「 ヴォイスコンサルタント 林重光 のブログ 」

声・話す・読む・歌うことの悩みを解決するヴォイスコンサルティング MAKE UP VOICE 代表。ヴオイストレーナー。

『息を入れた時に胸郭を上げ、胸の高さをつくり、発声時にも胸の高さを維持する』危険。

2014年10月11日 | 更新記事
『息を入れた時に胸郭を上げ、胸の高さをつくり、発声時にも胸の高さを維持する』という発声身体法があります。
声楽発声で使用することが多いかなと思います。
この発声身体法を使うと、声は安安定しやすく、音の高低操作もしやすいというメリットがあります。
デメリットは何か。
声色を変えにくくなること。
体力がないと維持できないこと。
僕はこの発声身体法をクライアントに使用するかは、その方の体の状態、声の状態を分析してから決めます。
確かに声は安定しやすいのですが、上記した体力消耗が大きい。
かえって声が不安定になることが多いのです。
立位時に頭が前に出ている姿勢の方には効果があります。
立位時に頭が前に出ていない姿勢の方には効果があまりありません。
歌のジャンルにも関係します。
声楽、ロックには適します。
その他はあまり適しません。
ジャンルによって表現が違いますから、求める声の質も変わります。
身体の状態、声の状態、体力、ジャンルといった面を捉えた上で、使用するかしないかを判断します。
使用して良くなったとしても、一過性の場合が多いので、ある程度の期間観察が必要です。
そうしなければ、声は固い声になり、修正が難しくなるからです。

『 音痴は才能豊か 』

2014年10月10日 | 更新記事
~ 音痴は才能豊か ~
『 絶対音感 』という言葉を聞いたことがありますか?
絶対音感は、例えばカラスの鳴き声を聞いて、ピアノで音が取れる。
世の中に存在する音が全て、音階でわかるのが、絶対音感です。
絶対音感を持つ人は、音楽の才能があると言われることがありますが、あまり関係ありません。
音がわかることは入力であり、演奏することは出力ですから、入力と出力が比例するとは限らないからです。
哺乳類は絶対音感を持つと言われています。
つまり、犬も猫も持っている。
人も赤ん坊の時は皆、持っています。
それが成長とともに失われていく。
なぜかというと、言葉の獲得が影響していると思います。
絶対音感があると、言葉を使う上で不利になりるからです。
絶対音感があると、『 おはよう 』という言葉が同じに聞こえなくなってしまう。
絶対音感は、音感が絶対なんです。
音感が言葉よりも優先されるということです。
ですから、お父さんとお母さんがいう『 おはよう 』が、違う言葉に聞こえてしまう。
音楽でも同じことで、『故郷』の曲を弾く場合、キーを変えて演奏すると、違う曲を引いていると思ってしまう。
これが絶対音感です。
現代社会は言葉ありきの社会。
ですから、絶対音感があると生活しにくくなります。
ですから、その対極にある『音痴』は、言葉を使う上では優れているのです。
音痴は人間の進化によるものなのですね。
現代社会に適応しやすい。
10年ほど前、絶対音感を身につけるという本がベストセラーになりました。
何事にも言えることだと思いますが、利害関係があります。
絶対音感についての僕の回答は、『 絶対音感があることは、日常生活が大変になることだよ。あっても音楽の才能とは比例しないよ 』ということになります。