『ありがち日記』

恩田陸『蜜蜂と遠雷』(上・下)

 
 
私は、まだ音楽の神様に愛されているだろうか。
3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。
「芳ヶ江を制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた——。
自宅にピアノを持たない少年・風間塵16歳。
天才少女としてCDデビューもしながらも、母の突然の死去以ピアノが弾けなくなった栄伝亜夜20歳。
音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマン 高島明石28歳。
完璧な優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。
彼ら4人をはじめとする数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。
第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?

(特設サイトより引用)

文庫派なので、やっとこさ読むことができました。読む時間も含めて長かった…!気付けば、映画の公開も間近に迫り予告編ががんがん流れるじゃないですか。危ない、危ない…。私も一応、中学まではピアノとエレクトーンを習っていて(出来の悪い生徒でしたが😅 )、その後もブラスバンドや合唱など音楽の世界の端っこでひっそり生きていたような人間なので、まったく知らない世界でもないとは言いつつ、コンクールのことはさっぱり。しかしながら、自分までコンクールに参加していたかのように気持ちが盛り上がったり緊張したり、最後まで本当に楽しませていただきました。

メインとなるのはあらすじに出てくる4人。彼・彼女らの視点を通して描かれるコンクール、そして音楽の世界。めちゃくちゃ深い。コンテスタントの人生だけでも無限に世界が広がっていくというのに、深すぎて迂闊に足を踏み入れてはいけない気がしてくる。でも、喜びや幸せ、苦しみや絶望などの人間の感情、生活、自然の営み、あらゆるところに音楽が溢れていて、それを外に連れ出すとはどういうことなのか?一つのコンクールでここまでドラマチックに世界が広がっていくものなんだろうか?そんな興味もあって、どんどん深みにはまっていってしまう。

こういうのは幸せな読書体験だなぁと思いました。コンクールの結果も気になるし、彼・彼女たちがどこに到達するのかというところも気になるー!!と、どんどんページを捲っちゃうんですよね。(スピードは遅いんですけど)

4人も好きなのですけど、ステージマネージャーの方も私、お気に入りのキャラクターでした。絶対に素敵なおじさまに違いありません!(笑)

解説は恩田さんの担当編集者の方です。それを読んでさらに驚きました。構想、取材に10年以上。生みの苦しみって作家だけじゃなくて、その周りにいる方々も同じなんだと思いました。こうして本の世界で想像を膨らませて楽しませていただいて、感謝しかないなってね、思っちまいましてね、グスグス😭 直木賞&本屋大賞のW受賞納得の作品なのですが、作品ができあがる背景を少しでも知れたことも良かったです。

作品内に出てくる実際の音楽を聴きながら本を読むとより入り込めました。ポータブルスピーカーを昨年末にゲットしていたので、家で読むときはその子が大活躍してくれました!音楽配信アプリでちゃんと作品内の曲がまとめられていて気軽に聴けちゃうのが凄いなって。今の世の中って便利よねー。

映画はどんなふうに描かれているんでしょうかね。長い話をまとめているので、いろいろ映画オリジナルの部分もあるだろうとは思うのですが。楽しみです。

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