「アラビアのロレンス」が破壊した鉄道跡を辿りながらシリアからヨルダンへ、イスタンブールからイラク国境までのトルコ横断1800キロ、そして紛争の傷跡が今も生々しく残るレバノンへ。現在に続く動乱の原点を探りながら、中東に生きる人々の声と思いを綴る、シリーズ後編。
第5集 望郷の鉄路
第6集 トルコ横断1800キロ
最終集 祈り響く道
ソ連崩壊後の新国家誕生によってナショナリズムが勃興する中央アジア、民族紛争の炎が消えないコーカサス、石油がもたらす莫大な富をめぐる争いが繰りひろげられるアラビア半島。かつての文明の交差路で、いま何が起こっているのか。大型紀行番組の舞台裏を伝える、迫真のルポルタージュ。シリーズ後編。
ヒジャーズ鉄道
「スタン」・・・「~人の国」「~人の土地」の意
イラクは第一次世界大戦まではイスタンブールに首都を置くオスマン帝国の支配下にあった。
そしてイラクは、
北部のモスル;クルド人
中部のバクダッド;スンニー派アラブ人
南部のバスラ;シーア派アラブ人
を中心とする3つの行政区に分割されていた。
さて、大戦後にイギリスとフランスは、敗戦国オスマン帝国からアラブ人の住む地域を奪い取った。そしてイラクはイギリスの委任統治領となった。こうして元来まとまりの薄かった3つの行政区をつなぎ合わせて、イラクという国をイギリスがデッチあげた。
イラクの人工性というのは、その国境線によく反映されている。
シリアやヨルダンとの国境は定規でひいたように真っ直ぐである。
サウド家;サウジアラビアを建国
イラクが建国されると、すぐにクルド人は立ち上がった。
イギリス空軍がイラクに派遣され、無防備のクルド人を毒ガスで爆撃した。
20世紀末にサダム・フセインが真似ることになる戦術である。