最近ネカフェがすっかり気に入ってしまって、
あちこち行っている。
でも、なかにはがっかりする店もあって、
ああいうところって当たり外れが結構あるね。
どうせ料金は似たようなもんなんだから、
お気に入りの店を探して楽しみたいですね
ネカフェで見ていた映画が、これです。
たぶん小説でも読んだと思うんだよね。
でも、あまり覚えていなかった。
映像化はこれまでたくさんされていますよね。
🌟🌟🌟
しかし、これこそアレよなぁ。
狭い世界の中でくっついただの、離れただのの、
近親結婚の物語よ。
前に書いた、源氏物語を思い出してしまった。
🌟🌟🌟
源氏物語にせよ、嵐が丘にせよ、今よりずっと世界が狭かった頃の話。
やむをえないでしょう。
🌟🌟🌟
この「嵐が丘」は、ご近所同士。
アーンショー家とリントン家をめぐる物語。
すべては、アーンショー家にヒースクリフが拾われてきたときから始まる。
肌の黒い、子鬼のような小僧。
彼が外見からして異質なのは一目瞭然なのだ。
🌟🌟🌟
ヒースクリフはとにかくいじめまくられる。
アーンショー家の主人が生きていたころはまだよかったが、
キャサリンを除いては、誰も味方してくれる人はいない。
🌟🌟🌟
親なし子とさげすまれ、ジプシーといじめられ、
キャサリンとの間をあの手この手で引き裂かれようとする。
しかし、いじめられればいじめられるだけ、キャサリンとの絆は強まるのだ。
(わかりますね~このあたりは)
🌟🌟🌟
誰よりも魂の結びついていた二人。
しかし所詮は身分違い。キャサリンはリントン家のエドガーと結婚し、
ヒースクリフはいたたまれなくなって嵐が丘を去るのだった。
🌟🌟🌟
ここからヒースクリフの復讐劇は始まる。
嵐が丘に戻ってきた彼は、
その愛と憎しみで、すべての人間を不幸にしていく。
キャサリンへの思慕と、自分を蔑んだ人間に対する憎しみ。
これがものすごい両極端なのだ。
🌟🌟🌟
いや、なんというか、
ここまでくれば、これは表裏一体の感情という気がしてくる。
キャサリンへの思慕といったけど、それだって、
自分を振ってエドガーと結婚してしまった彼女に対する憎悪も含まれている。
🌟🌟🌟
しかし、なんというかなぁ。
それでも絶ちがたく結ばれている二人なのだ。
愛と憎しみは表裏一体なんですね。
🌟🌟🌟
キャサリン亡き後も、アーンショー家とリントン家に対する
ヒースクリフの復讐は続くが、
その言動は、さらに常軌を逸していったように思われる。
キャサリンの墓を掘り返したりね(むっちゃホラー)。
🌟🌟🌟
昔の明るくくつろいだ雰囲気はどこへやら、
いまや荒野に打ち捨てられた墓場のような、
暗く冷たいアーンショー家。
その嵐が丘の屋敷で、ヒースクリフは、
ひたすらキャサリンがやってくるのを待っている。
🌟🌟🌟
そして、嵐の日。
訪れたキャサリンの亡霊とともに、
待ちかねたように、ヒースクリフもこの世を去るのでした。
🌟🌟🌟
改めていうけど、すべてがご近所を舞台にした物語。
その狭い世界に繰り広げられる愛憎劇が、とにかくすごい。
ドロドロに濃すぎて、ハンパないのです。
🌟🌟🌟
これが、もっと広い世界を舞台にした話ならば・・・
ほかに結びつく相手はいくらでもいる。
なにも好き好んで、近所同士、いとこ同士でくっつかなくたって。
しかもそろいもそろって不幸な結婚ときている。
ここまで狭い世界の人間関係に執着しなくたって・・・・と思うのですが。
🌟🌟🌟
この物語を生み出した、エミリー・ブロンテは、
29才でこの世を去っています。
小説はこの一作だけを残して。
ブロンテ姉妹を描いた作品。なかなかよかった。リアリティーあります。
生涯独身。
残された記録を見ても、親しくつきあっていた男性はなかったようです。
気性が激しく、人付き合いが苦手で、引きこもりがち。
唯一心を通わせる、肉親(シャーロット、アンなど)にさえ、
秘密にしていたことも多かったようですね。
🌟🌟🌟
「嵐が丘」のヒースクリフは、ほかでもない。
恋愛経験もないまま、はかなく世を去った、
エミリーの想像から生まれた人物なのでした。
しかし、なんと強烈な男性でしょう。
🌟🌟🌟
世の中の規範に収まりきらない、荒々しく悪魔的で、狂気じみた男。
彼と結びついたキャサリンも、一言では表しきれない。
死の間際まで、ヒースクリフとの魂の絆を感じ続けていた。
なんという女性でしょう。
🌟🌟🌟
愛とは、憎しみと表裏一体。
道徳云々、世の中の決まりごとなどとは、正反対のところにあるものだと。
🌟🌟🌟
あの時代の、片田舎で、短い生涯を終えた処女。
エミリー・ブロンテは、たった20代にしてそれを知っていた。
そしてあの物語を書き得たのです。
🌟🌟🌟
そして、狭い世界の中で繰り広げられた話なのに、
なぜかとてつもなくスケールが大きい。
そう感じてしまうのは、不思議です。