新羅は無道で、
天皇を畏れず、

高麗と同じ心で、
海の北の彌移居(みやけ)を
残らず滅ぼそうと思っています。

臣らは、
共議(あいたばか)って、

有至臣らを派遣して、

仰いで軍兵を乞い、
斯羅を征伐しましょう』
といいました。

天皇が派遣した、
有至臣(すぐ前の有至臣とは別人)は、 

軍を率いて、
6月に到来しました。

臣らは深く歓喜いたしました。

12月9日に、
斯羅を攻めに遣わしました。

臣は、
先に東方領物部莫奇武連を派遣して、

その方の軍士を率いて、
函山城を攻めました。

有至臣がひきいて来た民の
筑斯物部莫奇委沙奇は、
よく火箭を射ちました。

天皇の威靈をこうむり、

この月9月の午後5~7時に、
城を焼いて抜きました。

故に、
単身の使者、馳船(とくふね)を派遣して、
奏聞します」
といいました。

別に奏して、
「もし斯羅だけなら、
有至臣が率いてきた兵士でもまた
足りるでしょう。

しかし今、
狛と斯羅は、
心を合わせて協力しています。

成功は難しいでしょう。 

伏して願わくは、
速やかに九州の上の諸軍士を派遣して、
臣の国を助けに来させ、

また、
任那を助けたなら、
事は成るでしょう」
といいました。

また、
奏して、
「臣は、別に軍士万人を派遣して、
任那を助けます。

合わせて奏聞いたします。

今、
事はまさに急で、
単船を遣わして奏します。

ひたすら、
好い錦二匹、
毛織を一領、
斧を三百口、

及び獲た城の民、男二、女五を奉ります。

贈物が献上したものが
少なくて畏れています」
といいました。

明日に続きます。

読んで頂きありがとうございました。


ランキングに参加中!励みになります。
ポチッとお願いします。

にほんブログ村 歴史ブログ 神話・伝説へ  

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

最近の「日本書紀・現代語訳」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事