echo garden

基本的に読書感想文です。

ローマから日本が見える 1

2006-01-31 00:28:35 | Weblog
 塩野七生さんが去年6月に集英社から発行した本です。
 イタリア半島中部の寒村に過ぎなかったローマがアフリカからヨーロッパに及ぶ世界帝国にまで発展した過程を観察することによって、現代の日本が抱える問題に対する解決のヒントを得よう、と言うコンセプトの下に書かれています。
 また、結果的に塩野さんのライフワークである<ローマ人の物語>シリーズのダイジェスト版にもなっています。

 ここでローマ人っぽく、演説をかまします。
 歴史とは、ほこりの積もった古文書の山ではありません!
 過去の人々が回転する車輪のごとく懸命に生きた、血と汗と涙の物語です。
 そしてまたファンタジーの母体でもあります。
 例えば、「遠い昔、シーザ-という若い将軍がいました・・・」と語りはじめれば、そのまま物語りですし、より面白くするために少しだけフィクションを加えて、「・・・断崖に追い詰められたシーザーに、ガリア人の投げた斧が突き刺さろうとした、正にその瞬間、上空に白いドラゴンが現れ・・・」と言えばもうファンタジーです。
 そんな歴史が面白くないはずありません!
 にも関わらず、歴史という言葉からはカビの匂いがしています。
 それは何故か?
 年号のせいです。
 学校のテストで悩まされた1192つくろう、とか1333とかの年号のトラウマに呪われているのです。
 つまり我々の頭の中で歴史と年号を憶えることの苦痛が結びついています。  
 鎌倉幕府ができるまでのいきさつ、その過程での葛藤、後の影響など、どこをカットしても素晴らしいドラマに満ちています。また人々の生き様から、勇気や教訓を貰うことができます。
 しかし年号は単なる結果に過ぎません。それは歴史の表面に貼り付けられた単なるシールです。
 だから、もうそんな過去のトラウマは捨てて人間のドラマとして歴史を眺めなおしてみようじゃありませんか!

 塩野さんの経歴を紹介します(カバーに書いてあったままですが)。
 1937年7月7日 東京生まれ。
 学習院大学文学部哲学科卒業
 1963から1968年にかけてイタリアで遊びつつ、学ぶ。
 1968年より執筆活動を開始。
 主な著書に<ルネサンスの女たち>
 <チェザーレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷>毎日出版文化賞。
 <海の都の物語>サントリー学芸賞。などなど
 1992年より、ローマの1000年以上にわたる興亡を描く<ローマ人の物語>を1年1作のペースで書きつづけている。2006年完結の予定。
 1970年よりイタリアに在住。

 7日生まれだから七生さん・・・
 それはともかく、内容の方に行きたいのですが、その前にエクスキューズさせて下さい。
 これから書くことは<ローマから日本が見える>からの情報がほとんどですが、ウィキペディアや司馬遼太郎など別のも混ざっています。
 それは僕の関心がこの本ではなく、ローマの歴史そのものにあるので、平行して雑多なものを読んだからです。
また、この本でかなりのウェイトを占める日本の政治に対する言及、例えば55年体制自民党と共和制ローマの元老院との比較とかも関心外なので全部パスしてあります。それと章の分け方も自分独自のものです。
 だから、<ローマから日本が見える>の紹介としては良くありません。
 では行きます。 
  
 
 
 
 


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