前回紹介した高木先生のソリッドカップが発表されたのは1977年ですが、その数年前からボールとコーンの中身が詰まってしまうという考えはあったようです。しかし、高木先生の影響は大きく、Tommy Wonder氏(トミー・ワンダー氏)が高木先生の手順に触発され同年「開いてない缶」を使った手順を「Tommy Wonder Entertains」で発表しています。残念ながらこのトミー・ワンダー氏のCups&Ball作品集を私は読んだことが無いので、実際のところはわからないのですが、缶を使った手順は"Canned Craziness"という作品のようです。マジシャンShuta Takada氏の旧ブログに詳細があります(Canned Craziness by Tommy Wonder<旧ブログより>|Shuta Takada|HLAB, Inc. COO・マジシャン|note)
このトミー・ワンダー氏の、高木先生のようないわゆるカップをソリッドにしたのではなく、まだ、空けていない缶を使ってカップ&ボール(というかチョップカップというか)を行い、実はまだ開いていないんだ!というクライマックスは、同時期にポールハリス氏も考え付いたようで1978年の「Las Vegas Close-up」の中で「Uncanny」というタイトルで発表されています。これは、映像で見ることができます。ご興味ある方はスターオブマジックのポールハリスの2枚組の2巻をご覧ください。
その後、マイケル・アマ―氏もこの缶を使ったソリッドカップについて1983年に「Encore 3」で独自の手順を発表しています。この映像も見ることができます。Magic of Michael Ammar(Early Ammar)の#2にあります。タイトルは「Beanie Weenie」です。
正直なところ、ポールハリスに比べてやはりアマ―氏の方がパフォーマンスは上です。うまいです!上記DVDの紹介映像の後半に少し入っていますので、まだ見たことが無い方は是非見てください。
最後に紹介するのは日本を代表するマジシャン前田知洋氏の手順です。前田氏の素晴らしいのは、導入ですね。子供のころ、立派なカップを買うことができず、缶とスーパーボールとスプーンで見様見真似でやってました。という入りがとてもすてきだと思いました。前田氏の手順は、テレビでも放送されてまし、ナポリニコフの魔術学校というDVDの中で演じられてますので興味がある人はご覧ください。ブログでこのDVDが紹介されている記事を見つけましたので、示します。
私は写真のようにカレーの缶を使っています。前田さんが使っているような大きなスーパーボールはなかなか手に入らなかったのでカレーとかけてジャガイモを出したりします。前田さんのように缶に仕込みを入れ毎回開けるというのはちょっと難しいので、空いていないところを見せて終わるアマ―氏の手順を真似て一時期やっていました。
実はこの手順をしようとしたとき、困った事があります。この手順ではカップに蓋が必要なんです。カップの蓋を開けたら玉が出てくるという見せ方を何度かします。しかし、意外と蓋のある缶詰、しかもその蓋には開けやすいようにつかむところがある缶というのが、当時(私がこの手順をしていた15年~20年くらい前)はなかなか見つかりませんでした…。そこで、写真にありますように、緑茶の蓋を使っていました。でもやはりつかむところが無いと開けづらい…もし、最適なキャップ付きの缶をご存知な方がいらっしゃいましたら是非教えて欲しいです…