7月13日(火)
天塩川リバーサイドキャンプ場(連泊)

今朝も太陽熱にあぶられ、午前6時には起床。
アフリカツインのライダーと四国出身のライダーはテントを撤収して、8時前後にはキャンプ場を出発する。残ったわれわれHさん、Mさんの3人は連泊の予定。午後4時には再びキャンプ場に集合する約束をして、午前9時前後にはそれぞれ出発。ここのサイトには屋根つきの炊事場が設けてあるので、昨夜、バーベキューをやろうなどと話が盛り上がったのだ。出先で、目についた安い素材を各自購入しようということになる。2人とも北方向にいくようだが、自分は南に進路をとる。
天塩川リバーサイドキャンプ場(連泊)

今朝も太陽熱にあぶられ、午前6時には起床。
アフリカツインのライダーと四国出身のライダーはテントを撤収して、8時前後にはキャンプ場を出発する。残ったわれわれHさん、Mさんの3人は連泊の予定。午後4時には再びキャンプ場に集合する約束をして、午前9時前後にはそれぞれ出発。ここのサイトには屋根つきの炊事場が設けてあるので、昨夜、バーベキューをやろうなどと話が盛り上がったのだ。出先で、目についた安い素材を各自購入しようということになる。2人とも北方向にいくようだが、自分は南に進路をとる。
まず、10キロほど南下して美深森林公園キャンプ場にいってみる。去年食べ損ねたチョウザメ定食でも食べようかと寄ってみたが、レストランは11時開店とのこと。今年も食べ損ねるだろうなという予感がする。キャンプサイトには結構バイクも停まっているが、キャンピングカーも多い。やはり、ここは人気のキャンプ場のようだ。去年、ここで連泊したのがなつかしい。あの牛に蹴られた広島の女性ライダー、今ごろどうしているのだろうか。
しょうがないので、地元の牛乳でも飲もうかと美深駅までいくが、なんと駅の売店は閉鎖になっている。今年の4月1日をもって閉店云々とシャッターに張り紙。去年もここでトイレなど借りしたので、なんとなく寂しい。自販機で売っているコーヒー牛乳など飲みながら、構内のベンチで一休み。駅に備えつけてある本棚の本をぱらぱら。
おお。
去年、ツーリングしたときからずっと気になっていた木の名前が載っているではないか。遠くからでも全体が銀色にひらひら輝くように見え、ときおり、バイクを停めてしげしげと見入ったりしていたあの木だ。葉の裏にニコゲが密集しているようで、陽の加減で銀白色にきらきら光る。植物の名前をけっこう知っているK代ちゃんに訊いても、正確な名前までは知らなかった。
ウラジロハコヤナギ。
別名、ギンドロともいうそうだ。原産は中央アジア。
そうだったのかと、ちょっと嬉しくなる。他にも、北海道の地名の由来なども載っている。
知床→シリ・エ・トク。アイヌ語で大地の突端の意味。
根室→ニ・ム・オロ。流木のつまるところ。
札幌→サッ・ト・ポロ。乾いた広いところ。
さらにナイ・ベツは、どちらも川を意味するとある。そういわれてみれば、ナイ・ベツのつく地名は多い。思いつくままでも、ワッカナイ、シベツ、ナカシベツ、ハマトンベツ、ホロカナイ、オサツナイ、サラベツ、ホンベツ、モンベツ、ユウベツ、イワナイ、キコナイ、いやあ、あるある。地図をだして探せばまだかなりありそうだ。そういえば、アイヌの地名から、近くに温泉があるかどうかもわかると山荘で聞いたのだった。
去年、ツーリングしたときからずっと気になっていた木の名前が載っているではないか。遠くからでも全体が銀色にひらひら輝くように見え、ときおり、バイクを停めてしげしげと見入ったりしていたあの木だ。葉の裏にニコゲが密集しているようで、陽の加減で銀白色にきらきら光る。植物の名前をけっこう知っているK代ちゃんに訊いても、正確な名前までは知らなかった。
ウラジロハコヤナギ。
別名、ギンドロともいうそうだ。原産は中央アジア。
そうだったのかと、ちょっと嬉しくなる。他にも、北海道の地名の由来なども載っている。
知床→シリ・エ・トク。アイヌ語で大地の突端の意味。
根室→ニ・ム・オロ。流木のつまるところ。
札幌→サッ・ト・ポロ。乾いた広いところ。
さらにナイ・ベツは、どちらも川を意味するとある。そういわれてみれば、ナイ・ベツのつく地名は多い。思いつくままでも、ワッカナイ、シベツ、ナカシベツ、ハマトンベツ、ホロカナイ、オサツナイ、サラベツ、ホンベツ、モンベツ、ユウベツ、イワナイ、キコナイ、いやあ、あるある。地図をだして探せばまだかなりありそうだ。そういえば、アイヌの地名から、近くに温泉があるかどうかもわかると山荘で聞いたのだった。
近くのコンビニで牛丼、茹でタマゴなど買って、美深峠の東屋で食事。それにしても暑い。バイクを下りたとたんに、地面からむうっと気温が立ち上がってくるようで、汗がどっと吹きだしてくる。休息しているものなど他にだれもいない。鳥のさえずりと、虫の羽音がかすかに聞こえる。飯を押しこむようにして食う。東屋の日陰からなるべく外にでたくないので、横になってしばし休憩。バイクがときおりビーンと走り抜けていく。
昔、日本の最低気温を記録したことがあるという母子里にいっても、気温は相変わらずだ。冬の雪に閉ざされた様を想像しようとするが、どうしても暑さがじゃまをする。ここが酷寒の地とはなあ、などと冷たい清涼飲料水をばかばか飲みながら集落をぼんやり見渡す。数年前に廃線になった「深名線」の跡でもないかと、朱鞠内湖の北側を走ってみるが、線路はもっと湖側だったのか、その形跡を見ることはできない。10キロほど走るが、民家がないのと、行き止まりになっているせいで、車とは1台とも出会わない。スピードをだそうと思えばいくらでもだせそうな道だ。
再び、母子里の集落に戻り、北母子里駅跡にいってみる。細い道の先には、景色に埋もれたようなプラットホームがあるばかりで、駅舎など、とうに取り壊されている。プラットホームに立ってみると線路が取り外されているのがはっきりわかり、軌道は数百メートルもいかないうちに、草草の中に消え去っている。去年、廃校になった夕張の小学校にいったときと同じ感覚がぼんやりよみがえってくる。
感傷に浸り、出発。
朱鞠内湖を見下ろすPAでしばし休憩。気軽にしゃべりかけてくる大阪のライダーもベンチで休息している。2ヶ月ほどのんびり北海道を回る予定だという。昨日まで呼人でずうっと飲み続け、騒ぎすぎで、今日は休肝日だとか言っている。バイクのナンバーは8471(はよない)と覚えやすい。地元の老人もきたので、朱鞠内湖のことをきくと、このあたりは5月くらいまで雪に覆われているそうで、雪解けがはじまると湖面の水面がぐっと上がる話などを聞く。1944年に完成し、当時は人工湖としては最大の規模だったという。ん? ツーリングマップルには、今も日本最大の人造湖とある。どういうことだろうか。ちょっとした間違いか。この湖を西から回りこむように走っていたのが深名線だ。
朱鞠内湖キャンプ場にいってみるが、1張りか2張りほどしかない。なかなかいいところのようだが、キャンパーは少ないようだ。
ついでだからと、朱鞠内駅跡にもいってみる。駅舎がしっかり残っていて、荒れ果てている様子はない。どうやら今でもちゃんと管理されているようだ。駅前にはバス停も健在。そうか。駅舎はバスの停留所として第二の人生を歩いているようだ。駅舎内では、表に停めてあるトラックの運転手らしい人たちが2名ほどベンチで昼寝中。壁には廃線になると決まってからの駅長の談話が載っている新聞記事や、駅前の名物商店の記事などが張ってある。近くにはこの地に魅せられ、脱サラしてやってきて民宿を経営している人もいるらしい。らくがき帳も置いてあり、ぱらぱらめくってみると、朱鞠内駅はローカル線マニア(廃線マニア?)には結構人気があるようだ。しばらくすると、ホウキを持ったおばちゃんが駅舎の掃除にくる。
「バイクかね」
「はい」
「走ると、涼しそうだね」
などと会話。
この暑さでみんな家に引っこんでいるのか、道路を歩いている人なぞ1人も見かけなかったので、元気なおばちゃんに会うとなにやらほっとする。どのくらい前に深名線が廃線になったのか訊いたりしたあと、くそ暑い中、新聞記事にもあった駅前の「大西じっちゃんの店」にいってみる。ちなみに深名線は、1995年に廃止されたようだ。
通りの向こうに1軒しかない雑貨屋の看板には、にこにこ笑っているじいちゃんのイラストが描いてあり、この人が「大西じっちゃん」だなとすぐにわかる。とにかく暑いので、店前に設置してある自販機で冷たいお茶を買い、店にはいってみる。
「ごめんください」
しーん。
薄暗い店に、お客はだれもいない。
店の中には、所狭しと雑多なものが置いてある。もう一度、声をかけると、横の部屋で昼寝中だったじっちゃんがどっこらしょとソファから起きあがってきた。70歳前後だろうか。イラストそのまんま、人のよさそうなじっちゃんだ。この人を慕って廃線マニアがやってくるというのも頷ける。
自分のば祖母も鹿児島の片田舎で、集落に一軒しかない雑貨屋を女手ひとつで何十年も切り盛りしていたので、こういう店を見るとつい「がんばってんね、じいちゃん」と言いたくなる。
「炭、ありますか?」
町のホームセンターで買ったほうが安いかもしれないが、今日はここで買いたい。
「あそこ」
じっちゃんが指さした場所には、袋入りの炭が積み重ねてある。かなりでかい袋にはいっているのもあるが、3キロ入り680円のものをもらう。大きさは10キロ入りの米袋ほどもあるのでシートにくくりつけ、「あんちゃん、暑いね」というじいちゃんに見送られつつ、朱鞠内をあとにする。
158号を士別に下り、「羊と雲の丘」などという羊を飼っている牧場に寄り(期待はずれ)、足寄のホームセンターではテント用の防水スプレーを購入。さらに国道40号を北上していると、ちょっとした坂道の頂上に露天の野菜売りの店があり、15センチはあろうかというでかいピーマン3個100円ものを6個ゲット。ついでにピンポン玉からソフトボール大のものまで7~8個はいったトマトも300円でゲット。
午後4時ジャストにキャンプ場に帰着。
調理師の免許を持っているという某広告代理店に勤務しているX4のライダー、猿払でホタテの加工場までいって12枚入りの天然ホタテを買ってきたそうだ。840円は安いが、バイクにもジャケットにもホタテの汁が流れ出て大変だったようだ。この時期、天然ホタテのワタには毒があると加工場の人に言われたらしい。そういえば、焼尻で買ったホタテはワタが除去してあったっけ。養殖ものは大丈夫らしいのだが……。ま、調理師の免許をもっているので、ホタテの調理は彼におまかせだ。
横浜・バリオスのライダーも1人加わって、4人で買い出しにいく。農協系の小さなスーパーにいき、焼き肉(600グラム入り)2袋、ヤキトリ(生10本入り)2袋、シイタケ、ヤキソバ用ソバ(2玉)。個人用に隣の全日食店で、ビール4本、ワイン1本、氷などを買う。
今夜はこの4人で夕食かなと思っていたら、結局、総勢9人に膨れ上がる。ヤキソバを焼くために金網の上に敷くアルミホイルを買い忘れ、駐車場でこれから買い出しにいくカップルのライダーに頼むと、快くOK。ついでに宴会もOK。2人ともセローに乗って仲良さそうなので、最初から2人旅かなと思ったが、どうやらこのツーリング中に知り合ったらしい。サイトのど真ん中で、お互いの出入り口を向けあってテントを張っている。むふふ、という感じだ。バイクは京都と鹿児島ナンバー。
時間を合わせているわけではないが、露天風呂ではみんな一緒になり、しばし懇談入浴。風呂から上がると、声がちょっと嘉門達夫風の調理師、Mさんがホタテを刺身に料理してくれる。ヒモもちゃんと調理してくれるのは、さすがに調理師の免許をもっているだけある。彼がこの宴会のリーダーのような存在になり、あとからみんなにリーダーMさん、などと呼ばれる。バリオスのライダー、Y倉クンが調理補助をしてくれる。彼はボクサーの辰吉丈一郎にちょっと似ている。昔、バリバリのヤンキーやっていたのかなあという雰囲気がないでもない。残りは炭熾しに奮闘。煉瓦を積むのに、ああでもないこうでもないと、結構、みんな楽しんでいる。
「女房より料理うまいです」
と言って、ヤキトリなど焼いてくれたのは露天風呂で一緒になったCB750の足立区のライダー、YぱぱことHさん。彼は自分のホームページをもっているとかで、デジカメで宴会風景をぱちぱち撮る。(――後日、彼はホームページにこのときの模様を4~5枚ほど載せることになる。
他に名古屋からきているサンダーエースの痩身ライダー、T仲さん。
それにもう1人、チャリで北海道を廻っている茨城のチャリダー、I沢さんも誘う。27歳の彼はアルバイトをやりながら、このまま北海道の冬を越すらしい。来年、いつ帰るのかも決まっていないのんびり旅だ。なんだか顔つきまでにこやかだ。
それにもう1人、チャリで北海道を廻っている茨城のチャリダー、I沢さんも誘う。27歳の彼はアルバイトをやりながら、このまま北海道の冬を越すらしい。来年、いつ帰るのかも決まっていないのんびり旅だ。なんだか顔つきまでにこやかだ。
利尻富士に2人で登ってきたというペアライダーは、最初は一緒に横に並んでいたのだが、いつのまにか鹿児島ライダーのSクンが、自分の隣に移動してくる。彼の住んでいるところは、すぐ下の弟の嫁の実家の隣町だと判明する。
「わたし、いくつに見えますかあ?」
と、ちょっと酔ってきた京都の彼女がみんなにそう訊いている。
「28くらいでしょう」
と、自分。
「いや、さすがやわあ。わかりますう」
さすがというのは、どうやら自分がこの集団の中では一番年齢がいっているかららしい。
「今年30なんですよぉ」
と、ケラケラ笑っている。
「へえ。彼はいくつなの」
自然と話はそっちに向かう。
わしの横にいた角クンがぼそり。
「22……」
一瞬、場がしーんとしたあと、
「22かあ」
とか、
「へええ」
とかいう反応がさざ波のように広がる。
ビールをぎゅうっと飲み干すものもいる。
「若いなあ」
「でも彼女、30には見えないよなあ」
とか言っていると、
「だまされた」
とSクンがみんなには聞こえないくらいの声でまたぼそり。
みんなが彼女とまたまたわやわやはじめると、「ホントは35……」などと、静かなる攻撃をくわえている。酔いが回るにつれ、彼は1人2人と間をおきながら、じょじょに彼女から距離を置いていく。
自分はワインもビールも飲みつくし、Mさんからラム酒をもらう。まあ、んなかんだで11時過ぎにはお開きとなる。

天塩川リバーサイドキャンプ場

キャンプ場の東屋。
ライダー、チャリダー同士で、わやわややる。