水を恵んでください

　黄昏時の商店街。
　湿気があって空気が重い。
　目指す店はずっと先です。
　クルマ1台が通れるだけの車道は、昼間は歩行者専用になっていますが、とても真ん中を歩く気になれません。
　歩道の端を、店から流れてくるエアコンの冷気を受けながら、なんとか頑張って歩きます。
　遠くに霧のように見えるのは、あれはミストです。
　車道の上の方に、噴霧器を設置しているようです。
　あそこまで行けば、いくらか涼しいはず。
　でも一気に行けません。
　ドラッグストアに入って休んで、文房具屋に入って休んで。
　少しずつ進みます。
　ミストはこのあたりだったような気がするけれど。
　ところが、前にも後ろにもミストが見当たりません。
　消えた。
　1メートルほど後ろ、通りに置いてある四角い箱は何だ？
　見上げると噴霧器です。
　18時、歩行者天国解除とともに、ミストも終了。