薔薇色ファンタジー★ヴェルヴェットの小部屋

色褪せぬ美しきもの・映画・音楽・文学・絵画等。ヴェルヴェット・ムーンのサブchouchouの偏愛日記です。忙中有閑♪

『気狂いピエロ』監督:ジャン=リュック・ゴダール主演:ジャン=ポール・ベルモンド / アンナ・カリーナ

2013-01-04 | 好きな映画

 

やさしくて残酷
現実的で超現実的
恐ろしくて滑稽

夜のごとく
昼のごとく
平静で突飛な

素晴らしき
気狂いピエロ

 

★ゴダール映画を初めて観たのは高校生の頃。後追いながら強烈な衝撃のようなものを受けました。同時期にブリジット・フォンテーヌの音楽から大変な衝撃と感動を抱いていたあの頃。アンナ・カリーナの真っ赤なワンピースや行動、映し出される活字や主人公の台詞、青い海と空...。知らず知らずに所謂「ヌーヴェル・ヴァーグ」と呼ばれるフランス映画を機会があれば観るという習慣になって行き、今はもう無い小さな映画館へと足を運こぶのが楽しくて。殊に古いリバイバル上映を優先していました。今のような綺麗な劇場ではなかったけれど、あの真っ暗な空間は私の居場所であるようにしっくりするのでした。最近は映画館から遠のいてしまい申し訳ないのですが、今もやはり古い映画が好きで、好きな作品は観返すことも多いです。

●追記●

 ある知人とゴダール映画のお話になり、そのお方が「きぐるいピエロ」とおっしゃった。瞬間に「今はそのように呼ぶのだな」って。でも、何だか私の好きな『気狂いピエロ』ではない気がするので、今もついつい「きちがいピエロ」と云ってしまいます。作品名としての呼名であり、その時に他意は無いのです。いつの間にか、言葉の規制も多くなりましたね。ちょっと複雑な想いですが、どなたがご覧になられるのか分からないこのようなブログ等での言葉、発言には責任を持ちながらも、柔軟かつ寛容に綴ってゆきたいと思っています。



シャルル・トレネの『ブン!(BOUM!)』が印象的なベルギー映画『トト・ザ・ヒーロー』♪

2009-12-14 | 好きな映画
★1991年のベルギー映画『トト・ザ・ヒーロー』が大好き!この映画は不思議なファンタジー映画。監督はジャコ・ヴァン・ドルマル。劇中で効果的にこの『ブン』が使われている。映画のことは『クララの森・少女愛惜』にて以前少し触れています。此方では本家のシャルル・トレネの古い映像がありましたので掲載させて頂きます。

1938年のトレネによる作詞・作曲。同年、映画『輝ける道』(ピエール・カロン監督)の中でご本人が歌われているのだそうですが未見です。"チク、タク、チク、チク”や”ピク、パク、ピク、ピク”、そして”ブ、ブン!”と僕らの心が鳴る。この擬音語と軽快なリズム、愉快な歌声が好きです。「シャンソン」にも色々な名曲が沢山ありますが、このようなファンタジックなシャンソンも魅力のひとつです。

下の動画はモノクロで美しい舞台に心が和みます。優美な時代に夢を馳せて♪


ルイーズ・ブルックス:LOUISE BROOKS ルルのボブ・スタイル

2007-09-08 | 好きな映画
1920年代から30年代。特に”サイレント映画の女優”というと思い浮かぶお方のお一人が、このルイーズ・ブルックス。『パンドラの匣』という伝説の映画を観る前に何枚かのポートレートで知った。黒髪にショート・ボブのヘアースタイルが先ず印象的だった。この当時の女性たちは断髪からファッションも大きく変わる時期で、外に向かうハツラツとした女性たちはある種の革命のように思う。日本でも昭和の初期頃にはモガ(モダン・ガール)やモボ(モダン・ボーイ)という言葉が流行したそうだし、断髪することで帽子のデザインも変わってゆく。少年ぽい女性たちというのだろうか、私の世代だと1980年代に女の子たちのボーイッシュな髪型が流行った(アレンジは多様ながら)。そういえば、私も小学生の頃、おかっぱ頭にしていた(されていたのだけれど)時期があった。大抵は母に髪を切ってもらったり梳いてもらっていた頃、なんだか懐かしい。ルイーズ・ブルックスはグラマーではなかったのも魅力。マレーネ・ディートリッヒはドイツからアメリカ映画へ。そして、ルイーズ・ブルックスはアメリカ(イギリス系のアメリカ人)からドイツ映画へ。そういう逆輸入も面白いと思う。”ルル”の魅力は当時を体験されている方々にとって、どんなに魅惑的な存在だったことだろう!と、ほとんどの出演作を知らない私は夢を馳せる☆

『クリノリン・スタイル』に魅せられて想う

2007-05-19 | 好きな映画
何が最初だろうか...クリノリン・スタイルのお衣装を知ったのは。勿論、その言葉を知るのはずっと後になってからのこと。でも、おそらく最初に”綺麗だなぁ~♪”と思ったのはヴィヴィアン・リー扮するスカーレット・オハラだと思う。あの大きく広がった長いスカート。ヴィヴィアン・リーはとてもお美しい女優さまで、この映画『風と共に去りぬ』(1939年)のお話や映像全てが素晴らしいという前提でのことながら。大好きなデボラ・カー扮するアンヌが『王様と私』(1956年)の中で身につけたお衣装やユル・ブリンナーとの舞踏シーンは圧巻の華麗さ。色彩も美しいけれど、やはりクリノリン・スタイルのスカートが強烈な印象だった。現在だと機能的ではないのでお芝居や映画などのお衣装として拝見できる位の用途だろう。色々、どうしても映画が浮かぶのだけれど、あの中はどうなっているのかな?と思ったものだ。何枚ものスカートを重ねているのだろうか?とか、色々考えてみたものだ。

エリザベス・テイラーの『愛情の花咲く樹』(1957年)の中で、クリノリンを装着するシーンがあった。私は別にファッション研究するわけでもなく、美しいと思うものに興味を抱くのみ。大した知識もないけれど、疑問が少し解けた時は嬉しい。そして、少しだけ調べてみるとこのスタイルが発達したのはヴィクトリア朝時代だった。道理で気になる訳だと一人で納得する(この時代に固執しているつもりは全くないけれど、自然と好きなものがあまりにも多数存在する時代だと気づいたのでその濃厚さをもう少し知りたいと思うだけ)。1850年代後半の画期的な異変と言われている、このクリノリンの発達。それ以前の重いペティコートを幾重も身につけることなく、簡単にスカートを広げることが可能となったのだから。馬毛(crin)を織り込んだ硬い麻布(lin)という言葉が由来。1860年代以降は形が変わって行くけれど、そのような流れは今日までの歴史の流れなのだと思うと面白い。当時のそのドームのように丸く広がった長いスカートの裾から火事や事故が続出したと言われている。その様な事態は安易に想像できる。でも、憧れる。

バブル期にぬくぬくと育った者ながら、ますます進む機能重視な現在があまり居心地が良くない。便利な時代でこうしてパソコンに向かって想いを綴ったり、漢字の変換も簡単だということも有りながら、未だにメモ帳というのかノートに書き留める癖は続く。検索をパソコンでもするけれど、辞書や古い雑誌や本の頁を捲る作業が好き。鉛筆と消しゴムも絶対に机に欠かせない。なんだか、時代に取り残されていくようだけれど、別に気にしない。元々、トレンディという言葉が好きではなかった。アンティークという言葉の方がずっと好きだった。故に流行には今も全く疎い。母の洋服箪笥のレトロなスタイルのスカート・スーツを羨ましく思ったりもした。勝手に着たりしてみたものだけれど、サイズが違ってしっくりしないので、サイズ直しをお願いして、頂いた若草色のミニのワンピース・スーツを想い出す。母は洋裁を晩年までしていたので、いつも古い足踏みミシンが鳴っていた。針仕事が長かったので40代以降は肩と腕を悪くしていたようだった。母の形見として残している針山と使いかけの糸や指貫などの道具たちは、高価なものではないけれど出来ればずっと一緒にいたい、父の愛用のハンカチや最期の年の手帳と共に。ロマンス映画が大好きだった母の面影と、私の年の重なり毎に結びつく美しい古い映画たち。ヴィヴィアン・リーやエリザベス・テイラーの美しさ、素晴らしさにようやく私の心が溶け込むように感じている...そして、まだまだ青いと我ながら苦笑する。穏やかなノスタルジー。

※5月に『ヨーロッパの憂愁庭園』に綴ったものの追記です。デボラ・カーが先月10月16日にお亡くなりになられたと知りました。気品に溢れたお美しいお方で大好きでした...ご冥福をお祈りいたします。