echo garden

基本的に読書感想文です。

ナルニア国物語 ライオンと魔女 12

2006-03-10 22:32:21 | Weblog
 9 魔女のやかた

 みんなが話に夢中になっている間に、首尾よく抜け出してきたものの、エドマンドは後悔しかけていました。
 日はずんずん暗くなり、おまけに雪がまわりに渦巻いていたものですから、三歩前もみえません。
 たえずふかい雪だまりに落ちこみ、氷のはったぬかるみにすべり、倒れ木につまづき、急ながけをずりおち、岩根にぶつかって、手足をすりむき、体中が濡れて、寒くて、傷だらけになりました。
 しかし、自分が王子になったら、どうやってピーターの説教を取り締まろう、とか、ビーバーとダムを規制する法律をどう作ろう、とか(楽しい)考えをめぐらすことによって、なんとか元気を取り戻しました。
 やがて雪がやみ、北風に雲が吹き飛ばされ、満月があらわれたころ、前方に冷たい光に照らされた魔女の館が見えました。それはいくつもの尖塔の突き出たお城のようでした。
 近づいてみると、アーチ型の門の鉄製の大扉があいていたので、なかに入ろうとすると、ちょうどライオンが自分に飛びかかるところだったので、たまげました。
 しかし良く見ると、それは石像で、ほかにも小人や、きつね、セントールや巨人など様々な石像で庭は埋め尽くされていました。
 エドマンドはビーバーが魔女は生き物を石に変える、と言っていたのを思い出しました。
 石像をすり抜けて建物の入り口にくると、長々と一匹の狼が寝そべっていました。
 「これは石だから大丈夫、」と自分を安心させて、跨ごうとすると、突然起き上がって、「誰だ!怪しいやつ!」と叫びました。
 「お許しください!」エドマンドは心臓が飛び出さんばかりに驚いて言いました。「いつか森の中で女王様に会ったアダムの息子が参りました、とお伝えください、」
 やがて、その灰色オオカミ、魔女の秘密警察長官モーグリムがすたすたと戻ってきて、こう唸りました。「はいれ、はいれ、女王陛下のお気に入りの小僧だな。気に入られて幸運かどうかはわからんがね。」
 魔女はエドマンドの姿を見ると、「なぜ一人で参った、」とおそろしい声でいいました。
 エドマンドは、精一杯努力したこと、兄弟たちはビーバー夫婦と一緒にいること、アスランが石舞台にきてること、などを話しました。
 すると魔女は「何!アスランだと!」と叫ぶと、もうエドマンドには目もくれず、御者を呼び出しました。
 「今すぐそりの用意じゃ、鈴のない皮具をつけよ!」