晩秋から冬休みにかけて、
すごい進化 - 「一見すると不合理」の謎を解く(中公新書) 著者:鈴木紀之 (2017)
を読みましたので、触発されて、本ブログを執筆しています。ツマグロヒョウモンの雌の模様が有毒のカバマダラやスジグロカバマダラを擬態(ベーツ型擬態)しているという話が有名ですが、その擬態がどれほど効果があるのか?本当に間違うほど似ているのか?と言われると、蝶屋的には「???」でしたが、この不完全に「似る」ということが重要なようで、本種では検証されていないものの、類似例として、アリグモの例が紹介されていました。
この例のアリグモは、アリ好きからもクモ好きからも捕食されずらいという傾向が実験で確かめられたとのこと。
ツマグロヒョウモンの模様が、スジグロカバマダラともカバマダラとも似ているような似ていないような感じに仕上がっているのは、どちらかの分布と重なっていれば効果発動の可能性があるということで、あえてそうなったのではないか?とのことです。なるほどーの話でした。
というわけで、当方が撮影した画像で3種を比べてみようかと思います。
左から、カバマダラ[1]、スジグロカバマダラ[2]、ツマグロヒョウモン[3]
[1] 2016.6.20 沖縄
[2] 2019.11.5 石垣島
[3] 2020.10.3 東京都
自分が認識していた以上に前翅先端部の黒い部分が3種でよく似ていることに気づきました。それ以外の部分は、縞々か無地+少斑点か、点々模様で3種3様ですが、大雑把には「似てる」と言ってよい感じですね。
3種の分布ですが、日本国内だと
スジグロ:八重山メイン、迷蝶として関東まで
カバ:南西諸島全体メイン、迷蝶として関東まで
ツマグロ:八重山から関東まで定着
と考えると、まあまあ理にかなっています。
当方もカバマダラは迷蝶として横浜で撮影したことがありますので、それを食べてまずいと思った関東の鳥さんは、ツマグロヒョウモンを避けた時期があったかもしれませんね。
ただ、謎なのは、なぜツマグロヒョウモンの雌だけがその擬態を進化させたのか???
そうそう、当方未見のメスアカムラサキも雌だけカバマダラにそっくりだったりします。子孫を残す雌だけ進化する、、、というのも興味深いです。擬態4兄弟を早く撮影コンプリートしたいです!
その他、蝶では、ウラナミジャノメの化数の話、ゼフィルスの食樹の話、昆虫類では、ナナフシの無性生殖の話、クリサキテントウのニッチに追いやられて進化した話など面白い研究事例が沢山でした。あと、カナダのヘンドリー博士の娘さんがワイナリーでみつけたイトヨ(魚)を見て発見したことに関して、娘共著で論文を書いた話が好きでした。お薦めです!
関連ブログ:虫にかかわる読書レビュー:どくとるマンボウ昆虫記
最新の画像もっと見る
最近の「雑記」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事