*:・'゜☆。.:*:・'゜★゜'・:*:.。.:*:・'゜:*
合鍵を持つ男(最終回)
その男は、堂々と合鍵で部屋のドアを開けた
堂々とドアを開けた割りに用心深く部屋を見渡す
カメラに写っている男は、意外に小心者って感じの仕草だった
『こいつがチェリーのストーカーだったのか?』
奥谷も絶句
それもそのはず、自分達が働く店の店長だった
店長ならば、キャバ嬢のロッカールームは自由に出入り出来る
仕事中にバックの中の鍵を持ち出し合鍵を作るなんて朝飯前だ
合鍵を持つ男、店長は1人暮らしのキャバ嬢の部屋の鍵を作っては、チェリーだけじゃなく何人もの部屋に出入りしていたのだ
営業中に店内で店長を見た事がなかったと奥谷は振り返る
事務所で仕事をしているものだとばかり思っていた
カメラに気付かず、チェリーのベットで眠る店長の姿
チェリーはゴキブリより気持ちが悪いと思った
少しの仮眠をとった店長
暫くして起きた店長は次の行動移る
ショックだ
チェリーの使っている歯ブラシで歯を磨く
チェリーは込み上げる吐き気に耐えられなくなりキッチンで吐いた
知らなかったとは言え、店長が自分の歯ブラシで歯を磨き
洗ってあるグラスの飲み口部分を舐めた
そして箸を口に入れて飴のように舐めている
そこまで凄い
そこまで見て限界だった
店長の唾液が付いた歯ブラシにグラスに箸
毎日、使ってる物だ
奥谷は一緒に警察に付いて行くと言ったが逆恨みされるのは自分だけで良い
チェリーは警察署にカメラを持って行った
カメラに写った店長を警察官は現行犯として逮捕した
『何事もなかったように店に出て仕事をしてて下さい張り込みして確実に逮捕します。』
張り込みした当日の逮捕だ
チェリーは1人暮らしの怖さと人は見かけによらぬものだと痛感した
店長は出所後、どこかのキャバクラの店長をしていると噂がある
今では使い捨ての歯ブラシ以外は使えないチェリー
思うより心の傷は深いのだ
犯人は店長だと見破った人は凄い