echo garden

基本的に読書感想文です。

ナルニア国物語 ライオンと魔女 4

2006-03-01 02:02:08 | Weblog
 では、あらすじに行きます。
 その前に、この本を読んで、この物語の魅力のもしかしたら半分以上は、その独特の文体にあるんじゃないか、と思いました。
 この本は前置きに書いてあるように、ルイスの親しい友人の娘、ルーシィ・バーフィールドに捧げられています。
 だから、小さい子供に優しく語りかけるような雰囲気があります。
 天気の良い昼下がりにルイスが書斎にルーシィちゃんを招きいれ、おいしいスコーンと紅茶を用意して、
 「さあ、昨日のつづきからだよ・・・」
 と語りだす情景が思い浮かびます。
 また翻訳の瀬田貞二さんの丁寧な日本語がそのようなルイスの語り口に合っています。瀬田さんの文は子供には親密に、大人にはややくどく感じるかもしれません。それと、瀬田さんは俳人でもあって、俳諧で培った日本語のセンスが翻訳にもいかされてるそうです。そういえば、不思議なゆったりしたリズムがあるような気がします。
 そこで、ぼくはあらすじを書こうとして、少し悩みました。
 ストーリーの骨格みを取り出して書くだけだと、この物語の魅力をまるっきりスポイルしてしまうのではないか、と。
 そして、読んだことのない人につまらない本だと思わせてしまうんじゃないか、と。
 そうだ、と閃きました。そのまま写せばいいじゃないか、と。
 それは冗談ですが、また宮澤賢治の時と同じで方法で、抜書きを多用しようと思いましす。
 その箇所は太字で書きます。
 また、今回は原作と同じ章わけに従って書こうと思います。章のタイトルは青字にしてみました。(そうゆう機能にようやく最近気がつきました)

 ルーシィ、衣装だんすをあけてみる

 第二次世界大戦のころのことです。
 ペベンシー家の4人の兄弟はロンドンから空襲をさけて、森にかこまれた屋敷に疎開してきました。
 その屋敷には頭から顔にかけてもじゃもじゃに毛のはえた老学者と、3人の家政婦さんがすんでいました。
 部屋に落ち着くと、兄弟は興奮してしゃべりました。
 「僕たちはついてるよ。あの先生はきっとおもしろいよ。森にも何があるか分らない、明日は外に探検だ!」と1番年上の兄のピーターが言いました。
 「わたし、来る途中でアナグマを見たわ!」とお姉さんのスーザンが言いました。
 「あれ、あの声は何かしら?」1番下の妹のルーシィが少しおびえて言いました。
 「あれはただのフクロウだよ、ばかだなぁ」と、ルーシィより一つだけ年上のエドマンドがふんっという感じで言いました。
 しかし、翌日は土砂降りの雨でした。
 「ああ、どうせこんなことだろうと思っていたさ」とエドマンド。
 「何も問題は無いさ、このお屋敷を探検しようよ」とピーター。
 その提案に皆、賛成しました。
 屋敷は見たこともないぐらいに大きく、しかも複雑に入り組んでいたので探検のいがいがありました。
 4人がある部屋にくると、壁際に古くて頑丈そうな衣装だんすがあるだけで、何もありませんでした。
 「ここには何もなーし!」
 そう叫ぶとピーター、スーザン、エドマンドは次の部屋にいきました。
 しかしルーシィだけはたんすに惹きつけられるて、その扉を開けて見ました。
 中には黒い毛皮のコートが何着も吊るしてありました。
 ルーシィは毛皮にほお擦りすることほど好きなことはなかったので、夢中でほお擦りするうちにどんどんたんすの中に入ってゆきました。
 すると不思議なことにつるつるする感触がちくちくに変わり、床の板の感覚が柔らかいものを踏みつける感覚にかわりました。また凄く寒くなりました。
 気がつくと、なんと真夜中の森の中に立っていて、足元には雪がつもり空から雪がふっていたのです。ルーシィはすこしこわくなりました。けれどもいっぽうで心がわくわくして、ゆくてをつきとめたくてたまらなくなりました。
 遠くにちらちらと明かりがみえるので、雪を踏みしめてあるいていくと、それは街灯のランプでした。
 どうして森の真ん中に街灯があるのかしら、そしてこれからどうしようかしら、
 と考えていると、後ろでどさっと物を落とす音がしました。
 振り返ってみると、そこには荷物を雪の上に落として目をまんまるくしているフォーンがいました。
 フォーンは上半身人間、下半身黒ヤギの森のちいさな(背がちいさいという意味ではありません)神です。
 「なんてこった!」
 フォーンは大声をあげました。