バイク・キャンプ・ツーリング

NERIMA爺、遅咲きバイクで人生救われる

1998年8月3日 北海道ツーリング 37日目

2025年02月28日 | 1998年 北海道ツーリング
8月3日(月)  夕張・石炭の歴史村キャンプ場(連泊)

 7時起床。このごろは7時起床に落ち着いてしまったようだ。霧雨。連泊決定。バイクで動く気なし。
 昼までずっとテントの中で、ジョン・ダニング「幻の特装本」を読む。面白い。雨は小雨模様。隣にテントを張っていたオフ車の大学生は、雨の中、テント撤収。札幌で友だちと待ち合わせをしているという。午後は、キャンプ場のトイレにあるコンセントを借りて、本を読みながら携帯電話を充電。昼はインスタントラーメン。みそ汁。夕方、6時くらいに雨の中、バイクで買い物。閉まりかけていた肉屋で味付けマトン(ジンギスカン)、酒屋で缶ビール3本。左隣にいた夫婦キャンパーもテント撤収したので、サイトが広く感じられる。ビール飲んで、早々と寝る。


1998年8月2日 北海道ツーリング 36日目

2025年02月27日 | 1998年 北海道ツーリング
8月2日(日)  夕張・石炭の歴史村キャンプ場(連泊)


 7時起床。今日も連泊予定。
 石狩町の石狩川河口にあるという廃船を見にいくが、どこにもそんなところはない。地元の人に訊いてみると、もうすべて撤去したという。今はきれいに整備されているらしい。ちょっとがっかり。近くに海水浴場があり、駐車場はどこも満杯。それでも車がやってくる。車、車、車の中をやってきたというのに。また車の洪水の中を引き返す。海水浴場が近いからだろうか、はやくも上半身裸で運転しているライダーもいる。でも、いくらなんでも裸で運転するのはあんまりだろう。危険きわまりない。

「サーモン・ファクトリー」というサケを売り物にしている施設があったので寄ってみる。巨大な道の駅といった感じで2階にはレストランもある。
 いかにも手で握りました、というでかいオニギリを1階店内で売っている。かなりうまそうだ。定食よりはこっちだな。2個もあれば十分だろうと、タラコとミックス(すじこ・シャケ)をもらう。各250円。注文してから、ちゃんとノリで巻いてくれる。外にも野外売り場が設けてある。目の前で焼いてくれるホタテ2ヶ、250円も買って、テント下のテーブルで食事。オニギリはタラコもミックスも具がいっぱいで、これで250円は安いだろう。なんとなく嬉しい。

 そこからの帰りのこと。たぶん札幌大橋だろう。橋を中央までくると突然、ヘルメットにカン、カン、カンとなにかがぶつかる音がする。ジャケットにもボコ、ボコと当たってくる。なんだ、なんだと焦っていると、ヘルメットシールドに、透明な液が流れてくる。戦争映画で、爆撃機が戦闘機の銃弾に被弾したとき、カンカンカンと乾いた音をたてるがそのまんまだ。ピンポン玉くらいの黒っぽい物体が浮遊している中を、しばし走る。時間にすると10秒もなかっただろうが。
 ようやく、余裕ができて、ジャケットの胸のあたりに目をやると、ハチが1匹張りついている。どうやら、ミツバチの大群の中に突っこんでしまったようだ。しかも、腹1杯に蜜を吸っていたようで、シールドにべったりと付いている。咄嗟のことだったが、すべてのハチがほぼまるまると太っていた印象があり、重くなった体重がメットに当たってあんな音がしたようだ。幸いにも、刺された箇所はどこもない。

 2時前には夕張に帰り着き、ユウパロ温泉(600円)にいく。人気があるのか、かなり混んでいる。もちろん、サウナに露天風呂あり。2時間ほどうだうだする。風呂の帰りに缶ビール3本、パン3ヶ、それにチーズ購入。5時前後から、ぱらぱらと雨が降り始める。テントの中で夕食。


1998年8月1日 北海道ツーリング 35日目

2025年02月26日 | 1998年 北海道ツーリング
8月1日(土)  夕張・石炭の歴史村キャンプ場(連泊)


 7時には起床。今日から8月だ。もう1ヶ月北海道にいる計算だ。
 9時ほどからのんびりとシュウパロ湖のある夕張の裏側を流す。三夕トンネルを過ぎると数キロでダート。そこで引き返す。行き交う車もなく、静かすぎる自然の中を走る。夕張川に沿って、シュウパロ湖近くまで戻ってくる。集落はほとんど空き家だ。地図には鹿島小・中とあるが、どうやらそこも廃校になっているようだ。

 バイクで校門から中にはいり、正面玄関前までいってみる。広いグランドは荒れ果てて、草ぼうぼう。3階建ての鉄筋校舎には「思い出をありがとう」と垂れ幕が掛けられている。まだ新しいようで、廃校になって、それほど年月はたっていないようだ。大きな体育館もしんとして、風の音が微かに聞こえる。こんな場面だと映画ではよく、子供たちが歓声をあげて校庭を走り回る音が、だぶって聞こえたりするものだ。ためしに、じいっと耳を澄ましてみるが、当然ながらなにも聞こえない。ただ想像はできる。校庭を走り回る児童の姿。自分の小学校時代がオーバーラップして、ちょっとセンチメンタルに浸る。

 道と平行に走っていた線路も廃線になって、南部という集落では廃車になった客車が4、5両、錆びついたまま放置してある。夕張岳の近くまでいってみようと、林道を3、4キロ入ってみる。妙にトンボが多い。徐々に道が荒れてきて引き返すが、トンボが一匹右ミラーに掴まったまま、走り出しても離れようとしない。必死で掴まっていて、20キロくらい一緒に走る。センチメンタル気分が抜けていないのか、まるでそれが誰かの分身のように思えてくる。数年前に死んだ身内のものじゃないかとか……。

 夕張の町に戻り、市街地を見下ろすような高台にある石切夕張神社の200段ほどの階段を上る。景色はいいが、疲れる。以前は階段と並行してミニケーブルカーが動いていたようだが、今はケーブルも錆びて、向かい合いになっている色褪せたシートの上ではネコがのんびり寝ている。

 12時前後からキャンプ場の前にある「石炭の歴史村」内にある博物館を見学する。入館料800円也。敷地内には石炭の原料となったメタセコイアなどが植えてある。この植物は生きている化石植物といわれ、1時期、もう絶滅していたと思われていたらしいが、50年ほど前に中国で再発見されたという。アメリカで育てられた苗を日本に移植して広まったらしい。地下千メートルまで下りるというエレベーターの設定。実際は地下3階くらいのものだが、そんな遊び心もあり意外に面白い。入り口でヘルメットにヘッドランプなどを渡される。キャンプするにはちょっと重すぎるかなと思いながら、かぽんと被り、中を見学。恐ろしいような掘削機も当時のままに動いている。佐渡の金山跡よりは面白いかもしれない。昔使われていた坑道にも入ることができ、これが一番面白い。上の博物館では、炭坑夫たちの間に「友子」というきびしい上下関係の制度があるのも、はじめて知る。パーク内のテラスハウスでカレーライス。

 キャンプ場近くからの細い道を進み、保育園の裏から小川を遡る。博物館にあった空撮写真によると、でかいボタ山は、山を越えた池のそばにあるらしい。だが、山を越える前の小川沿いにもボタ山らしきものがある。木々が生い茂り、よく見ないとそれとはわからないが。山の麓を流れる川横に縦坑が残っている。ちょっと覗いてみると、途中に蓋がしてある。どこまでも深い底なしの穴のようだ。

 川沿いに沿って引き返していると、乾いた河床にあちらこちらに石炭が剥き出しになっている。昔は露天掘りをやっていたというから、こんなものを採っていたのだろう。クズの石炭だとは思うが、中には漆黒の輝きをもったものもある。手にもってみると、意外にも軽い。3、4個よさそうなのを持ち帰る。
 カメラのフィルムがないので、メープルロッジという温泉施設ある道を回って岩見沢市までいこうと思ったが、途中で気が変わり、栗山町の栗山温泉にはいる。500円。サウナ付き(しかも中にはテレビまで備えつけてある)、露天風呂もあり、なかなかいい。近くに「坂本九・思い出記念館」というのがある。この町の出身なんだろうか。夜はインスタントスパゲティ。缶ビール3本にプチトマト。
 

夕張キャンプ場。
去年かおととし、訪ねたときにはもう閉鎖されていた。


1998年7月31日 北海道ツーリング 34日目

2025年02月25日 | 1998年 北海道ツーリング
7月31日(金)糠平キャンプ場~帯広(ぱんちょう)~夕張・石炭の歴史村キャンプ場




 5時半起床。
 そろそろ南に向かおうかと、9時半前後からテント撤収。Hという平塚市からきているセローの常連キャンパーとちょっとしゃべる。毎年、ここにきているという。9月には関東でキャンプ会をするかもしれないというので住所を教える。

 10時には出発。11時開店の帯広「ばんちょう」に開店時間直前に到着。店前にバイクがズラーッと並んでいる。どうやら今日は開いているようだ。一般客に混じって大勢のライダーが店の前に並んでいる。開店と同時に座る席を非常に細かく指示される。意外に狭い店内だ。2人連れの客はここではテーブルに対面では座れない。横に並んで座るようにと、すでに座った客にもわざわざ指示している。
「向かい合って座ると、その横にもお客さんがこられるから、食べ終わったあとで、外に出にくいでしょう」と、いうことらしい。
 細かい。ここまでやるか。ここまで効率重視の店は始めてだ。

 なんか、落ち着いて食べられそうにない。
 どうやって回転率をあげるか、店主も大変なのはわかるけどなあ。客は楽しみより、食べる機械と化す。1100円のぶた丼(梅)、ワカメみそ汁(180円・これはちと高いか)を注文。采配を振るっているオカミさんは、言葉もやさしく、にこやかな笑顔ながらも、「食べさせてやっているんだから」と目で言っている。早く食ったら、さっさと店を出ていってねという雰囲気が確かにある。食べ終わるまではお客さんだけどね、とも。で、出されたぶた丼は、うまい! というほどじゃない。たぶん炭火焼き、甘辛い照り焼きだが、こんなんで、ここまでの値段かという感じだ。原価いくらだよ。「タレがよそとはまったく違う」とキャンプ場で断言したライダーがいたが、そこまでじゃないだろう。煮きった酒と醤油味のタレ、砂糖とダシ。タレが甘すぎる。

 羅臼の定食屋とか、知り合いにここだけは絶対に連れていきたいという店――自分1人でもぜひ再訪したいという店がいくつかあったが、ここはダメだ。お勧めはできない。味は当然だけど、来てもらった客に、おいしく食べてもらいたいという心意気が伝わってこない。もう一度、ここで食べたいとは思わない。名物という名前だけが、一人歩きしてしまった店だろう。
 さて、今夜はどこにテントを張ろうかと地図を見ながら思案する。
 夕張にいくことにする。日勝峠から西かう274号はトラックばかり。競争するように走り、ぜんぜん楽しくない。峠は濃霧。映画「幸せの黄色いハンカチ」のセットが残っている場所を見学などして、4時には夕張の「石炭の歴史村キャンプ場」(無料)にテントを張る。段々になった高台にあり、芝生もきれいに刈られていて清潔でなかなかいい。

 あとで知ったことだが、この下には今も縦横無尽に石炭採掘用のトンネルが走っているという。町もこれまで見てきた北海道の町並とはどこか違う。採掘者の住んでいた長屋が点在して、目的不明の鉄管が道沿いにどこまでも長く伸びていたりする。緑に覆われたボタ山とおぼしき小山が、ふいに目に飛びこんでくる。夜は500ミリ缶ビール3本、味付けジンギスカン。隣にテントを張っている夫婦者が風呂かどこかにいっているすきに、キツネがやってきて、テント前に置いてあったゴミ袋や食べ物の袋を引っぱり出し、そこら中にまき散らす。止める間もないほど素早い。
 夜は早々と寝る。午前2時前後に目が覚めてトイレ。


1998年7月30日 北海道ツーリング 33日目

2025年02月24日 | 1998年 北海道ツーリング
7月30日(木)  糠平キャンプ場連泊


 

   7時には起床。
 昨日は、寝しなにだれかがものすごいイビキをかいていたと外でしゃべっている。どうもこっち方面(自分のテント方面を指している)が怪しいと、みんなでワヤワヤ言っている。すいませーん。もちろん、それは自分以外にありえない。酔って、横になったらすぐに意識がなくなると、親しい友人からはワザと言われている。ただの睡眠時無呼吸症候群の予備軍だ。
「いやあ、なんか昨夜はうるさかったすねえ」
 と、早速、自分も外に出て、適当にごまかす。犯人はダレだというタダならぬ雰囲気が漂っている。オレでした。すみませんとは言えない。顔が引きつる。どっちみち、連泊するつもりだから明日の朝にはばれるだろう。もう流れでそう言うしかない。明日まで延命策だ。
 焚き火をしていた場所で、三々五々、朝食をしに集まってくる。ZRX1100のライダーはグリコ・ジャイアント・コーンを「これが朝食」と言って、うまそうにパリパリ囓っている。彼は昨夜、酒もしこたま飲んでいたようだが……。う~ん。いろんなやつがいて面白いなあ。 

 10時には十勝三股の永久凍土のガレ場に出発。昨日見た喫茶店のような店は「三股山荘」というらしい。そこでもう1度、詳しい場所を訊く。5、6キロほど山の中にいく狭い林道の終点がガレ場らしい。そのまま、ガレ場に向かう。そのあたりにヒグマが出没したという話を聞いていたので、ときおりクラクションを鳴らしたり、エンジンの空ぶかしをする。行き交う車やバイクは1台もない。もし、クマに出会ったらUターンするのも難儀な林道だ。

 ガレ場はそれこそ、エンジンを切るとシーンとしている場所だ。小川のせせらぎが微かに聞こえる。ここから先の道は背の高さほどのクマ笹(チシマザサか?)に覆われた藪になっていて、バイクで進むのはとても無理、歩きでどうぞというような獣道だ。積み重なったガレ場の石は平べったく、規則的に割れたようになっている。崖下の石を数個横にどけると、永久凍土の冷気がすうっと感じられる。この場所ではほとんど見なくなったらしいが、こういうところにナキウサギがいたようだ。写真を4、5枚写す。結局、ガレ場までの往復、1台の車ともバイクとも出会わず。

 帰りにもう1度、三股山荘に寄る。
 店内には古い型のディーゼル車や駅舎の写真が店内に貼ってある。店の前をディーゼル気動車が走っていたらしい。カレーを食べ、大雪山の自然に関する本を2冊ほど購入。近場で拾ったというシカのツノも売っている。このあたりでは雪解けの春先にあちこちに落ちているらしい。山荘をあとにして、糠平を通り過ぎて上士幌町のナイタイ高原牧場にいき、話のタネにソフト(300円)に牛乳(150円)を飲む。手作りの期間限定のバターがあったので東京に送る。発酵バター1個と手作りバター2個がセットになって2000円で、送料が1350円。しめて3350円のバターとなる。牧場としてはここは日本一の広さがあり、バイクで目いっぱい周囲を走っても30分はかかる。
 しかし、気持いい。

 存続か中止かで揺れている士幌高原道路をいけるところまでいってみる。曇っていて景色がいいとはいえないが、立ちはだかっているこの山を削って道路をつくってしまうのかと、自分もここまで走ってきながら感慨に耽る。環境破壊を説いて回る当の本人がガソリンエンジン車の上で演説しているようなものだ。
 トムラウシ温泉にいくつもりだったが、時間の余裕がない。手前の「くったり温泉」に浸かることにする。りっぱな温泉施設で、宿泊もできるようになっているようだ。サウナも付いて(北海道では当たり前か)、しかも露天風呂ありで350円は安い。泉質が2種類もある。泉質説明にはトムラウシ温泉とくったり温泉とあった。トムラウシは上流のトムラウシ温泉と同じ泉質なのだろうか。よくわからない。

 帰り、然別湖あたりでは雨。糠平近くで曇り空となる。時刻は6時過ぎ。夜はビール2本、ワイン1本、豚ショウガ焼き、ワカメみそ汁。また、5、6人で焚き火をしながら飲む。セロー乗りのHさんというライダーも同じ店で購入したショウガ焼きと同じ銘柄のワイン。昨日も一緒に焚き火をした鈴鹿のオフ車ライダーから、産地で格安で手に入れたという富良野のメロンを1個丸ごとご馳走になる。彼はバイクのシートにメロンを4、5個詰めた段ボール箱を積んで帰ってきている。何回食べても、食べ頃で収穫されたものは瑞々しくて美味い。ワインのつまみとしても合う。ごちそうさまでした。こちらからなにも提供できないのがつらい。
 ラジオでは和歌山の毒物カレー事件の続報などをやっている。