今日は微笑みを、明日は厳しさを、往々にして気紛れで、時には狂ったように・・・・・・・シャンソンは泣き、笑い、情熱に燃え、踊り、そして思考する。数多くの秘密を分かち合った友人でもあるのだ。
バラの花がいつまでも愛されるように、シャンソンも永遠である。その要素である美しさ、優しさ、そして希望が永遠なのだから。
「シャンソン・フランセーズ その栄光と知られざる歴史」
著:ピエール・サカ 序文:イヴ・モンタン 監修・訳:永瀧達治
★私はどういう訳か、洋楽が好きになり最初は英国のロックやポップスに夢中になっていた。体が弱くなかなか子供が産まれなかったという母が私を産んでくださった。当時では高齢出産という時期のこと。なので、私の両親と私の世代は大きく違っていた。けれど、そのことがいつの間にか私には学びとなってゆき今に至り継続中。映画好きの両親と一緒に古い映画をよく観た。お陰で私は同世代の作品と古い映画を平行して愛好するようになった。音楽も同じように、無意識のうちに、あるいは運命的な出会いのようなレコードたちを聴き続けている。それらに国境はない。アイドルやポップ・ミュージックも大好き!
文学も同じようにフランス文学が特に好きらしい。けれど、英国文学やドイツ文学に大好きな作家が幾人もおられる。国籍や言語をあまり意識しているつもりはないけれど、何故だか「シャンソン・フランセーズ」は相性が良いのか心が安堵する楽曲が多い。母の持っていた古いレコードをなんとなく聴いていた頃から、意識的に自分でも購入するようになったのは80年代の初め。ヨーロッパのニュー・ウェイヴの音楽を聴きながら。リオやヴァネッサ・パラディ、シャルロット・ゲンズブールやエルザ、ミレーヌ・ファルメールやパトリシア・カースたちが大好きで聴き入っていた頃。ブリジット・フォンテーヌ、バルバラ、フランソワーズ・アルディは既にキャリアの長い方々であった。英国のマリアンヌ・フェイスフル、ドイツ人だけれど無国籍な佇まいの孤高のニコも同じく。
イヴ・モンタン!大好き。俳優だと想っていたのに、歌手としても偉大なお方だと知ったのもそんな頃。初めて観た映画は『戒厳令』。政治映画でとてもシリアスな作品から知った。劇中の苦悩する渋い表情に魅せられた。そして、今でも「好きな男優」の指折りに必ず入るお方。モンタンの出演作品は結構観ることができている。作品によって様々なモンタンの魅力がある。晩年のモンタンも大好き!額の皺や白くなった髪は長い芸能生活、「イヴ・モンタンの軌跡」である。両親と私が一緒に鑑賞したり、魅せられたお方のおひとり。なので、私のあの時、あの頃が共に蘇るのである。そして、愛する両親との想い出も。みんな、もうこの世に居られないけれど、私の心の中にはずっと、いつまでも。