ところでのっけからナンですが、「ボンボン」とゆうお菓子のことが気になっています。
よく話には聞くけれど、具体的にどーゆうものなのか??
というのが私の中でハッキリしないのです。
それを、子どものころから今まで・・・ときどき思い出したりしながら、
ずっとン十年引きずっています。
それをまたふと思い出したのも、実はこの本を読み返していたからなのです。
「恐るべき子供たち」。ジャン・コクトー
タイトルは何やら恐ろしげですが、別にホラーな話じゃありません。
この中に、「ボンボン」。・・・ほら、出てきましたよ!どこかって?それは、ココ。
「わたしたちは、これからこの部屋に閉じこもって暮らせるのよ。
白衣の看護婦もきてくれるわ。お医者さんが請け合ってくれたの。
わたしはボンボンを買いに行くか、
貸本屋が来たときにしか外に出ないことよ」(訳:佐藤朔)
病気のため学校をやめるよう医者から宣告されたポールが、悲しみのあまり涙を流す。
それを見た姉:エリザベートが、ポールにかけた慰めの言葉。それが、コレなのです。
して。もう一つ。「ボンボン」が出てくる小説で、はずせないのが、コレです。
「椿姫」。デュマ・フイス
「きみ、そっちじゃないだろう」
「いや、ボンボンを買いに行くんだ。頼まれたんでね」
(中略)
「砂糖漬けの乾ブドウを一ポンドくれないか」
「そんなものが好きなのかい」
「ほかのボンボンは決して食べないんだ。ちゃんと分かってるんだよ。ねえ、きみ」・・・・
(訳:新庄嘉章)
これは主人公の青年アルマンと友人との会話。
ある日彼らが二人で出掛けた芝居で、椿姫(マルグリット)に偶然出くわした。
アルマンがかねてから憧れを寄せていたマルグリットにいよいよ紹介してもらうべく、
友人と一緒に彼女の待つ桟敷へと馳せ参じる場面・・・・
この「ねえ、きみ」に続いて友人は世間知らずのアルマンに、
これから紹介してやるマルグリットがどういう類の女なのかを得得と説明してやるのです。
見かけは貴婦人のようだが、所詮は男に囲われている高級娼婦にすぎないということ。
それなりの扱いで十分な女なのだということを。
ボンボン。どんなお菓子なんでしょね。エリザベートが、マルグリットが愛したこのお菓子は。
エリザベートは自ら買いに走り、マルグリットは男に買いに行かせる。
二人がそれほど好んだ、このお菓子は。
ウィキペディアによると要するにキャンディ状の菓子の総称らしい・・・けど、
ねぇどうざんしょ?
ボンボンを入れる容器というのが特別にあって、その「ボンボニエール」は
皇族の婚礼の引き出物になっているのは有名な話。
そこからもナントナク、特別なお菓子って、そんなカンジがする。
高貴な優雅なお菓子って・・・そんなふうに考えてみたくありません?
例えば生活のためにあくせく働く必要のない選ばれた人たち・・・
庇護者(パトロン)のもとにぬくぬくと暮らす子供たちや高貴な身分の女性たちが、
退屈を慰めるためにつまむ、優雅な特別なお菓子・・・。
「キャンディ菓子の総称」などという味もそっけもない意味付けよりも、私はそっちの方が好き。
大富豪の老人に囲われているマルグリットはもちろんのこと、
「恐るべき子供たち」のエリザベートもポールも、
生活の苦労とはまるで縁のない子らであった。
庇護者である親を亡くし、その生活の面倒はだれが見ていたのか・・・
その記述さえほとんどないまま、繰り返される子供たちの果てしのない「夢幻遊び」。
「恐るべき子供たち」とは、そういった不思議な話なのです。
それは・・・そうね、次に譲るとして。
そのボンボンを「買いに行く」という言葉は、おのずと特別な意味を持つ。
フランス語に同じ決まり文句があるのかどうかは知らないけれど。
気ままな優雅なお散歩。そういった意味もアリなんじゃないかな。
本当にボンボンを買うかはおいといて、とくに目的もない優雅な時間つぶし。
ちょっとした気分転換。みたいな意味かしら。っっていうか、そういう意味を込めて。(笑)
今度のブログはこのタイトルにしましたぁ。(ちゃんちゃん)