ところで「あさきゆめみし」を最初に読んだときから思ってた。
どうして女三の宮の目には☆が無いのか・・・
そのせいで、この人の顔は他の登場人物の中でも奇異なカンジを受ける。
ちょっと変わってる。
どこかを見てるんだろうに、どこを見てるのかよくわからない。
表情に乏しく、何を考えてるのかよくわからない・・・。
「目は心の窓」?だっけ。そう言うじゃん。目って人の感情が一番よく表れる部分。
表情の豊かな人は、目がくるくる動いてむっちゃわかりやすい。
隠しだてができない、感情がすぐ表に出るタイプ。
こういう人はまちがいなく目の表情が豊かなのでアールよ。
マンガにおける目の☆って、実はそういう効果を生み出していたのね。
キラキラしてキレイって、だたそんだけじゃないんやで。目に生気を与える。
よく「目が輝いてる」って言うけれど、そういうときの人の表情は間違いなくイキイキしている。
逆に、「目が死んでる」イコール生気のない顔。
生きてるのか死んでるのかわからないような、感情が表に現れない顔・・・・・
女三の宮は、実はこういうタイプの人であった。
いつもぼんやりしていて何を考えているのかわからない。
いくつになってもまるで赤ん坊のように頼りない。
いつもおっとりと構え、まわりのなすがままになっている。
意志も無く感情にも乏しい、まるで人形のような人である。
女三の宮について描かれている部分を読むにつけ、なんと不思議な人やと私は思う。
これを読む人は、きっと誰もがうすうす気づいてる。ちょっと普通じゃない、この人はって。
人間らしい知性のきらめきや、感情のうねり。そういうものとはまるで無縁なんやからね。
これを、甘やかされて育った姫宮の幼さ・世間知らずと、果たして片づけられるものか・・・
そう、女三の宮は単純に知恵遅れだった。私はそう思うのなぁ。
皇女ならみんなそうかというと決してそんなことはなくて、例えば同じ皇女でも、
源氏の初恋の人:藤壺は、またとないほど才気にあふれた人物であった。
少なくとも紫式部はそう書いている。
そして三の宮のことは、「おつむが足りない」とは決して書かず、
ただ「幼稚な」「おっとりとした」「頼りない」と控えめに表現しているだけだが、
読む人が読めばハッキリとわかる。そういうふうに書かれておるらしいで。
(実は受け売り(笑))
「あさきゆめみし」の中では、三の宮は柏木によって真実の愛に目覚め、
女として成長を遂げる。これがMAXドラマチックに描かれておるのやけど、
私はこの姫宮がここまで自覚的であったかちょっとギモンを持っている。
出産直後の出家も、偽りの愛しか与えてくれなかった源氏を恨んだ面当て・・・
みたいなカンジに描かれているけれど、そこまで意図してたものやろうか・・・。
とにかく私には、「恨み」だの「面当て」だの、そういうドロドロした強烈な感情や
仕打ちは女三の宮には似合わない。そんな気がする。
三の宮はもっと違う気持で出家したんやないかなぁ。
柏木との密通がバレて以来目に見えて冷たくなった源氏からは遠ざかりたい一心
だったろうし、産みたくないのに産んだわが子に対する執着もさらさら無かったと思う。
こうなれば、自ら望んだわけでもない婚姻や親子関係などきれいさっぱり清算して、
愛する父院と同じ仏の道に入るのがもっとも自然な欲求だったのでは・・・
要は、女三の宮は自分にとってより楽な道を無自覚に、本能的に選んだだけであって、
源氏を苦しめてやろうなどとはつゆほども考えてなかったと思う。
おつむの足りない人というのは、往々にして悪気の無い人であるからにして。
しかし、源氏にとってこの最後に迎えた妻:女三の宮が巻き起こした一連の事件は、
途方もない痛手となって残った。
しばしば人は、悪人からの意図的な裏切りよりも、
善人からの無自覚な裏切りの方に、より深く傷つく。
浅はかで幼稚な人柄として軽んじていた妻から受けた、この上もない恥。
天下の光源氏のプライドはズタズタである。
そして、父と同じく不義の子を胸に抱かざるをえなかった因果応報の苦い思い・・・・
んなぁ??
源氏物語は、光源氏というスーパー美男子の華麗なる女性遍歴だけの
物語じゃぁないのだ。
人妻や熟女、ありとあらゆる女をものにして調子こいていた若き皇子が、
老境に入って、まるで自分の娘ほどの年の女から手痛いしっぺ返しを食らう。
ありがちなぁ、ありがちなぁ。今の世にも。(笑)
そしてかの時代のスーパー美男子も、忍び寄る老いには勝てんやった。
そして身分も容貌も才能も、ありとあらゆる最高の徳を備えて生まれてきた源氏であるけれど、
人生よいことばかりではない。よきことがあれば同じくらいに悪しきことも起こって、
それが人生さ♪ みたいな、、、やぁ言葉はむちゃくちゃ軽いけど、この深みがあるからこそ
源氏物語は名作たりえてるんでざんすねぇ。(*´ェ`*)
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