ペンネーム牧村蘇芳のブログ

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蟲毒の饗宴 第5話(3)

2025-02-19 20:25:39 | 小説「魔術ファミリーシリーズ」ウェストブルッグ2<蟲毒の饗宴>
 地下迷宮Bブロック。
 錆びた扉を開き、未踏のエリアが姿を見せた時、
 ミウはすぐに探査魔法を解除した。
 どんな魔物が潜んでいるか分からない。
 地下1階だからといって、Aブロックと同じ魔物が出るとは限らない。
 ここは慎重に行く。
 すると、すぐ隣に似たような扉があった。
 こちらは先ほどのように錆びていない。
 しかし、
「ダメだ、鍵が掛かっている。
 ピッキングでの開錠も難しい。」
「鍵を探す必要があるか。
 まずはこのフロアを探索しよう。」
 外周の廊下を歩いてみると、
 Aブロックの地下1階とほぼ同じ広さである事が分かった。
 部屋の扉を開けても、出現する魔物の種類に変化も無い。
「構造はAブロックと似ているな。」
「深さ的には地下1.5階といった感じか。
 あとは中央の部屋を残すのみだ。」
「なあ、なんか中央の部屋、ずいぶん大きいんじゃないか?」
「マップ描いてるけど間違いない。
 かなり大きい部屋よ。」
 その部屋の扉に来ると、皆呼吸を落ち着かせた。
 間違いない。
 ここだけ、今までの魔物とは違う何かがいる。
「いくぞ。」
 勢いよく扉を開けて中に入ると、キラーラットの群れが見える。
 その奥には巨大な肉の塊が。
 それがぐるりと振り向き、顔を見せた。
 鼠だ・・・たぶん。
「・・・カバよりデカイんじゃねえのか。」
「噂話は普通、尾びれ背びれが付いて誇張されてるものだが・・・。
 これに限っては大人しめだ。」
 キイーッ!とデブな鼠が甲高い声をあげると、
 鼠たちが一斉に襲い掛かってきた。
 そこにミウがファイアーボール(火球)の魔法をぶつける。
 ミリアは、攻撃魔法を強化させる魔法をミウに合わせた。
 一撃必殺!
 これで鼠どもは、ほぼ全て焼死。
 しかし、デブ鼠は生きていた。
 巨漢を活かし、カイルたちに猛然と突進する。
 だが、その程度で臆することはない。
 シーマとラナは、弓で前足を狙って射た。
 突進が鈍ったところに、カイルとゴッセンが太い首を斬る。
「フン!」
「おりゃあ!」
 気合い一閃。
 鈍い音を立ててデブ鼠の首が床に落ちる。
 先制で戦闘をクリアした。
「よし、この首と図体を解体して持って帰ろう。
 冒険者ギルドに報告だ。」
「鍵は見当たらなかったな。」
 そう話していると、デブ鼠が突進してきたせいで舞っていた
 土煙が落ち着き、部屋の奥に宝箱があるのが見えた。
「おい、チェスト(宝箱)だ!」
「・・・さっきまでは見当たらなかった。
 ここのボスを倒すと現れる仕組みか?」
 シーマが近付き、慎重に罠を調べてピッキングする。
 カチッと音がして、無事に開錠出来た。
 中には古い金貨が約1000枚と、鍵が入っていた。
 これで、あの扉を開けられる。
「どうする?
 Bブロックの地下2階に進むか?」
「いや、まずはデブ鼠と古い金貨を持ち帰って換金だ。
 それから昼食をとって、午後イチに地下2階を探索しよう。」
「そうだな、それがいい。」
 しかし、カイルは1つ気になっていた。
 都市伝説通りに出現したデブ鼠・・・。

 あの話は、いったい誰が流したものなんだ?
コメント
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