母の忘れもの

軽度認知障害になった母の記録

Kさんの息子さんと会った

2023-10-17 12:01:20 | 日記
Kさんの旦那さん(以下おじさん)

がいる施設に

面会(という名目の見学)に行った次の週

息子さんがご実家に帰省するから

会いませんかと言ってくれたので

父と母も連れて

Kさんのおうちにお邪魔しに行った

Kさんのおうちに着くまで

母は何度も

「おじさんのところに行くの?」(違う)

「退院したの?」(おじさんはいない)

「Kちゃんは元気だよね?」(んなわけない)

と聞いてきた

()はその度に父と私が言ったこと

かなり混乱しているようだった

Kさんのおうちに着くと

久しぶりにKさんの御仏壇に

手を合わせた

御仏壇の前に座ったとたん

母は涙を流した

なのにその後リビングで

息子さんと話しているときに

「Kちゃんは生きているよね?」

と言い出す

Kさんの息子さんも

おじさんに良く似てきて

母の中で息子さんがおじさんに

見えて

おじさんに話しているような発言が

度々あった

まだKさんが生きていて

そこのおじいさんも生きていた時間に

母はタイムスリップしたようだ

息子さんからおじさんの話を

いろいろ聞いた

施設入所までの1年ほどは

かなり大変だったようだ

排泄の失敗も去ることながら

足腰が丈夫なので

自転車で高速入り口まで侵入して

警察から連絡が入ったり

デイサービスに行ってる間に

空き巣に入られたようだが

認知症のおじさんは気づけず

デイサービスの送迎の人から

息子さんに連絡が入り

週末に息子さんが帰省して確認して

警察に通報するまで

ガラスは割れたままだったらしい

そしてなにより

おじさんは食事に困っていたらしい

毎日デイサービスに行き

昼ごはんはデイサービスで

食べさせてもらい

帰りに夜ごはん用に

お弁当を持たせてもらうのだが

デイサービスがお休みだと

前日に2日分のお弁当を渡されて

それを一晩で食べてしまうので

次の日の分がない

もう自炊も出来ず

買いに行くという発想もない

家の中の食べられるものを探し

塩をなめてやり過ごすこともあったようだ

ある時はお米がわからなくなり

ざらめを炊飯器に入れて炊いたことも

あったらしい

それを聞いておじさんは

施設に入って本当に良かったと思った

一人でお腹をすかせて

不安だったと思う

今施設で穏やかに暮らせている事

改めて良かったと思う

帰るとき

御仏壇に手を合わせた母は

また泣いていた







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