
街から山に行き、山から街に帰る―。入山時の心配、不安、期待、憧れは、下山後には高揚した疲労感と安堵感を伴って酒の味を美味しくさせる。山への飽くなき憧憬と、町田の酒場で抱く日々の感慨。その間を振り子のように行き来する哀愁画伯は、今日も山で過ごした忘れがたい記憶をたどり、抒情を綴る。約70点のイラストと長年の登山経験に基づく実になるコラムを収録。熾火のような熱い気持ちが胸に沸く、珠玉のエッセイ集。
街から山へ(峠のカレー
真鶴半島へ
丹沢山塊
南アルプス南部の山
真夏の急登 ほか)
ゆれる丘(波うつ大地
イルカ丘陵の出発
夢のホテル暮らし
あこがれの別荘
家を造るなら ほか)
幸せに生きることは幸せな死に方を見つけることだ。
神はその人に見合った生涯しか与えてくれない。
妻は茶室のような三畳くらいのチマチマした部屋がたくさんある家が理想らしい。
壁を多くして閉じることで思慮ぶかい教養が生まれ、耐熱性も高まり冬も暖かいという。
理想は刑務所のような三畳の部屋なのだそうだ。