エドルネ日記

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「水塚の文化誌 志木市・室岡 荒川下流域の水とくらす知恵」

2012-07-23 | 地図・地形

きょうは、志木市・室岡の水塚群の調査の報告書

「水塚の文化誌」についてのご紹介です。

みなさん、水塚をご存知ですか?

私は2007年川サミットで氷川神社について調べているとき

水塚というものをはじめて知りました。

調査書では、水塚を「みづか」とよんで、

「屋敷内の一部を土盛りで一段高くしてその上に

建物をたて、米・味噌・寝具などの生活必需品を

保管して洪水に備え、また増水した水が引くまで

しばらく生活できるようにもなっている、いわば

水防施設」ととらえています。

約4平方km弱の志木市室岡地区に48基の水塚が現存しており 

251ページにわたる報告書では、水塚の一基一基の

調査に加え、沖積平野に位置して、古くから洪水に

なやまされてきた村の歴史、堤などび治水遺構など

地域の治水の歴史がわかるようになっています。

 今回の調査ですが、NPO法人エコシティ志木

財団法人埼玉県生態系保護協会志木支部が共同で立ち上げた

「志木まるごと博物館 河童のつづら」プロジェクトが

主体となり、2009年から2年をかけ行われたものです。

志木まるごと博物館 河童のつづら」とは、

地域全体を博物館ととらえ、地域資産を現地で保全・

活用し、まちづくりに寄与しようという、プロジェクトと呼ぶ

性格の活動のことだそうです。一般的にはエコミュージアムと

よばれ、1960年代後半フランスで提唱されたものとのこと。

今回のプロジェクトでは、水塚調査員のボランティア公募を行い、

本来のボランティアスタッフだけではなく、外からの風を

いれて、相乗効果でよい結果に結びつける狙いがあったということです。

水塚調査は、水塚の向きや地理状況などの記載もあり

聞き取り調査の内容も非常に興味深いものでした。

なかでも上室岡の

「明治43年の水害時は近所の人も避難、出産があった」

の項は、水害避難時の出産、誕生のシーンを想像すると

壮絶で感動的です。

これなどは、きっと代々伝えられるエピソードのひとつでは?と

思うのですが、最近は水防の関心が薄れ、水塚への必要性を

意識することが少なくなり伝承機能も減少しているということです。

そういう意味でも、今回の調査は素晴らしいものだと思います。

調査書には、インタビューの様子や水塚の前で

調査員と家主の記念写真などもあり、この調査自体が地域の歴史の

1ページなのだと実感できる構成になっています。

これらの記録は、今の志木市の人たちはもちろんのこと、

未来の人たちに、感謝されることでしょう。

毛利さんから送っていただいた調査書を前に、

ただただ素晴らしいと感動しています。

水防についての考え方の変化にも考えさせられました。

今後の取り組みとしての水塚の文化の継承、記憶の継承と

いう言葉が琴線にふれ

歴史をふりかえり、未来へつないでいくとはどういうことなのか?

なんてことを考えさせられました。

 

http://goo.gl/maps/r5fd 志木市室岡周辺の神社マップ

http://goo.gl/maps/y3PG 志木市室岡周辺の今昔マップ(今昔マップ2使用)

 

すばらしい報告書を前に、少し私も調べてみたくなりました。

川と人との歴史、治水の考え方、治水だけじゃなく自然とどう向き合って

いくのか?といったことも考えなければいけない転換点です。

・・ということで、私なりに以前の研究をもとに調べてみようかな。 

 

関連ブログ:

志木市水塚の調査がはじまる!惣囲堤と水塚にみる先人の知恵(2009-07-05  ) 

志木市と富士見市の境界のうねうねがスゴイ!(2009-07-07 ) 


 

水塚の文化誌―志木市・宗岡荒川下流域の水とくらす知恵
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