賢治スケッチその1
宮澤賢治は37年の短い生涯のなかで一冊だけ童話集を出版しました。
この狼森と笊森、盗森も含む「注文の多い料理店」です。
イーハトーヴ童話と銘打たれていました。
出版元は賢治の盛岡農林高等学校の1年後輩の、及川四郎が経営者である光原社です。社名の名付け親は賢治です。
及川は原稿を良く読むこともせず、出版を決めました。
当初、シリーズ化を目論んでいましたが、反響はほとんどなく、2冊目がでることはありませんでした。
盛岡市にある光原社は現在も続いていますが、出版社ではなくお土産もの屋に変わっています。
その前の通りは「イーハトーブ・アヴェニュー」という名前になって、賢治の坐像をはじめ、様々な賢治作品にちなむオブジェが置かれているそうです。
あらすじ
これからあらすじをかきますが、原文からの抜書きを多く使おうとおもいます。
<これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野原や鉄道線路やらで、虹や月明かりからもらってきたものです。>
<かしわ林の青い夕方を、ひとりで通りかかったり、十一月の山のかぜの中をふるえながらたっていますと、>ひとりでに涌いてきた言葉の数々が本当にユニークでうつくしいからです。
岩手山のふもとに4つの森にかこまれた野原がありました。
<ある年の秋、水のように冷たいすきとおる風が、柏の枯葉をさらさらならし、岩手山の銀の冠には、雲のかげがくっきりうつっている日でした。>
4人の百姓がそれぞれの家族をつれて歩いてきました。
<男たちはてんでに好きな方向を向いて、声をそろえて叫びました。>
<「ここへ畑おこしてもいいかあ。」>
<「いいぞお。」森がいっせいに答えました。>
<次の日から、森はその人たちのきちがいのようになって、働いているのを見ました。>
まもなく冬が来て、一面の雪になりました。
森はかれらのために冷たい北風を防いでやりました。
春になり、小さな畑に蕎麦や、稗が植えられました。
なんとか秋に穀物が実ったとき、嬉しさで大人たちまで跳ね回りました。
<ところが、土の堅く凍った朝でした。九人の子供のなかの四人がどうしたのか、夜の間に見えなくなっていたのです。>
みんなはまず、1番近い狼森にいきました。
<森へ入りますと、すぐしめったつめたい風と朽ち葉のにおいが、すっと皆をおそいました。>
<森の奥のほうでパチパチ音がしました。>
<そっちへ行ってみますと、透きとおったばら色の火がどんどん燃えていて、狼が九匹、くるくる、火のまわりを踊ってかけ歩いているのでした。>
もっと近づくと、いなくなった子供が4人とも、火に向かって、栗や初茸を食べていました。
<「狼どの、狼どの、童しゃどかえしてくろ、」>
狼たちはびっくりして、お互いきょろきょろしていましたが、一斉に森のおくへ逃げていきました。
<「悪く思わないでくろ、栗だの茸だの、うんとご馳走したぞ」と叫ぶのが聞こえました。>
<みんなはうちに帰ってから粟もちをこしらえて、お礼に狼森に置いてきました。>
宮澤賢治は37年の短い生涯のなかで一冊だけ童話集を出版しました。
この狼森と笊森、盗森も含む「注文の多い料理店」です。
イーハトーヴ童話と銘打たれていました。
出版元は賢治の盛岡農林高等学校の1年後輩の、及川四郎が経営者である光原社です。社名の名付け親は賢治です。
及川は原稿を良く読むこともせず、出版を決めました。
当初、シリーズ化を目論んでいましたが、反響はほとんどなく、2冊目がでることはありませんでした。
盛岡市にある光原社は現在も続いていますが、出版社ではなくお土産もの屋に変わっています。
その前の通りは「イーハトーブ・アヴェニュー」という名前になって、賢治の坐像をはじめ、様々な賢治作品にちなむオブジェが置かれているそうです。
あらすじ
これからあらすじをかきますが、原文からの抜書きを多く使おうとおもいます。
<これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野原や鉄道線路やらで、虹や月明かりからもらってきたものです。>
<かしわ林の青い夕方を、ひとりで通りかかったり、十一月の山のかぜの中をふるえながらたっていますと、>ひとりでに涌いてきた言葉の数々が本当にユニークでうつくしいからです。
岩手山のふもとに4つの森にかこまれた野原がありました。
<ある年の秋、水のように冷たいすきとおる風が、柏の枯葉をさらさらならし、岩手山の銀の冠には、雲のかげがくっきりうつっている日でした。>
4人の百姓がそれぞれの家族をつれて歩いてきました。
<男たちはてんでに好きな方向を向いて、声をそろえて叫びました。>
<「ここへ畑おこしてもいいかあ。」>
<「いいぞお。」森がいっせいに答えました。>
<次の日から、森はその人たちのきちがいのようになって、働いているのを見ました。>
まもなく冬が来て、一面の雪になりました。
森はかれらのために冷たい北風を防いでやりました。
春になり、小さな畑に蕎麦や、稗が植えられました。
なんとか秋に穀物が実ったとき、嬉しさで大人たちまで跳ね回りました。
<ところが、土の堅く凍った朝でした。九人の子供のなかの四人がどうしたのか、夜の間に見えなくなっていたのです。>
みんなはまず、1番近い狼森にいきました。
<森へ入りますと、すぐしめったつめたい風と朽ち葉のにおいが、すっと皆をおそいました。>
<森の奥のほうでパチパチ音がしました。>
<そっちへ行ってみますと、透きとおったばら色の火がどんどん燃えていて、狼が九匹、くるくる、火のまわりを踊ってかけ歩いているのでした。>
もっと近づくと、いなくなった子供が4人とも、火に向かって、栗や初茸を食べていました。
<「狼どの、狼どの、童しゃどかえしてくろ、」>
狼たちはびっくりして、お互いきょろきょろしていましたが、一斉に森のおくへ逃げていきました。
<「悪く思わないでくろ、栗だの茸だの、うんとご馳走したぞ」と叫ぶのが聞こえました。>
<みんなはうちに帰ってから粟もちをこしらえて、お礼に狼森に置いてきました。>