合鍵を持つ男(4)

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　　　　　　　　　　　　　　　合鍵を持つ男　(4)

　　　

　　　　　　携帯を忘れたチェリーは何も知らずに部屋のドアを

　　　　　　　　　　　　　　　　　『カチャッ』

　　テーブルの上にあった携帯をバックに入れて仕事に向かった

　　　　　　合鍵を持つ男はチェリーの足音も聞き分ける程だ

　　　　男は、開けっ放しにしているクローゼットの中に隠れてた

開けっ放しにしている事で中が丸見えというチェリーの概念を手玉にとってるのだ

　　　　　　　　　そんな事など、まるで頭にないチェリー

あまりに無防備なチェリーに合鍵を持つ男は、いささか腹が立った

　　　　　　　　　　　　　　身勝手な苛立ち

深夜、チェリーは酔って帰宅、先輩キャバ嬢の嫌がらせに気持ちも沈んでた

　　　　　泣きたい気持ちを堪えきれずに１人、声を殺して泣いた

　　　　　　　　　　　　　　そのまま朝を迎えた

　　　　　　　　　　　　　　　　『ピンポーン』

　　　　　　　　　玄関のチャイムで目を覚ましたチェリー

　　　　　　　　　　　　　　　　『宅配で～す』

目を真っ赤に腫らしたチェリーは顔を隠すように宅配された荷物を受け取った

　　　　　　　　　　　　『印鑑をお願いしたいんですが』

　　　　　　　　　　　　　『あっ、ちょっと待って下さい』

　印鑑を持って玄関に行くと宅配の荷物だけが置いてある

　　　　　　　　　　『宅配のお兄さんは急いでいたのかな？』

　　玄関を少しだけ開けて外の様子を伺ったが誰もいなかった

　　　　　　　　　　　　　荷物の差出人の名前を見た

　　　　　　　　　　　　　　　知らない名前だった

　　　　　　　　　　　　しかし、受取人はチェリー本人だ

　　　　　　　　　　　　　　　取りあえず中を開けた

　　　　チェリーが前から欲しいと思っていたバックが入っている

　　　　　　　　　　　　　　　　　　『あの人だ』

　　　　何か欲しいものは無いかと聞いていたお客さんがいたからだ

　　　　酔いも手伝ってビィトンのバックが欲しいと言った事があった

　　　　　　　　　

　　　　　　　　『今度、飲みに来てくれたら御礼しなくっちゃ～』

　　　　　　　　　　　　先輩キャバ嬢の虐めなど吹っ飛んだ

　　　　　私だって、プレゼントしてくれるお客さんがいるんだから

　　　　　宅配で届いたビィトンのバックを飽きもせず眺めてる

　　　　　　　　　　キャバ嬢になって一番、嬉しい日だった

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　そして事件は起こった

　　　　　　　　　　　バックが届いてから一週間目だった

先輩キャバ嬢もチェリーの一生懸命に屈服したのか悪戯も減り意地悪も少なくなった、珍しく、お客さんにアフターの食事に誘われたチェリー

　　　　先輩キャバ嬢の数人とのアフターだったし気軽にOKした。

　　　　　　　食事に誘ってくれたのは常連の河合さん

　　　　　　　30代で会社経営の独身、おまけにイケメンだ

　　　　　　　殆ど毎日のように、お店に通っては豪遊する

　　　　　　　チェリーにとって雲の上のような男性だった

　　　その雲のようなイケメン社長が、チェリーも一緒にどう？

煌びやかなキャバ嬢を引き連れて歩く河合は運転手付きの外車で移動する

　　　　　　　　運転手が車のドアを開け、そして閉める

　　　　　　　そんな車はタクシー以外に乗った事はない・・・・

　　　　　　　　　　　　　　　　まして、外車だ　

　　　その日のアフターは先輩キャバ嬢と朝まで飲んで騒いだ

　　　　　　　　　　　　　　帰宅したのは朝だった

　　　　　　　　　　　　瞼が重くて早くベットに入りたい

　　　　玄関のドアを開け、千鳥足でベットに向かい

　　　　　　　　　　　転がるようにベットに横になった

　　　　　　　　そのまま夕方まで爆睡してしまったチェリー

　　今、何時だろう？ようやく目を覚ましたが、まだボンヤリとした状態

　　　このまま、ずっと眠っていたい二日酔いだろうか頭痛もする

　　　　　　　　　　　シャワーでも浴びてスッキリするか～

　　　　　　　　　　　　薄暗くなった部屋の電気を点けた

　　　　　　　　『ギャアアアアァァァアアアア』

　　　　　今まで寝ていたベットの枕元に数匹のゴキブリの死骸

　　　　　それも5㌢以上はあるだろう、大きいゴキブリの死骸だ

　　　　　良く見ると部屋のあっちこっちにゴキブリの死骸がある　　

　　　　　　　　　チェリーは恐る恐るベット布団をめくった

　　　　　　　　　布団の下には無数のゴキブリの死骸が

　　　　　　　　　　　　まるで敷いてあるかのように

　　　　　　　　　　　　中には動いているゴキブリも

　　　　　　たまたまチェリーは布団の中に入らず寝てしまった

　合鍵を持つ男はゴキブリに埋もれて眠るチェリーを想像していた

　　　　　　　　　　　　　　　が、失敗だった

　　ここで、やっと事の重大さを知ってチェリーは警察に通報した

　　　　　　　　　　　　駆けつけた警察官の１人は

　　　　　　　　　　『これ・・・初めてじゃないでしょ？』

　　　　　　　　『あっ・・・・前にクローゼットの中に・・・・・』

　　　チェリーは警察官にクローゼットの出来事を話した

　　『多分ですがこの部屋には、しょっちゅう出入りしてますよ』

　　　　　　　　　　　『合鍵を持ってるって事ですか？』

『鍵を持ってますね、ガラスを割って入った形跡もないし鍵をこじ開けた様子もありません』

　　　　　　　　　『じゃあ私は、どうしたらいいんですか？』

　　　　『今すぐ鍵屋さんを呼んで取り替えるしかないでしょうね』

　　チェリーは警察官に言われた通りに鍵屋を呼んで取り替えた

　　　　　　　　　　　打つ手は、それしかないのだ

盗まれた物もない悪質な悪戯と不法侵入と言う名ばかりの被害届

　　それでも鍵を取り替えたという安堵感で普通の生活に戻った

　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　しかし、鍵を取り替えた3日後

　　　その男は再びチェリーの部屋に合鍵でドアを開け入った

　　　　　　　　　　　　誰かが入った・・・・・・・・。

　　　　　チェリーは鍵は取り替えたが用心していた

誰かが入ったらチェリーだけが分かるようにドアに細工したのだ

　　　　　　　　何故？どうやって？合鍵を？

　　　　　　　　　　いったい誰が・・・・・・・・・。

　　　　　　　　　　　　　　　何の為に

　　　チェリーは出掛けた振りをして自分の部屋を見張った

　　　　　　　チェリーが目撃する意外な人物とは？

　

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      　　　　　　　早く犯人を捕まえてよ～                                                                                     

　　　　　　　　　　　　　         

        　　　　　　　　　

     　人の部屋に無断で入るようなヤツは不細工だべさ