17 白鹿狩り
魔女軍は新手に押され、さらに魔女が倒されたことを知ると、逃げ出すものが続出し、総崩れとなりました。
戦いに勝利し、ピーターとアスランはかたく握手しました。
ルーシィはエドマンドは、と探すと、戦場から少し離れたところで血まみれになって倒れているのを見つけました。
いそいで駆けつけると、わなわなと震える手でサンタにもらった薬酒をエドマンドにふりかけました。
ピーターは言いました。
「アスランよ、われらがあなたの到着までもちこたえることができたのはエドのおかげです。戦いがはじまってすぐは我が軍の者は、魔女に手当たりしだいに石に変えられ、負けそうでした。しかしエドが危険をかえりみず、魔女に接近し、石化の杖を剣で叩きこわしてくれました。しかし、そのときの格闘で重傷を負ってしまいました。」
アスランはルーシィに近寄って言いました。
「エドマンドは大丈夫だ。ほかにもその薬酒を必要としているものがいる。」
ルーシィは小さくうなずきました。
それから、二人は大忙しでした。ルーシィは怪我人に薬をふりかけ、アスランは石像に息を吹きかけてまわりました。
その日の夜。
ケア・パラベルの城では4人の戴冠式が盛大に執り行われました。
ラッパのりゅうりゅうと響くうちにアスランがおごそかに兄弟に冠をさずけ、王位をあたえて、四つの王座に四人をみちびいていきますと、口々に耳もつぶれるばかりの、歓呼の声があがりました。
「ピーター王ばんざい!スーザン王ばんざい!エドマンド王ばんざい!ルーシィ王ばんざい!」ばんざい、ばんざい、の声の波でした。
大宴会になりました。はなやかな踊り、不思議な音楽、あふれんばかりのご馳走、ワイン・・・。
しかし、浮かれ立つ騒ぎのなかでアスランは静かに立ちさっていきました。
兄弟たちはそのことに気づいても、ことさらに何もいいませんでした。それは、ビーバーさんに忠告されていたからです。
「あの方は来ては行ってしまわれるのです。きょうお会いしても、明日はいません。何事にもしばりつけられるのが大嫌いなおかたなのですよ。きっとよその国の気をくばって見にいらっしゃるのです。そのままのしておきなさい。時々、ふらりといらっしゃいますよ。なんといっても、あの方は自然児なのです。飼い慣らされたライオンじゃありませんからね。」
次の日から四人はナルニア国の王と女王として、政務にはげみました。
法律を整備し、魔女の残党を退治し、国境を侵してきた異民族とたたかい、海の彼方の国とよしみを通じました。
そのようにして、毎日を忙しく過ごしていると、自分たちが、かつて「あき部屋」の「たんす」からやってきたことなど、まるで夢のようにおもわれました。
4人は立派にナルニア国を治めました。ピーターはまことの勇者で、<英雄王>と、エドマンドは会議と裁判に秀でていたので、<正義王>と、スーザンは<やさしの君>と、ルーシィは<たのもしの君>と人々に呼ばれました。
ある日、タムナスさんがひさしぶりにルーシィを訪ねてきました。
「白い鹿があらわれた。」というのです。
白い鹿とは、「それを捕まえたものには、なんでも願い事がかなう」という伝説のある幻の動物です。
4人はさっそく家臣をしたがえて、タムナスさんの案内で狩りにでかけました。
ほどなく白鹿を見つけましたが、逃げ足がはやく、夢中で追いかけるうちにいつしか、タムナスさんも家臣も脱落して、4人だけになりました。
さらに、白鹿が森の中に逃げ込んだときには自分たちの馬もへばって動かなくなってしまいました。
しかたなく、4人は歩いて森のなかにはいっていきましたが、4人とも不思議な気分になりました。
「なにか見覚えがある。」
「胸騒ぎがする。」
「引き返したほうがいいんじゃまいかしら?」
「あの鉄の木は何かしら?上が光ってる・・・?」
4人はちくちくするもみの葉をかき分けてあるいていましたが、つるつるした感触に変わりました。草を踏みしめていたのに、いつの間にか板を踏んでいました。
4人はたんすの扉を開けて、あき部屋に転がりでてしまいました。
その夜、4人は学者先生に自分たちがみてきたことを全て話しました。すると、大きくうなづいてから、こう言いました。
「きみたちは、またいつか、きっとナルニアにもどれるよ。けれども同じ道をつかおうとしてはだめだよ。きっと、ナルニアに行こうとおもっていないときに、ひょいって行ってしまうことになるね。そして、やたらにナルニアのことをしゃべってはならない。同じような冒険をした人にならかまわんがね。何?どうしたら分るかって?大丈夫、ちゃんと分るとも、そうゆう人たちは言うことが変だ。顔つきまでかわっとる。それで秘密がもれるのさ。目をよくみひらいておきたまえ。」
魔女軍は新手に押され、さらに魔女が倒されたことを知ると、逃げ出すものが続出し、総崩れとなりました。
戦いに勝利し、ピーターとアスランはかたく握手しました。
ルーシィはエドマンドは、と探すと、戦場から少し離れたところで血まみれになって倒れているのを見つけました。
いそいで駆けつけると、わなわなと震える手でサンタにもらった薬酒をエドマンドにふりかけました。
ピーターは言いました。
「アスランよ、われらがあなたの到着までもちこたえることができたのはエドのおかげです。戦いがはじまってすぐは我が軍の者は、魔女に手当たりしだいに石に変えられ、負けそうでした。しかしエドが危険をかえりみず、魔女に接近し、石化の杖を剣で叩きこわしてくれました。しかし、そのときの格闘で重傷を負ってしまいました。」
アスランはルーシィに近寄って言いました。
「エドマンドは大丈夫だ。ほかにもその薬酒を必要としているものがいる。」
ルーシィは小さくうなずきました。
それから、二人は大忙しでした。ルーシィは怪我人に薬をふりかけ、アスランは石像に息を吹きかけてまわりました。
その日の夜。
ケア・パラベルの城では4人の戴冠式が盛大に執り行われました。
ラッパのりゅうりゅうと響くうちにアスランがおごそかに兄弟に冠をさずけ、王位をあたえて、四つの王座に四人をみちびいていきますと、口々に耳もつぶれるばかりの、歓呼の声があがりました。
「ピーター王ばんざい!スーザン王ばんざい!エドマンド王ばんざい!ルーシィ王ばんざい!」ばんざい、ばんざい、の声の波でした。
大宴会になりました。はなやかな踊り、不思議な音楽、あふれんばかりのご馳走、ワイン・・・。
しかし、浮かれ立つ騒ぎのなかでアスランは静かに立ちさっていきました。
兄弟たちはそのことに気づいても、ことさらに何もいいませんでした。それは、ビーバーさんに忠告されていたからです。
「あの方は来ては行ってしまわれるのです。きょうお会いしても、明日はいません。何事にもしばりつけられるのが大嫌いなおかたなのですよ。きっとよその国の気をくばって見にいらっしゃるのです。そのままのしておきなさい。時々、ふらりといらっしゃいますよ。なんといっても、あの方は自然児なのです。飼い慣らされたライオンじゃありませんからね。」
次の日から四人はナルニア国の王と女王として、政務にはげみました。
法律を整備し、魔女の残党を退治し、国境を侵してきた異民族とたたかい、海の彼方の国とよしみを通じました。
そのようにして、毎日を忙しく過ごしていると、自分たちが、かつて「あき部屋」の「たんす」からやってきたことなど、まるで夢のようにおもわれました。
4人は立派にナルニア国を治めました。ピーターはまことの勇者で、<英雄王>と、エドマンドは会議と裁判に秀でていたので、<正義王>と、スーザンは<やさしの君>と、ルーシィは<たのもしの君>と人々に呼ばれました。
ある日、タムナスさんがひさしぶりにルーシィを訪ねてきました。
「白い鹿があらわれた。」というのです。
白い鹿とは、「それを捕まえたものには、なんでも願い事がかなう」という伝説のある幻の動物です。
4人はさっそく家臣をしたがえて、タムナスさんの案内で狩りにでかけました。
ほどなく白鹿を見つけましたが、逃げ足がはやく、夢中で追いかけるうちにいつしか、タムナスさんも家臣も脱落して、4人だけになりました。
さらに、白鹿が森の中に逃げ込んだときには自分たちの馬もへばって動かなくなってしまいました。
しかたなく、4人は歩いて森のなかにはいっていきましたが、4人とも不思議な気分になりました。
「なにか見覚えがある。」
「胸騒ぎがする。」
「引き返したほうがいいんじゃまいかしら?」
「あの鉄の木は何かしら?上が光ってる・・・?」
4人はちくちくするもみの葉をかき分けてあるいていましたが、つるつるした感触に変わりました。草を踏みしめていたのに、いつの間にか板を踏んでいました。
4人はたんすの扉を開けて、あき部屋に転がりでてしまいました。
その夜、4人は学者先生に自分たちがみてきたことを全て話しました。すると、大きくうなづいてから、こう言いました。
「きみたちは、またいつか、きっとナルニアにもどれるよ。けれども同じ道をつかおうとしてはだめだよ。きっと、ナルニアに行こうとおもっていないときに、ひょいって行ってしまうことになるね。そして、やたらにナルニアのことをしゃべってはならない。同じような冒険をした人にならかまわんがね。何?どうしたら分るかって?大丈夫、ちゃんと分るとも、そうゆう人たちは言うことが変だ。顔つきまでかわっとる。それで秘密がもれるのさ。目をよくみひらいておきたまえ。」
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