リートリンの覚書

日本書紀 巻第二十五 天萬豊日天皇 四十三 ・新元号・白雉 



日本書紀 巻第二十五 
天萬豊日天皇 四十三

・新元号・白雉 



詔して、
「聖王が世に出て、
天下を治める時は、

天が則ち應(こたえ)て、
その祥瑞を示す。

昔、
西土の君、周の成王(じょうおう)の世と、
漢の明帝の時に、
白い雉が見られた。

我が日本国では、
譽田天皇(ほむたのすめらみこと)の世に、
白い烏が宮に巣をつくり、

大鷦鷯帝(おおさざきのみかど)の時には、
龍馬が西に見えた。

これ、
いにしえから今にいたるまで、
祥瑞が時に見えて、
德があると應た。

その類は多い。

いわゆる、
鳳凰、騏驎、白雉、白烏、
このような鳥獸及び草木まで、
苻(しるし)が應えがあるのは、

皆、これ、
天地の生んだ、休祥、嘉瑞である。

明聖の君がこの祥瑞を獲るのには、
宜(よろしき)に適っている。

朕は、
思い巡らせると、
虛薄(きょはく)である。

何をもって享(う)けたのか。

これ思うに、
もっぱら扶翼(ふよう)する、

公卿、臣、連、伴造、国造等が、
各々がことごとく丹誠(たんせい)に
制度に遵(したが)い
奉り到ったがゆえである。

これが故に、
公卿及び百官等に至るまで、

清き白い心で、
神祇を敬い奉り、

並びに休祥を受け、
天下を栄えさせよ」
といいました。

また詔して、
「四方の諸々の国郡等は、
天が委ね付けたからこそ、
朕が総てを臨み天下を治めている。

今、
我は親なる祖神が知らせた、
穴戸国(あなとのくに)の中に、
この嘉瑞があった。

それゆえ、
天下の大赦、
元を改めて白雉(はくち)とする」
といいました。

なお、
鷹を穴戸との堺に放つことを禁じ、
公卿大夫より以下から
令史(ふびと)に至るまで賜ったが、
各々差がありました。

この時、
国司の草壁連醜経
(くさかべのむらじしこぶ)を褒めて、
大山を授け、
あわせて大いに祿を給しました。

穴戸の三年の調役を免じました。



・虛薄(きょはく)
品格、才能に乏しく、浅薄であること。 また、そのさま
・扶翼(ふよう)
力をそえて助けること
・丹誠(たんせい)
飾りけや偽りのない心。まごころ。誠意。丹心。赤心



(感想)

前回のお話

日本書紀 巻第二十五 天萬豊日天皇 四十二 ・白雉を見る儀式 - リートリンの覚書

日本書紀巻第二十五天萬豊日天皇四十二・白雉を見る儀式十五日、朝庭の儀仗隊(ぎじょうたい)は、元の儀の如く。左、右大臣、百官の人等は、紫門の外において四列になりま...

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(白雉元年2月15日)

詔して、
「聖王が世に出て、
天下を治める時は、

その時、
天が応えて、
その祥瑞を示す。

昔、
中国の君、周の成王の世と、
漢の明帝の時に、
白い雉が現れた。

我が日本国では、
応神天皇の世に、
白い烏が宮に巣をつくり、

仁徳天皇の時には、
龍馬が西に現れた。

これ、
古から今に至るまで、

祥瑞が時に現れて、
徳があると応えた。

その類は多い。

いわゆる、
鳳凰、騏驎、白雉、白烏、
このような鳥獸から草木まで、

天意のしるしが、
皇の徳に応えて現れたのは、

皆、これ、
天地の生んだ、
吉兆、嘉瑞である。

明聖の君がこの祥瑞を獲るのには、
よろしきに適っている。

しかし、
朕が思い巡らせると、
朕は、品格、才能に乏しい。

何をもって、
祥瑞を受けたのであろうか。

これ思うに、
もっぱら朕を、
力をそえて助ける、

公卿、臣、連、伴造、国造らが、
各々がことごとく誠意を込めて、
制度を遵守し奉り到ったがゆえである。

これが故に、
公卿および百官らに至るまで、

清き白い心で、
天神地祇を敬い奉り、
並びに吉兆を受け、
天下を栄えさせよ」
といいました。

また詔して、
「四方の諸々の国郡らは、
天が委ねさずけたからかそ、

朕が総てを臨み天下を治めている。

今、
我が親愛なる祖神が統治した、
穴戸国の中、
この嘉瑞があった。

それゆえ、
天下の大赦、
元年を改めて白雉とする」
といいました。

なお、
鷹を穴戸の境界の中に放つことを禁じ、

公卿大夫より以下から令史に至るまで、
物を与えましたが、
各々差がありました。

この時、
国司の草壁連醜経を褒めて、
大山の位を授け、
あわせて大いに祿を給しました。

穴戸の三年の調役を免じました。

明日に続きます。

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