母の誕生日
近くなると

毎年「敬老パス更新問題」が
恒例になっている
3年前
更新のお手紙をもらう前に
敬老パスがなくなったと
母が騒ぎ始めた
電車🚎に置いてきただの
外出先に置いてきただの
覚えてもいないことを
あーだこーだと
自分なりに思い付いた事を
言っていたが
最後には
電車🚎に忘れてきて
誰かが盗んでいったんだと
勝手なストーリーが出来上がっていた
名前の入っている敬老パスを
盗んで悪用するような
アホな人がいるだろうか?
電車🚎に忘れたなら
駅に届けられてるだろうから
電話して聞いてみることにした
「お届けはありません」と
まだ母の説明を半分は信じていた頃
「じゃあ再発行したら?」
と言うと
母は一人で再発行してもらいに行った

仮の敬老パスをもらってきて
1~2週間たった頃
仮でもらった敬老パスがないと
騒ぎ出した

一応探しに実家に行ったがその時は
仮のカードは見つからなかった
代わりに
再発行する前の
電車🚎で失くしたと言っていた
敬老パスが出てきた
イラッときたが
再発行しちゃったから仕方ない
もう使えないこと説明しても
忘れちゃうかもしれないから
私が預かっておくことにした
「まあ仮なんだし再発行された
本カードが届けば要らなくなるもの
なんだからいいんじゃない?
そろそろ本カード届く頃だから
問題ないでしょ?」
と言っておいた
しかし❗

そのすぐあとに
鍵がないと騒ぎ出した

頻繁にあれないこれないと騒がれて
ちょっとうんざりし始めていたが
仕方なく
実家に探しに行った

母がしまいそうな場所を捜索すると
すぐに出てきたのは
仮の敬老パス
そのすぐ下に
切り刻まれた再発行の敬老パス

あまりの光景に
思わず立ち尽くした
これが認知症なのかと
初めて実感した出来事だった
今は少し防衛策をとりつつ
対処できるようにはなってきたが
3年前より
私が母との時間を取れなくなってきて
更新を代わりにやってあげられる時間が
とれない

9月8日から
更新できるようになったが
その頃から
「どうやって更新すればいいのか?」
と言うことを
何度もうちに来て
同じことを訴えるので
更新の仕方を
更新のお知らせの封筒に書いて返した

自分で更新に行ったようだが
駅員さんにここではできないと言われ
自動機でやってくださいと言われたから
自分ではわからず
更新せずに帰ってきたらしい
どこまでが事実かわからないけど
駅員さんも自動機の使い方までは
教えてくれないんだなぁと
ちょっと残念な気持ちになった

「まだ期限までは時間があるから
私が行けるときに
一緒に行ってやってあげるから
そのままにしておいて」
と言って納得させた

落ち着くかと思いきや
「更新のお知らせを失くした」
「敬老パスを失くした」
を毎日のように繰り返した

3年前の悪夢が
繰り返されるのかと
ちょっと怯えている
