echo garden

基本的に読書感想文です。

ナルニア国物語 ライオンと魔女 14

2006-03-17 00:15:13 | Weblog
 11 アスラン、近づく

 魔女はモーグリムを呼び出し、命じました。
 「配下を集めて、ただちにビーバーの家に行け!もし家がもぬけの空だったら石舞台を目指せ、連中を見つけたら問答無用じゃ、かみ殺せ!」
 「あ、あの、お願いです。約束のプリンは・・・、」エドマンドはおずおずと言いました。
 「だまっとれ、ばか者!」
 魔女はそう叫ぶと、小人が用意したそりにエドマンドも乗せ、暗闇の雪のなかに走りだしました。
 ものの15分も進むうちに、もう体の前のほうは、雪だらけになりました。やがてエドマンドは雪をはらうことをやめました。どんなに速くはらっても、新しい雪がつもって、くたびれてしまったのです。そのうちにまもなく、からだのなかまで濡れてきました。まあ、なんとエドマンドのみじめなこと!
 朝になってもまだそりは明るい光のなかを走っていました。
 「とまれ!」と魔女が言ったとき、エドマンドがどれほど「朝ごはんにしよう、」と言ってくれるのを期待したでしょう。
 しかし違う理由でした。
 すこし先にある木の根元に見るも楽しげな集まりが開かれていました。
 テーブルをかこんで、きつねとリスの家族、小人と二人のサタイア人がごちそうを食べていましたが、そりに乗ってる人の顔を見て、表情が凍りつきました。
 「申せ!これはなんのまねじゃ、どこからこんな食べ物を手にいれた?」
 「これはサ、サンタクロースに・・・」
 「ありえぬ!あれはわらわが来られぬようにしてあるのじゃ、ウソを申すとただではおかぬぞ!」
 するとこのとき、子リスの一匹がすっかりあたまをくるわせて、「きたんだ、きたんだ、きたんだもん!」とちいいさなスプーンでテーブルを叩きながら、キーキー声をあげました。
 エドマンドは魔女がきりりと唇を噛み、血がひとしずく、白い片ほほのすみにうかぶのを見ました。魔女は杖を振り上げました。「おお、止めてください、止めてください、お願いです!」とエドマンドが叫びました。
 石像の群れにかわりはてた彼らを見て、エドマンドははじめて、自分以外の生き物を哀れに思いました。
 再び、そりが走ろうとして、ぎくん、と止まりました。いつのまにか雪が緩みはじめていたのです。
 それでも魔女は小人を叱咤して走らせようとしましたが、ますます雪がとけてそりは使い物にならなくなりました。
 3人は一列になって、ぬかるんだ道を必死に歩きました。エドマンドはこびとに後ろ手に縛られ、1番最後から魔女が「やれ、いそげ、それ、いそげ、」と追い立てました。
 しかし、キンポウゲが咲き、蜂が飛び交うのを見て、こびとが言いました。
 「これは春でございます。どういたしましょう。あなたさまの冬はたしかに滅ぼされましたぞ!アスランのしわざにござります。」
 
 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿